2008年10月15日

セーレンの新規事業

私が最近強調している新規事業の成功のポイントは「狭く、深く」です。出来るだけ狭い領域で深く専門性を持った新規事業の方が、総花的な新規事業よりも高い利益率となるのは自明の理であるかと思います。ただし、単に狭く深く掘っていくだけでは、尻すぼみなニッチ市場の開拓に過ぎません。そのため、いかに自社のコア技術や強みを特定の分野に絞って投入していくかということがとっても大切なのです。

一つここで企業事例をご紹介しましょう。「セーレン」という会社です。繊維産業で培った技術を基に狭く、深い領域に集中し、現在は独自のポジションを築く企業となっています。また、一つずつは狭く深いのですが、強みを最大限に拡張し活用することで、人口血管材や化粧品、電子部品やインテリア用品、そして自動車内装から水着まで手がけるようになりました。同社は1889年に創業して、100年以上の歴史があります。

そんな同社は、約35年前までは生地をお客様からお預りし、頼まれた色に染める染色加工業を受託形式で行っていました。ところが、繊維産業の全盛期であった当時でさえ、自ら商品を企画していかない限り成長はありえないと考え、自動車用のシートを1970年代の半ばに手がけ、現在では国内で40%のシェアを占めるまでになりました。それからは前述したように、コア技術や強みを活かせ、関連性のあるところに狭く、深く入っていく形式で事業の多角化に成功していったのです。

セーレンは、受託から自社企画事業への転換を果たしたいというところから、事業構造を転換させていきました。そして、特定分野でコア技術と強みを発揮できる分野にのみ集中していきました。こうして見てみると一見なんの会社か分からないようでも、価値の高い新規事業で多角化を図っています。よく創業当初や以前の事業とは異なる事業を現在営んでいる会社もありますが、強みを軸にして、それぞれの時流にあった新規事業であれば、それも否定されるべきではないと思います。

つまり、新規事業をやむにやまれずやる会社でも、新規事業でさらに成長を望む会社でも、特定分野で狭く深く入っていき、最大限にコア技術と強みを活かすという原理原則に則れば、大胆に事業ドメインを設定するべきではないかなと思います。一見すると異業種でつながりがないようでも、あるいは業態転換したように見えても、原理原則に則る限り、それは会社の成長にとって必要なことなのです。

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2008年10月02日

大企業の新規事業開発に見る風景

先日読んだ日経産業新聞には、ついつい頷いてしまうコラムが掲載されていました。寄稿者は、元松下電器の副社長で現在高知工科大学大学院で教鞭をとる「水野 博之」氏。大企業が社内ベンチャーや新規事業の育成に取り組んでいるが成果が出ない理由として、「既成の枠から飛び出す異端者が本来のベンチャー。育成などという考え方は自己矛盾もいいところ。極論すれば、口は出さず、カネを出して援助するだけにとどめ、自由にやらせてあげて欲しい。」と。

また、こうも説きます。「大企業の新規事業や社内ベンチャーのビジネスプラン発表会に出席したことがあるが、これでは駄目だと痛感した。役員連中は業績見通しの根拠など根堀り葉掘り問いただし、もうぼろくそ。若手の提案は、経営企画部門が引き取り、牙も歯も抜かれたプランに作りかえられる」と。これはよく分かりますね、私も言いたいことが。

私は、役員前のプレゼン会などでは、不必要なダメ出しと細かい指摘は止めるように、事前にオブザーバーや審査員の心得というレジュメを配布し、聞き手側の正しい姿勢を説きます。ダメ出しするなら対案を出し、「こうすればうまくいくのでは?」という前向きな提案をして欲しいと訴えます。また、それが出来ないのであれば、重箱の隅をつつくなと。そもそも、役員の中には新規事業開発を経験したことがない方もいますので、数字だけで判断してしまう。しかし、新規事業開発には数字やロジックでは計れない、”皮膚感覚”というものが必要なんですけどね。

さらに、水野氏はこうも説きます。「新規事業や社内ベンチャーなんて誰もやってないから挑戦するもの。先行きが読めたら他の大企業が手を付けている。」、「それにイノベーションという言葉を技術革新と訳して使っていることが間違いではないか。正しくは”新しいやり方”だと思う。新しいやり方とは世の中にない技術を創造するだけではなく、既存技術を組み合わせて新しい価値を生み出す結合力も含まれる。音声とデータと映像が一体となった携帯電話は新しい価値を生み、創造的破壊を引き起こして社会を変革したではないか。」と。松下電器の二股ソケットも今あるものを組み合わせて出来たもの。

さらに、松下幸之助についても述べています。「学問もなく無一文ゆえ自らの才覚を働かすしかない。戦後最大の起業家は寝ても覚めてもお客さんが欲しがる商品は何かを考えていた。多くの人の意見をじっくり聞き、これだとひらめいたら、ためらわず資源を集中して、成功するまで断固やり抜く決意はすごかった。大概のことはやろうと思えばできるもの。できないのは努力と工夫が足りないからだと雷を落とされた。」、「昨今の若い起業家は知識は豊富だが、行動すべきときに決断はしない。幸之助氏の知と行動のバランスを今こそ学んで欲しい。」と。

私のクライアントの多くは、上場している大手企業です。しかしながら、新規事業や社内ベンチャーとなると、”分かりきった”矛盾を当然のことのように実行してしまっています。なぜ?と首をかしげることも多いのですが、そこに大企業が活力を出せないツボがあるようにも思います。今回ご紹介した水野氏の意見は全て原理原則だと思いますが、私がコンサルティングの現場で見る日常の風景と完全にオーバーラップしていますので、是非かみ締めて読者の方は読んで欲しいと思います。

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2008年09月29日

新規事業は成長市場の周辺から

「新規事業は成長市場の周辺を狙いましょう」とは、一つの視点としてコンサルティングの現場でもお話しています。例えば「健康」や「環境」という成長市場のキーワードを考えてみましょう。通常であれば、この領域で新規事業といえば、ど真ん中の市場に正面をきった戦略でいち早く乗り込んで、大きく飛躍したい。こんなイメージがビジュアルとして新規事業担当者の頭にセットされていることでしょう。

しかし、必ずしも「市場一番乗り」や「シェア一番狙い」、「覇権を取る」という狙いがないのであれば、”成長する前から”周辺市場に先に進出することも一つの選択肢ではないかと私は考えています。つまり、役者ではなく舞台の方を目指すという意味です。役者が成長する前に、舞台として成長し、欠かせない存在になる切り口は新規事業の企画にいかがでしょうか?

私は、「日立モバイル」という会社の動きに少し着目してみました。この会社は日立グループで、携帯電話の販売事業をメインにしていました。しかし、この市場も競争が既に激化している市場です。そこで、同社は、売上高の約6割を占めていた携帯電話販売事業を、伊藤忠グループの同業者であるITCネットワークに75億円で売却。その上で、車の補修事業に経営資源を集中させることを決断しました。

そこで展開する事業内容とは、「自動車の故障診断サービスの拠点拡大」というものです。現在、車とはデジタル系の部品で構成されたハイテク機器といっても過言ではなく、制御するための部品やソフトが多くを占めます。そして親会社の日立は、2010年度までに自動車関連事業の売上を1兆円まで引き上げる計画で、その周辺分野を日立モバイルが刈り取って行こうという戦略のようです。

故障診断装置の販売や補修サービスの強化で、現在「ピットコム」という名称で展開している拠点を2.5倍の100店にする意向のようです。同社の装置を使えばプリウスのようなハイブリッド車の整備も可能なほか、二輪車、農業機械までその裾野は広がると言います。電気自動車や高度な情報制御機能を持った自動車が増えてくる可能性を考えると、今後の成長市場の「周辺」も面白い市場だと思いますね。

自社の事業ドメインをどこに設定するのか、そして新規事業の企画のドメインをどこに設定するかで戦略も決まってきます。しかし、そのドメインや戦略において、成長市場の周辺を初めから狙うという手法は、一見すると地味ですが、隠れた高収益ビジネスにつながる可能性があるのではと考えています。一度、周りから攻めてみるという視点も持って新規事業の企画に当たってみましょう。

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2008年09月26日

若手が創る新規事業に、時には経営資源を集中すること!

若手に大胆に新規事業開発を任せる方向だ。こんな言葉を聞きます。しかしながら、若手と言っても40代以上であったり、任せると言いながら実際は細かいところまで口を挟んでしまう。こんな経営者が多く見受けられます。しかしながら、私のクライアントや世間で上手に新規事業開発に成功している企業では、本当に大胆に若手に新規事業を任せ、有望なネタと分かれば経営資源を一気に集中させるという決断を下している場合が多いようです。

私は若手ということが新規事業開発にとって必ずしもいいと考えていません。その個人が持つ、行動や思考特性の年齢の方がよっぽど大事だと思っているからです。しかしながら、大切なことは”若手であっても”有望な事業開発を出来る人間には大胆に任せて、時には業態転換も辞さないくらいの気概を持った経営をこの乱世においてはする必要があるとも思います。

経営資源を集中させて業態転換に近い形を行ってきた企業は、現在の大手企業でもたくさんあります。今や世界でナンバーワンクラスのノキアという携帯電話メーカーは、紙パルプ工業から事業をスタートさせ、長靴製造、そして通信事業と事業内容の主軸を変えながら、1990年代から携帯電話事業に事実上特化して世界的企業になりました。

また、液晶でおなじみのシャープも、20年前には液晶関連事業の売上高が全売上高の中で1.5%に過ぎなかったと言います。それが10年前にはテレビを全て液晶に変えるといい1000億円の投資を決断したことで、今では液晶と言えばシャープという代名詞になるほどに成長しました。完成品を売るだけではなく、液晶パネルを同業他社に外販することなども手がけています。

そして、先日目にした日経ビジネスの記事で「イビデン」という会社は、電力、肥料・建材からプリント基板の開発まで事業の主軸をシフトさせてきています。今では排ガスの浄化装置など、次々に有望な市場を開拓していってます。そしてこれらの企業に共通するのは、若手に新規事業開発を任せ、大胆な決断をする経営手法をとっていたことが挙げられます。

特にイビデンにおいては、「将来のメシの種は、自分たちで作れ」。こんな伝統が1世紀近く続いているらしいです。その際には年齢など関係はなく、入社2年目クラスでもどんどん新規事業開発向けの研究をさせています。ちなみに日経ビジネスの記事によると、今年4月、経営企画本部の下に、新規事業推進室を設置し、生ゴミの浄化システムを手がけています。そしてこの開発に関わるのは40代のマネージャーを除けば、残りは全て入社4年目までとのことです。

そして、こう続きます。「新規事業を育てる過程では、リスクを伴った決断や、時間的な制約を乗り越えるだけのバイタリティーが必要になる。若い頃から育てた事業でなければ、そんな覚悟や情熱は生まれない。新規事業の育成は、その事業に長期にわたって責任を持てる人づくりから始まる。」

「日本の企業の場合、ともすれば、10年先の主力事業を生み出すために、定年まで10年も残ってないような経営幹部だけが集まって会議を繰り返しがちだ。」「経験の乏しい新人に未来を託すイビデンの取り組みは、こうした企業にとってみれば、理解しがたい行為なのかもしれない。」(日経ビジネス9月15日号より引用)

いつの時代でもそうですが、新規事業の成功の影には大胆な決断があったのですよね。イビデンの事例では、それがすごくよく分かります。若手に早い段階から新規事業開発に関わらせて、時には大胆に任せてみる。そして、ここぞという事業には一気に経営資源を集中させる。こんな取り組みが、この際には必要なのですね。この王道はきっといつの時代も、どんな会社でも変わらないことなのでしょう。

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2008年09月22日

新規事業も本質の追求から

新規事業の企画において難しく考えてしまう場合があります。しかし、新規事業開発であれ商品開発であれ、実は本質を追求することが基本であり、それそのものが差別化にもつながると考えています。私の最近の新規事業感は、「シンプル」の一言に尽きます。さて、そんな中、先日、日経産業新聞にニコンの一眼レフカメラ(デジカメ)が売れておりシェアも首位であるという記事が掲載されていました。そして、その成功要因は3つであると。

一つ目は、「競合機種の新機能を安易に後追いせず、写真撮影の基本性能にこだわること」とあります。ニコンは、コンパクトカメラの性能が不満で一眼レフ購入を検討する人にとって重要なのは、高速ピント合わせやシャッター反応、高画質など本質的な部分」と見切る。基本性能の高さこそ、一眼レフならではの訴求点というスタンスらしいです。なるほど、これはそのとおりですね。それに対してキャノンは、被写体を液晶で見られるライブビュー機能をつけている。

二つ目は、機種の選択肢を幅広くしている点。かつてはニコンといえば上級者向けというイメージも強かったもの。初心者向けのモデルもありませんでしたが、現在では実売で5万円前後の機種もありますので、これであれば初心者も手が出やすくなりますよね。レベル別、価格別にカニバリが起きないように、うまく商品構成を考えているわけです。

三つ目は、高級なブランドイメージを浸透させたこと。特に木村拓哉さんを起用したCMはブランドイメージの獲得と共に女性ユーザーの開拓も可能にしています。これにより手の届く高級ブランドというポジショニング獲得しようとしているわけです。価格競争が激しい市場においては、ブランドイメージは売上を左右しますので、とっても重要ですね。

さて、ここまで読まれて皆さんはどう思われたでしょうか?ニコンの事例には、画期的な戦略も目新しい企画も無いと思いませんか?つまり、新規事業開発でも新商品開発でも同様ですが、ついつい付加機能を加えようとしたり、操作方法が複雑な時代にあっては、シンプルに本質を追求した方がいい場合が多いのです。奇をてらったことを考えるのではなく、新規事業も本質の追求から始めてみましょう。

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2008年09月11日

脱・親会社な新規事業

私のコンサルティング先には、大手企業の子会社が複数あります。子会社といっても規模では充分な大手ですが、誰もが知る大手親会社の冠がついた直系の子会社といった方が分かりやすいでしょうか。そんな企業のミッションは大抵決まっています。親会社に頼らない経営体制づくりをしなさいと言われるもの。そこで経営計画に織り込まれる言葉が、「脱・親会社を目指した新規事業への取り組み」という一文。

ところが、今まで売上の多くも親会社からの受託や親会社経由での取引が大半を占めていたために、うまく新規事業に取り組めない。そういう状況で、コンサルティングのご相談にお見えになる企業がたくさんいらっしゃいます。私からすれば、逆にコンサルティングは他の企業に比べればまだ難しくはありません。なぜなら、充分な経営リソースなど基盤があり、人材も揃っている。資金的にも問題がない。となれば、後はノウハウを提供すればスムーズに進む場合が多いからです。

さて、それでは脱・親会社を目指した新規事業で成功するためのセオリーは何か。社風改革やモチベーションのスイッチなどメンタル面が大きくセオリーを占めます。しかし、事業面では、一言で言えば、「中立的な立場からのワンストップソリューション」ということになるのかなぁと私自身は考えています。今まで親会社のしがらみなどを気にしながら事業展開してきたわけですが、今後の流れとしてはそのしがらみが徐々に消えていくわけです。

それならば、一層のこと”中立的な立場から”というのを前面に打ち出した上で、親会社が今まで必要としてこなかったサービスまでを包括的に提供できる体制を整えるのが良いのではないかと思います。例えば、以前日経MJ新聞にこんな記事が出ていました。元吉野家の店舗開発部門だったところが、分社化して「MRサービス」という社名にし、外食産業向けの「総合エンジニアリングサービス」として事業を発展させているというものです。

同社では低コストの店作り支援をコンセプトに、店舗の建築から保守・管理、コスト削減の提案まで多岐に渡っています。またメンテナンスに関わるコールセンターまで自社で完備して、まさにワンストップソリューションを志向しています。ここには吉野家が持っているハードとソフト面での「強み」を最大限に活かし、親会社以外の売上も増やしていこうと「中立的な立場からサービスの総合化」を図る同社の意志が強く働いています。

全く未知なる新規事業を行うのではなく、親会社との取引で培ってきた強みやノウハウを存分に活かし、その上で”中立的な立場”から”サービスのフルラインナップ化”を進めること。これは、脱・親会社を志向する会社が新規事業開発を行う上で鉄則ではないかと思います。またこれはBtoB事業者に限ったことではないとも思います。

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2008年09月08日

顧客と作る新規事業

最近のトレンドとして新規事業開発にもキーワードがあるような気がします。その一つは「ユーザーコラボ型モデル」であることです。これは、一言で言えば顧客ニーズを顧客自ら解決してもらうモデルのことです。具体的に言えば、商品開発の一プロセスに顧客に参加してもらう。また一方では顧客が求めるニーズの一部分を予め準備しておいて、顧客自身が自分の仕様に合わせてオーダーするなどのモデルです。

これはネット社会が始まってから加速してきたかのようですが、私はこのモデルがビジネスの一定割合を占めるのではないかと考えています。例えばネットで言えば、顧客自らが発信する情報で形成されるCGMというモデルがあります。これはクチコミサイトなどもそうですが、例えば飲食店を探す場合に、ぐるなびで広告スポンサーを探すよりも、クチコミサイトでユーザー自身の情報で形成されたサイトで探す動きなどがありますよね。

また、商品開発を行う場合に、例えばミクシーが特定の企業の特定の商品に関してコミュニティをつくってユーザーの意見を求め、ユーザー参加型で開発を行う動きもあります。一方では、ソニーが液晶テレビで本体色や置き方を、顧客が組み合わせて選べる販売方法を取り入れるなど、多様化する顧客のニーズに選択肢だけ準備しておいて顧客自身にニーズを満たしてもらおうというオーダースタイルの動きも増えてきています。

そもそも、新規事業や商品開発を行う際に、多くは顧客のニーズと企業のソリューション側にズレがあります。なぜなら、企業は顧客のニーズを理解することが出来ても、その情報の本質が企業まで届かないこともよくあるからです。そのため、ワントゥーワン・マーケティングなどといって、より細分化された顧客に個別に対応していく動きもありますが、現在はこの部分のコストが高騰してしまって企業にとっては大変しんどいものです。

また、顧客のニーズ情報を企業にフィードバックして、新規事業開発や商品開発に活かすには、情報の行き来に時間がかかりすぎてしまいます。結果として、コストアップや期間の長期化を招いてしまうわけです。そのために、ユーザーコラボ型のビジネスモデルを新規事業でも採用することを前提に、ユーザーにそのための手段やツールを提供するビジネスモデルを志向すべきなのです。

これからは企業から顧客への一方通行の流れではなく、顧客と企業が協力しあって最適解を生み出していく時代です。新規事業開発には、是非、ユーザーコラボ型のビジネスモデルを採用してみましょう。大胆に既存事業のビジネスモデルを否定することにもなりかねませんが、時流を読み、先手を打つには決断力がとっても大事になってくるのではないでしょうか。

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2008年09月07日

新規事業はチャンピオン企業から

新規事業の企画を立てる際に、大切なのは”どんな視点”を持つか、そしてそれ以前に、何に”気づき”を得るかだと思います。私は、コンサルティングで最も重視しているのは戦略の作成やノウハウの提供ではありません。「視点と気づき」をいかに提供できるのかという部分です。さて、新たな視点や気づきを得るための一つの選択肢として、私はチャンピオン企業の動向を注視するというものを提唱しています。

これは、当たり前なのですが、チャンピオン企業(例えばグーグルやマイクロソフトのようにプラットフォーム化した企業や事業)が、動けばそれに付随する事業や市場が拡大していきます。以前、アップルのi-podエコノミーという言葉がありました。これはi-pod関連の市場として周辺機器やコンテンツサービスなど関連市場が誕生して大きな経済圏が出来たものを指して言われた言葉です。

実は、この事例はとても分かりやすく、私は新規事業の企画においても注視すべきことではないかと考えています。チャンピオン企業になることも大事だけど、その関連市場でナンバーワンになるという視点も大事ではないでしょうか。つまり、チャンピオン企業に乗っかることを前提にした新規事業の企画を考えるという意味です。例えば、こんな事例があります。日本ビクターが、動画共有サイトの「ユーチューブ」に投稿できるビデオカメラの独自機能を2009年から標準搭載するというものです。

現在は、「GZ−MS100」というモデルのみの搭載ですが、これを標準搭載するまでにしてしまう心意気!要注目ですね。ちなみに仕組みは、PCとケーブルで接続し、ビデオカメラのモニター画面からユーチューブに投稿したい録画画像を選んでボタンを押すだけで、アップロードができるようです。動画投稿サイトが増えていく中でも、未だに圧倒的に利用者数が多い「ユーチューブ」。これに乗っかることを前提にした商品企画として特徴を出すところは面白いですね。

私は、新規事業開発においては、ある時点までは自社がチャンピオン企業を目指しながらも、他社の動向を注視して関連市場へ重心を移行させることも一つの選択肢ではないかと考えています。自社のポジションや既存事業の競合だけをウォッチするのではなく、新規事業企画においては、是非、チャンピオン企業の動向も見ながら考えていきましょう。チャンピオン企業だけを目指すプライドに負けて商機を逃さないことが重要です。関連市場でのチャンピオンを目指すことも一考の価値ありではないでしょうか。

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2008年09月04日

新規事業のコンサルティングとは?

新規事業のコンサルティングという仕事は、本当に難しい仕事だと私は思います。なぜなら、特に企画から携わる場合の事業開発の場合、お客さんの中には「何がしたいのか分からない」や「何が課題か分からないけど独力ではできそうにない気がする」といった曖昧な状態でのご相談が多いからです。もちろん、その曖昧な状態をヒアリングし、次のアクションの提示をすることも私たちのご契約前の大切な仕事になります。

しかし、せっかくコンサルタントを入れて高額な金額で契約するのですから、事前に「課題と期待する成果」を自社で明確にしておくことをお薦めします。たまに、成果が上がらなかったことを100%私の会社のせいにして社内での答申を乗り切ろうとする方もいらっしゃいます。もちろん、そんな時は私が詳細な経緯の説明を経営陣にしに行きますので、そんなことをしてもその方が恥をかくだけですから、何の意味もないことなのですが。。

私は金額に見合った成果をコンサルティングの導入で得たいと思うのであれば、コンサルタントの活用方法も充分に検討しなければいけないと思います。それなくして、とりあえず導入しよう、成果が上がらなければコンサルタントの責任だなんてことをやっていては、成果があがるはずもありません。どの部分を独力で行い、どの部分をコンサルタントのサポートをもらうのか。これの見極め作業が極めて大切になってきます。

逆に言えば、この作業さえうまく出来れば、成果が上がりやすくなるばかりか、成果が上がるまでのスピードも一気にあがるのです。私はコンサルティングの案件に限らず、仕事では「段取り」というものを大変重視します。段取りさえ出来れば、効率的になってスピードが上がりますので、段取りには充分な時間をかけてもいいのではないかと思うのです。それでは段取りとは何のことを言うのか?私は課題の抽出とそれに伴うアクション事項の洗い出し、そして役割分担に、最後はスケジューリングだと思います。

この作業をコンサルタントとクライアントの両者で事前に行うことさえできれば、問題なくコンサルティングに移行するのではないでしょうか。新規事業のコンサルティングとは、相談レベルからして曖昧なものを見えるように形にしていく作業です。そのため、大変難しい仕事だとは思いますが、とっても楽しくやりがいがありますので、私はやめることはできません。課題を明確にすること。しかも早いタイミングで。これが成果が上がりやすくなるコンサルティングではないかと思います。読者の方もご参考にしてください。

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2008年09月02日

3D化する新規事業

セカンドライフの一時の勢いはどうなったのでしょうか?最近めっきりとメディアでも取り上げられなくなってきました。しかし、”3Dインターネット”という概念で見れば、これで終わりというわけでもないように思います。ネットのインフラの問題とPCのスペックの問題が徐々にクリアされれば、私は比較的ゆっくりと3Dインターネットが浸透してくるのではないかと考えています。

もちろん、成長スピードや浸透スピードに関しては予測がつきにくいという側面もあります。しかしながら、その必要性や、活用シーンを各企業が新規事業でしっかりと提示しないと浸透していかないとも思います。その一つのキッカケとなるのでは?と私が注目している事例が、ネットビジネスのインキュベーターであり、投資会社の「ngiグループ」の取り組みです。

この会社、NTTと組んで本格的に3Dインターネットのビジネスモデルを発展させていくようですが、NTTとしても次世代のネットインフラと言われている「NGN」の上で動くコンテンツやサービスを模索していますので、まさに両者の利害が一致した例と言えるでしょう。これに関しては、NTT自身がngiグループに出資して株主になって取り組む本気度。恐らく初めてというくらいにNTTがベンチャー企業に出資した例となるでしょう。

さて、この両雄だけではなく、「メルティングドッツ」というネットベンチャーも、面白い取り組みをしています。同社は、仮想空間など特定サービス内に限られていたネット上のアバターを、通常のウェブサイト閲覧時に登場させる技術を実用化するそうなのです。つまり、会員になれば、同じサイトを閲覧している同士でお互いを視認、会話もできるように。また好みなど個人情報をアイコン化してアバターの周囲に表すことも可能で、関連したブランドマークの表示、サイトのリンクなど新たなネット広告の形態として企業の利用も募るとのことです。(日経産業新聞より一部引用)

一気に、3Dインターネットの世界へ移行するというよりは、メルティングドッツ社のように、まずは通常サイトと3Dサイトの境界をなくすような仕組みからスタートしていくのではないかと思うのです。いずれにしても、新規事業とは未知なる物を形にしていく作業でもあります。そのため、出来る限り、新しい時代の潮流を読み解き、新規事業のネタにしていく”ネタ目”を忘れずにいたいものですね。3D化する新規事業ということで、ネットの次の動向に注意をしておきましょう!

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