2008年05月31日
特注品を狙え
特注品市場は、とってもニッチな市場。だから効率が悪く、儲からない。こんな通説が一部ではありました。しかしながら、特注品は根強いニーズと顧客層があるという逆の側面もあります。そのため、私は成長市場においても、初めから特注品市場で新規事業開発を行うことも一つの方法ではないだろうかと思います。例えば、IT系でコンテンツ企画の「Xarts」の事例を見てみましょう。
この会社は新サービスとして、衣装や音楽、映像などの特注品を求める人と制作者を引き合わせるサイトを7月に立ち上げる予定であるとのプレスリリースが先日ありました。特に日経産業新聞の記事によると、需要側の希望と供給者側の売り込み作品を公開してマッチングさせ、一般に流通しない商品・コンテンツの取引ルートを開拓するとのことです。映画やゲームに登場する衣装などが高値で取引されているところに着眼したところがおもしろい。
ちなみに、需要側は一般消費者のほか、アーティストも可能で、供給側はアマ及びプロのクリエーターを想定しているらしいです。取引商材は、特注品の衣装や道具、プロモーション用の音楽や映像などが中心になる見込みで、同社は、購入者から制作料金の30%を手数料としてもらう仕組みにされています。今、消費者やセミプロの力を借りて商品開発を行う事例がネットにおけるマッチングモデルで増えています。そして、その広がりは特注品などにも広がってきています。
そのため、私はいかに特注品のカテゴリーを時流となっているビジネスモデルや、世の中のトレンドに応じて見出すかということが鍵になるのではと考えています。特注品市場は、儲からない小さな市場ではなく、カテゴリーの創出力にもよるのではないでしょうか。読者の皆さんが、新規事業を考える際に、特注品市場というものを視野に入れ、どんなカテゴリーで事業を展開されるのか検討してみませんか?ここにはモノづくりモデルでも、ネットモデルでも、大きなマーケット開拓のヒントが含まれていると思います。
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2008年05月26日
アイデアは複数のルートから
最新号の日経ビジネスには全日空(ANA)が複数のルートからアイデアを吸い上げて、CS向上や新しいサービス企画に役立てているというレポートがありました。なるほど!と思うと同時に、私がコンサルティング現場で日々感じることと重なる部分があると思いながら読んでいました。ANAは、年間30回も社長や役員と直接対話する場が設けられているそうですね。
また、その他にも新規事業などの提案制度、そして企画だけを担うANA総合研究所という子会社を設立したりと、あらゆるルートを作ってアイデアを社員から吸い上げるようにしています。私が見る多くの企業では、とりあえず社内提案制度を作ったので、公募をして欲しいとだけ願う事務局スタッフ。そして、何でもいいからアイデアを考えて出してみろと口だけで言いっぱなしの経営者。こんな風景が繰り広げられています。
しかし、レポートを読む限りではANAほど徹底した企業はまだ珍しいと思います。何か一つの手段を用いて新規事業を提案させようとしても、会社の本気度を社員がくみとってくれるわけではありません。徹底的に、そして貪欲に提案できる場の設置と、そのための促しを行わなければ簡単には社員は手を挙げてくれないものなのです。ちなみに、ANAでは、20代の女性社員から提案された安全教育センターの設立などが既に実現済み。
そして、中にはANA銀行を作りたい、機内モニターで現地を案内する電子スチューワデスはどうかなどのアイデアが続出しているといいます。また、アイデアは出させっぱなしにせずに、優秀なアイデアにはアカデミー賞の受賞さながらに、赤絨毯を敷き詰めたところで表彰式を行うなど、モチベーションアップにも余念がありません。同社はアジアナンバーワンを目指すといい、そのベンチマーク先をシンガポール航空に設定しています。明確な目標ですね。
そのためには、現場にいる社員の力、意見が大事何ですという姿勢を、トップ自らが打ち出している。その一つの有力手段が、社員のアイデアを吸い上げる複数ルートの設置ということです。多くの会社では、社員がいつか提案してくれるだろうと甘い期待を抱きすぎ!また提案制度をつくれば、提案してくれるだろうと制度に頼りすぎ!まずは、複数のアイデア吸い上げルートをつくるところから始めるのがよいのではないかと私は思います。
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2008年05月20日
コツコツと
全く未知の市場に進出する新規事業は上手くいきません。これは一つのセオリーだと思います。しかし、私は以前より「情熱×人材」がそこに存在するなら、そのセオリーを無視して頂いてもいいですとクライアントには説いています。未知なる市場に参入する新規事業がこの世からなくなれば、あの「ヴァージングループ」も存在しなかったわけです。つまり、まずはセオリーどおりに新規事業を考え、時には未知なる市場に参入することも恐れる必要はないとも言えます。
ちなみに、私は昔、マッキンゼーというコンサルタント会社出身の人間に言われました。「キミねぇ、全く異なる市場の新規事業をやってうまくいった例なんかないよ。うまくいくはずがない!」と。何の豪語や!と思いながら、あほらしくなって返答はしませんでしたけど。それなら、ヴァージングループも三菱商事などの総合商社や、コングロマリットを否定するのですかと。それは大企業だから例外という言い訳は通用しませんよね。
そこで、一つ小さな、異業種参入の企業の事例をご紹介しましょう。カルチャースクールを運営していた会社が飲食店で成功する話です。「ブラスアンドカンパニー」という会社は、ずっと教育事業を中核にしてきました。ところが、5年ほど前に、同社の社長である坂入氏は、ふとニューヨークで訪れた韓国料理のスンドゥブ専門店に魅せられたのです。これは豆腐を使った家庭料理でまだ日本では知名度が低い状態でした。
そこで、日本では競合が少なく、豆腐や魚介類を使用するスンドゥブなら健康志向の高い日本で受け入れられるはずだと判断し、新規事業を決断したと言います。とはいうものの、同社は全くの門外漢。そこで、料理が得意な従業員らが集まりレシピを研究。韓国での食べ歩きなども重ねて独自のスープを開発したといいますから、その努力には頭が下がる思いです。本当に成せば成るですよね。そして2006年に完成した一号店は「東京純豆腐」。
セントラルキッチンの活用による効率化やメニューの多様化などを重ね、現在では月商が800〜900万円ほどの店も誕生。そして今夏からは千葉県内にFC1号店が開業予定だといいます。(日経産業新聞参考)さて、いかがでしょうか?よくある開店ストーリーかもしれませんね。しかし全くの門外漢である企業が、一人の気づきから発生した事業化への未知としては良い事例ではないでしょうか。
この事例から紐解けることは、何事もコツコツと努力していけば、未知なる市場かどうかは関係ない。時には知識やスキルを超越することだってありえるのです。全く知識やスキルがなくてもいい。ただコツコツと仕組みを作る姿勢を持つなら、未知なる市場も新規事業の対象にしたっていいじゃないか。私は少なくともそう思います。なんだか精神論みたいになってしまいましたが、これも大事なことであると思います。
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2008年05月19日
些細な視点
新規事業の企画業務において、必ずしも大きな視点を持つ必要はないということを皆さんはご存知ですか?夢ばかりを見るのではなく、時には些細なことを大きくしていこうとすることも必要なのです。日常にあるどんな些細なこともビジネスにしていく貪欲さがあれば、何でも企画化していくことは可能なのではないでしょうか。いつもメガ・ヒットばかりを目指す必要はないのです。
例えば、玩具メーカーのバンダイはこの点において、良い事例を提供してくれます。例えば「プチプチ」という商品を皆さんはご存知でしょうか?少し同社のHPから引用してプチプチを活用した玩具のご紹介をしましょう。そもそもプチプチとは、ポリエチレン製の無数の気泡をシート状にした、壊れやすいものを包む緩衝材のことです。本来の使用方法は、緩衝材としてですが、この気泡を指でつぶしたときの「プチッ」という心地よい感触が病みつきになるという側面もよく知られています。
同商品「プチプチ」は、そんなプチプチをつぶした感覚を本物そっくりに再現したキーチェーン玩具です。表面の気泡の粒を指で押すと、プチプチとはじける感触を味わうことができ、内蔵されているスピーカーから出る効果音で、本物のプチプチをつぶしているかのような感覚をお楽しみいただけます。いつまでプチプチしても、なくならない安心感と、どこでもプチプチ出来る手軽さ、何回も押した時に「プチッ」以外の効果音を聞くことが出来る遊びの楽しさがこの商品の魅力です。とのこと。
なるほど、確かにこれは触りたくなりますよね。そして、あ〜分かる分かるという反応が得られそうな企画。実は、これ、かなり些細な生活者としての視点や気持ちから商品化されたと聞きます。まさに、担当者が貪欲にビジネス化した些細な視点の良い例と言えるでしょう。そしてもう一つ、「バブリーバブルバス」という商品をご存知ですか?簡単に言えば、札束を浮かべて風呂に入るシーンの提供です。
ある日、商品企画担当者が、翌週の企画会議に提出するネタがないと悩んでいた時に、読んだ雑誌の写真広告を見て気づきました。札束を浮かべて風呂に入るという誰しも面白おかしく憧れるシーンを提供できたらと・・・。些細な視点が企画に結びついた事例ですね。詳細は、同社のサイトで商品案内を見るのが良いでしょう。ちなみに、サイトでは、次のように紹介されています。
「バブリーバブルバス」は、あこがれの“お札風呂”が体感できる入浴剤で、片面にお札をイメージしたプリントを施した、紙状のあわ入浴剤が10枚入っています。1枚ずつ浴槽に散らし入れ(1回の入浴につき10枚以内が適量です)、入浴剤が溶けてきたらシャワーなどをお湯の表面にあてるなどしてお湯を泡立て、あわ風呂をお楽しみいただけます。香りはさわやかなヒノキ風呂の香りです。
商品の中台紙には、お金にまつわる格言入りで(全13種、例:「財布が軽ければ、心は重い。」)、また「大当たり」の文字が出れば、お札型のオリジナルハンカチ「バブリーハンカチ」10枚セットをもれなくプレゼントします。 う〜ん、面白い!どうでもいいものだけど、買って試したくなります。
これは一度サイトの写真を見ていただいた方がイメージしやすいかもしれませんね。さて、私が言いたかったことは、一つだけです。メガ・ヒット級の新規事業や商品開発を狙って発想しようと思ってもなかなか難しいものです。それよりも、日常見る些細なことにどれだけこだわって、深く掘り下げて洞察していくかということがとっても大切になってくるのです。どんな些細なことも”ネタ”として見逃さずに、商売につなげてみましょう。
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2008年05月07日
本業をいかに超えるか!?
今朝の日経産業新聞には、なるほどと考えさせられる記事が掲載されておりました。カジュアル衣料店の「しまむら」が好決算ではあるものの、連結営業利益に占める単体での利益比率が99.7%にも上るとのことです。つまり、本業以外は全く儲かっておらず、主力業態だけで利益を出しているという意味になります。これは考え方によっては未来への投資が上手くいっていない証拠でもあり、新規事業(同社の場合は、新業態)開発がスムーズではないというものです。
同社は、幼児品専門店や服飾雑貨専門店、靴専門店なども展開されておられます。実は、多角化や新業態の開発を本格化させたのは、約10年ほど前に遡りますす。当時500〜600店舗ほどあった「しまむら」は国内需要は1000店舗が上限と考え、新業態を次々に立ち上げたのです。しかし、1000店に近づくと、目標を2000店舗まで延ばし、店舗形態をきめ細かく変えて都市部などに出る事で出店の限界を突破したのでした。
これだけを見ると一見、それならそれで、いいではないかとなりそうですね。しかし、需要が減少してきている国内市場で単一の業態だけで生き延びることは、至難の業とも言える時代に入っています。そのため、新しい業態開発できめ細かく生活者のニーズに応えていくのか、海外へ出店していくかの選択に迫られていくのが実情でしょう。そう考えれば、未だに本業頼みの会社経営はとってもリスキーであるとも言えるわけです。
ちなみに似たような経営事情は、ユニクロの海外事業が今ひとつパッとしない点や、吉野家が牛丼に支えられている点とも似通っていますね。さて、この点に関し、日経産業新聞では、面白い問いかけがありました。それは「新規事業が超えるべき壁はそれほど高いのか、強すぎる本業に弱い新規事業が頼ってしまうのか。どちらも正解なのだろう。しかし本業の成長エンジンも徐々にブレーキがかかる。」
なるほど、これは物事の本質を突いた指摘ですね。本業が強すぎると、新規事業で成長を目指すことが、社内の風潮もモチベーションから言っても容易ではありません。私はかつて大手玩具メーカーの新規事業コンサルティングに携わったことがありますが、同じようなジレンマがありました。強すぎる既存事業や本業との兼ね合いをどうしていくべきか。これは会社にとって重要な視点だと思います。しかし、新規事業を重ね、企業成長を目指さなければ生き残りさえ難しいこのご時世です。
本業との兼ね合いを新規事業にも定義づけ、本業をいかに超えるかを真剣に議論し、早期に収益化を図らなければどんな企業たりとも余談を許さない状況ではないでしょうか。しまむらをケースにした本日の記事はとっても重要な示唆を与えてくれます。普段、どんな事業を行うのかという企画の議論が多いですが、改めて本業との兼ね合いなど新規事業の位置づけや提議を徹底的に議論することも必要ではないかと考えています。コンサルティングの現場より、これは強く日々感じますよ。
投稿者 compas : 17:40
