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2007年10月11日
成長市場の裏側で
成長市場の中にニッチスペースを見つけることや、成長市場の周辺、または裏側で事業企画を検討することが、中堅・ベンチャー企業の事業開発にとって必要なこと。これは私がいつもセミナーなどで力を込めてお話する内容でもあります。そもそも、大企業のように成長市場に正面から参入するというのは、日々のマーケティング活動だけではなく、新規事業開発に関しても、同様に避けるべきことだと私は考えているからです。成長市場の定義や領域も線引きが難しいのですが、一般的に伸びている市場、そして新規参入企業が多い市場として捉えるだけでも十分でしょう。問題は、成長市場まわりでどんな事業内容を創りあげるかということですね。
私は、ソフトウェアの開発企業で「ルナスケープ」という会社に注目しています。一言で言うと、同社は、個性のあるブラウザー(インターネット閲覧用)ソフトを開発している会社です。いわゆる”カスタムブラウザー”というものです。多くのPCユーザーは、マイクロソフト社のインターネットエクスプローラー(通称IE)やネットスケープ社のネットスケープ(通称ネスケ)を使用していることと思います。これらはPCの購入時にプレインストールされているため、当然ですし、敢えて、他のブラウザーを使いたいというところまではいかないという人が多いのではないでしょうか。ところが、ヘビーユーザーや企業使用となると、そうとは言えません。独自のブラウザーのニーズがあるわけです。
つまり、IEやネスケという大きな市場、大きなプロダクトの裏側で、カスタムというニッチポイントを創りだし、展開している点にユニークなビジネスモデルの特徴があります。同社は、デザイン性が高いブラウザーをダウンロードできる仕組みをつくり、2007年度は170万人の利用者を見込むと言います。そもそもパソコンはデザインに凝った商品が増えてきましたが、ソフトウェアはおしゃれではないという着眼点ですね。好みでソフトの背景色を選べるなんて楽しいじゃないですか。
また企業のプロモーションコンテンツを織り込んだ広告専用ブラウザーの開発や、ヤフーオークション専用のブラウザの開発、昨年はリモコン操作が可能なブラウザーが富士通の秋冬モデルのマイメニューに採用されるなど、カスタムブラウザー事業も多面的展開を見せております。一度、同社の「ダウンロードサイト」も見てみてください。ネットサーフィンも楽しくなりますよ。ダウンロードは無料ですが、現在の収益源は、検索エンジン会社と提携し、ツールバーに内蔵した検索エンジンバーの利用に応じて広告収入を得ています。また、これ以外には起動時のトップページに商品紹介や専用サイトを表示する企業向けの販促ブラウザーの開発でも収益を上げています。
さて、同社は2001年に近藤社長が、早稲田大学の大学院在学中に開発し、2004年に法人化した企業です。まだまだ若い企業ですが、IEのような巨人ソフトの隙間を縫うようにして、ニッチスペースを開拓した事例としてはとても勉強になります。私は、今後この会社は成長すると思いますし、世界へ出て行くことも可能ではないかと見ています。カスタマイズや細かいニーズに対応する技術やマーケティング力は、日本ならではの”きめ細やかさ”が活かせるからです。成長市場には巨大な企業や、巨大な商品が存在しています。しかしながら、その周辺、時には今回の事例のように裏側でニッチビジネスを計画すれば、リスクの高い新規事業であっても、勝算は立てることが可能になります。大手企業やシェアの高い商品が手がけにくいもの、手がけたくないものなどを事業計画化し、ニッチビジネスをどんどん開拓していきたいものですね。
私は、セミナーやコンサルティング先で、大手企業の担当者を相手にすると、毎回のように同じコトを言われます。もっと巨大な商品に育つような大企業向けの新規事業の仮説を教えてくださいと。ニッチビジネスだけでは、あまり考えることができませんと。しかし、これって正しいことでしょうか。ニッチビジネスをどう巨大事業に育てたり、積み重ねていくのかということが、本当の意味で大事だと私は思いますけどね。液晶も今でこそメジャー商品の技術ですが、かつてはニッチ市場だったわけです。ニッチビジネスをバカにするなとは私のコンサルティング活動におけるポリシーでもあります。幹になるニッチビジネスは、新規事業開発の入り口として欠かせないものである。私は、コンサルタントとして、そういう考えを持っています。
投稿者 compas : 2007年10月11日 18:33
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