≪ スピリチュアルの波は新規事業にも | メイン | 情報を整理編集して顧客を助けろ! ≫
2007年10月11日
何に集中投資をするのか?
最新号の日経ビジネスの特集で掲載されていた「ブラザー工業」の事例はとても興味を持って読めました。それは、企業を買い漁る海外ファンドにも負けないブランドづくりという特集でしたが、私の着目点はブラザー工業の事業の変遷の歴史でした。「ブラザー工業と言えば、ミシン!」、こう連想する方は年齢がばれてしまいますね。もしくはブラザーの本質が見えていませんね。これは今となっては有名になりましたが、「ブラザーと言えばデジタル複合機器!」と連想して欲しいものです。
ブラザーは今でもミシンの世界シェアが25%ですが、既に売上の6〜7割はミシン以外で稼いでいる状態です。キャノンやエプソンと直接バッティングをしないSOHOや中小企業向けに、特に欧米に狙いを定めて参入した複合機器市場。今では米国で、小型のモノクロレーザー複合機でトップシェアを誇るまでに成長しているそうです。実は、私の事務所でもブラザーの複合機にはお世話になっていまして、なんと言っても価格の安さではダントツという印象です。そのため、中小やSOHO企業の間では独特のブランドを築いて来たわけですね。
さて、ブラザーといえば、ちょうど100周年ほどの歴史を迎えるそうですが、「安井ミシン紹介」という名前で兄弟で国産ミシンを開発して、兄弟を表す”BROTHER”をミシンに刻印したことに、そのブランドの歴史の原点があるようです。しかしながら、ミシンの普及とともに売上が減少し、代わりの収益源とした扇風機や洗濯機などの家電、宝石、家具などと多角化経営は迷走が始まるという苦境も経験されました。ここでミシンもダメ、その他もダメということで始めた事業が、社内に残った技術を活用して海外と事務機器に絞り込むことにあったのでした。
そして、今に通じる複合機の活路は、84年のロスオリンピックの報道陣に提供したタイプライターが好評を得たことにありました。それ以後、低価格のファックスなどを開発・販売して事業に大成功したのです。そして今では、通信カラオケや着メロなど通信を活用したコンテンツ事業にまで幅を広げています。また、将来は医療にもつながる、特殊な視覚技術の開発にまで、その展開は広がってきています。
さて、ではブラザーが一見すると、つながっているようでつながっていない異業種の新規事業を次々と成功させ、事業ドメインを広げ、ブランドを浸透させてきた要因はどこにあったのでしょうか。一言で言うと、売る商品が決まってなかったり、事業ドメインが未確定であっても、それぞれの事業の準備の段階で多大な、”技術研究・開発に対する投資”だけは落とさなかったことにあります。ただ、問題はその技術の活用においては、技術が事業ごとに分散してしまっていたため、実際の商品だけは売れていないという問題を抱えていただけなのです。
つまり、異業種の新規事業で成功させる場合にでも、会社として何に集中投資をしてきたのか、そしてその結果として社内にどのような技術やノウハウが残っているのかということが、後でとても鍵を握るようになるのです。従って、異業種でも新規事業を成功させるためには、会社として何に強みを置くのかを決め、そこにいかに大胆な集中投資ができるのかを決断することが大事だと思うのです。たまたま時流に乗ったからや、たまたま優秀な人材がいたからというのは、本質的には事業の成功とは言い切れません。あくまでも、会社としての集中投資の分野が、後の異業種の新規事業に活きてくるのです。
投稿者 compas : 2007年10月11日 20:39
トラックバック
このエントリーのトラックバックURL:
http://www.compas.co.jp/cgi-bin/mt/mt-tb.cgi/123
