2008年03月24日
必要なものだけを最小限に
デジタル化社会の本質とは、実はシンプルな社会になるということではないだろうか?私はたまにこう思うことがあります。一見すると、ネットインフラの充実によって情報過多になり、ますます複雑化していくように思えますが、逆に、”必要なものを最小限”だけ得る、使うというライフスタイルが当然となるような気がします。新規事業の企画においては、いたずらにWEB技術のトレンドを追うのではなく、実は”シンプル”にするという視点がコンセプト構築で必要になってくるのではないでしょうか?
例えば、デジタル機器の世界においても記憶装置や記憶媒体は持たずに、ネットの先の大保管庫に預けるという潮流が出てきていることを日経産業新聞では、先日特集を組んで掲載しておりました。例えば、ニコンが開発したデジカメの「S51C」は、撮影した写真は無線LANを使ってニコンのデータセンターにある記憶装置に吸い上げられる仕組みを採用しました。利用者には、一人当たり最大で二万枚近い写真データの保管場所を提供すると言います。
こうなれば、時間や場所を選ばずに、誰もがPCや携帯電話で画像が引き出せるようになります。ニコンでは、月額350円の課金制にしても、カメラの拡販につながれば採算が悪化しても意義があると判断しているようです。さて、この事例から何が学べるでしょうか?”いつでも、どこでも”という一昔前の言葉、ユビキタスを連想しますか?それも大事な視点でしょう。でも、私は違います。既存のものから何かを引いて価値を生み出す、「引き算式の企画創出」に興味があります。
何かと何かを組み合わせて事業企画を考えるというものがあれば、逆に今あるものから機能などを減らして、価値を生み出すアプローチがあることを事例では教えてくれます。今の時代、社会が成熟しすぎていて、消費者はお腹いっぱい状態になっています。そのため、逆に、引き算式の企画創出がどんどんクローズアップされてくるのではないかという私は仮説を持っています。
特にネットをはじめとするデジタル産業では、この傾向が際立ってくるのではないでしょうか?なぜなら、必要最小限だけでいいという考え方と同時に、IT技術を用いれば、コストが安くなったり、省エネが可能になったりと、各種のメリットが享受できることを消費者が知り出したからです。東芝が「HD−DVD」の規格から撤退し、「ブルーレイ」とどちらが優位かなんていう争いが最近まで激しくありました。
しかしながら、”必要なものだけを最小限に”という社会では、この不毛な規格争い自身が時代遅れと言えるでしょう。必要なときだけ必要なものをブロードバンド回線でダウンロードし、記憶装置は普段は持たないというスタイルが浸透してくる可能性が高いからです。それが証拠に、アップルの新型の薄型ノートPCでは既に記憶装置がついていません。シンプルに引き算式の発想で企画作りを進めてみること。今後は、こんな時流に注目していきたいと思います。
投稿者 compas : 13:16
2008年03月17日
プラスアルファで差をつけよう!
新規事業におけるニッチ市場の開拓とは、発想力の豊かさで可能になるものではないというのが私の持論です。その多くは、プラスアルファの”捻り”を入れたり、”尖り”を出すことだけで、可能になるのです。例えば、家の中で置き場所がなくなってきたモノを保管するというアウトソーシングの企画を考えたとしましょう。ここまでは、着眼点勝負ですね。
ただ、それだけではクリーニング業界や倉庫業界が当たり前のように参入してきますので、差別化は図れません。つまりニッチ市場にはなり得ないわけです。そこで、プラスアルファの要素を付加してみるのです。まずは、衣料品の保管に特化してみる。更に、その対象を富裕層にしてみる。この二つの絞りで、ニッチ性がようやく生じてきますね。
更に、預かったすべの衣料品を、フォトグラファーが見栄え良く撮影し、撮影画像のデータベース化を行って、種別ごとに分類することで、すべての商品をオンラインでチェックできるようにしてみる。これにより、顧客に安心感というプラスアルファの要素とITを活用したニッチ性が更に深まってきます。また、サイトを見て必要なモノをチェックしたら、希望箇所へ配送するサービスまで手がけてみる。
そして、配送時は、ちょっとした仕立て直しのためのお針子さんや足ツボマッサージ、ドレスとアクセサリーのコーディネイト、ドレスにあったメイクアップやマニキュアなど、様々な付帯サービスも提供してみる。
ここまですれば、顧客にとって至れり尽くせりというだけではなく、ニッチ性がどんどん高まりつつも、収益性の向上につながってきます。
つまり、ニッチ市場の開拓といっても、プラスアルファの積み重ねでしかないということなのです。初めから、ニッチ市場を発想によって見出すなんてことは容易ではありません。そのため、身の回りの事象や既存事業にプラスアルファになる部分を付け加えていって、ニッチ市場の開拓にあたっていただきたいと思います。
ちなみに、事例に取り上げた考え方で事業展開をしている企業が実際にあります。それは、「ガードローブジャパン」という会社です。参考までに。。。
投稿者 compas : 11:28
2008年03月12日
高付加価値型に特化せよ!
「成長市場の中にニッチ市場を発掘すること」。これは私が説く、新規事業の離陸フェーズまでの原理原則です。ただコンサルティングの現場では、企画業務においてこの原理原則に対する質問が飛んできます。それは、「成長市場は見つけやすいけど、ニッチを発見するのが難しい」と。確かにそうですね。そこで、一つの考え方として、”誰も非効率でやりたがらない市場は?”、”誰も採算がとりにくそうでやりたがらない市場は?”という質問を投げかけていきます。
つまり、これら他社がやりたがらない市場テーマは、形にすることが出来れば、高付加価値サービスとして高収益を得ることが可能になるということです。例えば、「エフワン便」という会社があります。一言で言うと、緊急配送に特化した事業を展開している企業です。そして、そのコンセプトは「物流の救急車」と、とても分かりやすい。東京や大阪など都市内はバイクや車で、都市間は航空機をうまく組み合わせて全国に運ぶそうです。
もちろん、料金は通常の宅配便よりも高いのですが、企業からの需要は旺盛で、事業拡大を図っているようです。ちなみに、仕組みを見てみると、意外にもシンプルでした。長距離の都市間輸送では、航空貨物や新幹線の貨物サービスを組み合わせるのですが、貨物がない区間は、配達員が新幹線に乗って手で商品を運ぶこともあるそうです。情報化社会で経済がスピード化している時代にあっては、同社のようなサービスもニーズが拡大するわけですね。
しかし、大企業の場合でも、緊急の物流ルートを自前で確保することは難しく、効率的に列車のルート選択をするなど職人芸的なノウハウも必要になってきます。そのため、逆に一見すると非効率に見え、収益を得るのが難しそうなテーマに特化したエフワン便は、独自の事業を確立することができたわけです。
どこか他社がやりたがらないテーマに特化して高付加価値型サービスを目指してみる。そんなスタンスで成長市場を見てみれば、ニッチの発掘も可能になるのではないかと思います。低採算、非効率と言われてきた身近な課題を一度棚卸してみましょう。そして、そこで効率と採算性を向上させる仕組みを考えてみましょう。とっても、足腰の強いニッチ市場の開拓が可能になってきます。
投稿者 compas : 10:52
2008年03月05日
成功の秘訣は組織運営にあり!
新規事業開発において事業計画以上に大切なもの、それは大前提となる組織運営にあります。組織運営が正しくなされていなければ良い企画も宝の持ち腐れになってしまいます。そこで、今回は組織運営面から新規事業の成功の秘訣を探ってみたいと思います。
1.新規事業を聖域扱いに!
多くの企業は新規事業の扱いを、他の事業部と同じ扱いにしてしまう場合が多くあります。例えば、新規事業の業務も他の事業部の事業と同じような扱いで評価してしまう場合。実績や人事評価も他の事業部と同じような査定基準で見てしまう場合などです。しかし、ここで間違ってはならないのは、新規事業は他の事業とはまったく別の業務であることを経営者は理解しなければなりません。なぜなら、未知なる新しい取り組みは、その業務のスピードも、業務の内容もまったく既存事業とは異なるからです。
ゼロから企画を作って、事業計画を作成し、経営資源を調達して、実行していく。しかも壁にぶつかってばかり。こんな難しい業務に他の事業部や既存事業の基準は何も通じないわけです。したがって、私は新規事業を担当しているメンバーにだけは、聖域扱いして「社内経済特区」を設けるべきだと日々説いています。
2.社内経済特区は、トップの姿勢から
前述したように新規事業は社内でも聖域扱いされるべきですが、問題は聖域に対して社内で不公平感が生まれてしまうリスクがあることです。実は、経営者はこれを一番恐れてしまいます。しかし、新規事業は将来の本業を作ることに他なりませんので、他の社員にどう思われようと、意地でも推進し、新規事業を担当している社員を守らなければなりません。言い換えれば、経営者が新規事業担当者を最後まで守りきれるかどうかが、成功の鍵を握るとも言えるのです。
3.片手間か?本気か?
新規事業支援に携わっていると、経営者が本気でやる気があるのかどうか疑わしいと思うことがよくあります。実は、突き詰めて考えていくと、経営者の多くの本心は、「新規事業がうまくいけばいいなぁ〜・・・」、「社員が良い企画を出してくれたら嬉しいなぁ〜・・・」などと、どこか他人事のような気持ちを持っていることが多いのです。または、願望ばかりで本気で成功を考えてないというケースもよく見受けます。
つまり、「新規事業が必要なことは分かるけど、本気で取り組むのが怖いので、少し号令はかけるけど、様子を見てみよう」という考えのようです。これでは、成功などするはずがありませんよね。片手間や受身ではいけません。組織運営の以前の問題ですが、これはよく見る光景であることも困りものです。新規事業のプライオリティを上げて、是非全力で取り組んで頂きたいものです。
4.缶詰研修で本気創出と優良な企画創出を!
さて、最後になりますが、私は本気で新規事業に取り組み、優良な企画を創出するには、缶詰研修が一番いいと思います。研修中に、必要なスキルを習得しながら、企画の目標設定を行って、社員には期間中に必ず企画を提出してもらう。そして、そこには必ず経営者や事業部長クラスも参加する。
こうすることで、社員は経営者の本気度を感じ、更にスキルアップと企画創出の一石二鳥が図れるわけです。缶詰研修は、実は効果的な組織運営をするためのトリガーにもなりえますので、一度導入してみることをお勧めします。新規事業開発における組織運営の秘訣は、社内経済特区と経営者の本気度にあることを覚えておきましょう!
投稿者 compas : 10:11
2008年03月04日
損益計画は難しく考えなくてもいい!
新規事業開発において事業計画を作成する際に、「財務」計画の部分で頭を悩ます方が多くいらっしゃいます。しかし、難しく考えなくてもポイントだけを押さえておけば、意外にも財務計画は簡単なものです。そこで、今回は戦略立案の際に覚えておくと役に立つ方法をご紹介したいと思います。
1.目に見えるものを優先しましょう!
本屋に行って、財務に関する書籍を見ると専門用語ばかりで気が滅入ってしまいますよね。しかし、その多くは財務“分析”に関するもので、事業計画に必要な損益計画などを“組み立て”ていく手法を解説した平易な本はあまり見かけないのが現状です。そこで、私は簡単に損益計画を組み立てていく手法として“目に見えるもの”を優先しましょう!といつも説きます。
目に見えるものとはなんでしょうか?それは、出費の部分で、しかも特に固定費の部分を指します。人件費や事務所、店舗の家賃などは最も明確にしやすい出費ですよね。また例えば食材や部材の仕入れなど変動費に関しても、単価の相場を調べれば比較的明確にしやすいことからも、まずは出費(コスト)を優先的に、明確にすることが損益計画の作成の第一歩目となるわけです。
2.ポイントはコストの項目を細分化すること!
問題は、どのようなコストが発生するのか机上の段階では分かりにくいというものがあります。しかし、ここは徹底的に細分化して検討してみてください。固定費と変動費というアバウトな分け方だけでは事業計画を裏付けるだけの説得力を持ちえません。例えば部材の仕入れであれば、どんな品目がそれぞれいくらくらいの単価なのか、そして人件費であれば、能力や年齢によって異なる給与相場がいくらで、何人分のコストが発生するかなど、相当細かい調査と試算が必要になります。
3.売上をどう試算するか!?
さて、コスト構造が把握できたところで、今度は売上のシミュレーションを始めます。問題は、まだ立ち上げてもない事業の売上を予測することですよね。多くの方が机上の空論に違和感を感じながら、記述する部分でもあります。そこで、私はまず「客単価×客数」の公式を徹底してもらいます。難しい数式を用いる方も多いのですが、やはりこの公式が基本中の基本となります。
さて、それでは客数をどう見るのかという部分の問題がありますよね。これは、「類似業態や競合企業の実績を参考にする」、「市場規模×シェアより仮説を立てる」、「前提条件なしに目標設定する」という3つの手法から、自社のスタンスと状況にあった数を“仮説”で作成します。見えない市場で客数を予測することなど困難ですから、仮説を立てて、実際にはシミュレーションしていくことになります。
4.初年度だけ詳細に、3年後はスケール感を!
さて、最後になりますが、どこまで財務のシミュレーションは詳細に行うべきかという質問も私はよく受けます。一言で言えば、初年度だけは予測が立てやすい期間のため、できるだけ詳細に記述してください。3年後に関しては、特にIT系やサービス業など市場環境の変化が早い業態の場合は、発展した場合のスケール感がイメージできるように作成すれば私はOKだと思います。「初年度だけ詳細に、3年後はスケール感を!」というのが、私の基本スタンスでもあります。
色々と書きましたが、財務の計画は、難しく考えずに出来ることから始めるというのが一番のコツとなります。
投稿者 compas : 18:30
