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2007年12月24日
制度と戦略の定石の両軸が大事
社内ベンチャー制度を設けて、社員から新規事業の企画を募る企業は大企業を中心に多く存在します。しかしながら、あまり成功している企業が多いとは決して言えない実情があるのは、残念なことです。それは組織上の問題や起業者の甘えなど精神的な問題、そしてスキルの問題など、社内ベンチャー特有の問題が存在していることに原因があるようです。
そんな中、いくつかの事業が軌道に乗り出し、上手に社内ベンチャーを運営されている松下電器のような会社も出てきました。松下電器は、「パナソニック・スピンアップ・ファンド」という名称でファンドを組成して「社内ベンチャー制度」を整備した本格派として、以前より私は注目していました。実は、この制度は同社においては創設から7年ほど経つようですが、試行錯誤の連続であったようです。
ただ、同社が他社の制度以上に、軌道に乗った企業が多く生まれる背景には、社内ベンチャー特有の甘えを許さなかったことと、個々の事業企画が、”強みを活かして特定顧客に食い込むニッチ戦略”を的確にとっていたからだと思われます。ちなみに、同制度と同ファンドは経営不振にあえぐ2000年に立ち上げましたので、当時の中村社長の英断だったと言っても過言ではありません。
まず、同制度は、ファンド設立後3年間で社内で挑戦できる風土をつくり、第二段階として会社として収益を出せるかどうかを目標にしたとのことです。事業企画の審査には社外のベンチャーキャピタルの幹部を招くほどの徹底ぶり。また、審査にかける前の事業計画のブラッシュアップには、外部のコンサルタント会社を導入してプチMBAのように、徹底した教育も施したと聞きます。
また、原則三年以内の営業黒字化と五年以内の累損解消を求められますので、社内ベンチャーだからという甘えが入り込む余地はないわけです。提案者には、1割以上の出資が求められ、9割ほどは松下本体が出資してくれるとは言え、特に技術系の企画になると、資金面でも常に緊張感が強いられる状態です。そんな中から、既に7年間で27社を創出し、営業黒字の会社が14社誕生したと言いますから、かなりインキュベーションに成功しているのではないでしょうか。
例えば、電子看板を手がける「ピーディーシー」は、成功企業としてもよく事例に取り上げられます。同社は、公共施設や大規模商業施設を主要顧客とし、薄型ディスプレーの設置からコンテンツ作成・配信までを行う事業で2006年度には、年商14億円、経常利益で2億円も稼ぎ出したといいます。もちろんディスプレーには松下のプラズマを用いていますので、親会社との連携も働かせていますね。
また、同社の強みはコンテンツの作成だけではなく、効果測定までするところに強みがありますので、今後が楽しみな企業でもあります。同社のように営業黒字の企業が増えてきたことにより、株式公開や他社への売却などイグジット(出口)も事務局では検討し始めたとのことのようです。
さて、社内ベンチャーでは成功事例がなかなか出にくいと言われてきましたが、松下電器の事例のように、「事業性の判断を厳しくした制度」と「強みを活かしてニッチを攻略する」という部分を徹底して、積み重ねれば充分成功モデルは築けるのではないかと思います。親会社が活かしきれない技術やアイデアを死蔵させないためにも、上手に社内ベンチャーを位置づけ、取り組まなければいけませんね。
投稿者 compas : 2007年12月24日 14:18
