2008年04月05日
販路に注目!
新規事業の相談を受けると私は、まず御社の強みは何ですか?と質問します。それは強みを活用した新規事業を検討した方が成功確率も高いからです。ただ、うちは強みという強みが無いんです〜と経験的には7割ほどの企業がこう答えられます。しかし、本当にそうなのでしょうか?強みがなければ、会社として既に存在しませんよね。そもそも、複数のお客様と既に取引をしているではありませんか?つまり、販路を活かして事業内容を拡張するという発想でもいいのです。
例えば、JTBという会社があります。今や持ち株会社化して、「事業内容は相当多岐に渡っており」、今までもメルマガなどで同社の展開については私も取り上げてきました。さて、このJTBという”旅行会社”は、異業種の分野も含めて相当事業内容の幅が広くなっています。しかし、一見すると異業種の分野へ進出しているようでも、共通項もあります。それは、法人営業にも強く、法人に相当食い込んできたという実績です。
JTBの旅行以外の新規事業の代表例を一つご紹介してみましょう。最新号の日経ビジネス誌にも掲載されていましたが、「株主総会の運営を代行」するという事業です。株主総会の運営は、年々個人投資家の数の増加によって自社業務としては負荷が重くなってきています。そこに、JTBは目をつけたわけです。”会場手配”という部分は、旅行に限らず、自社が蓄積した強みの一つでした。つまり、法人営業で開拓してきた販路に、会場手配という強みを組み合わせた事業が、株主総会の運営代行でもあったのです。
ポイントは会場の調査・手配に留まらずに、スタッフの手配から、招集通知の手配など一貫したサポート体制をとるところにあります。また、株主総会に限らず、海外投資家向けのIRサポートだって事業としては可能になってきますよね。つまり、旅行というドメインにこだわらずに、法人との取引実績を強みにした新規事業で拡張を図っているという構図になっています。
現在、旅行業界は、楽天トラベルや一休COM、リクルートの”じゃらん”などネット媒体が台頭して、簡単には生き残れない時代になってきています。そんな中、旅行というドメインだけにとどまっていては将来も安泰できなくなります。そのため、JTBは、どんどん事業の拡張を図って来ました。私は事業の多角化というと少し重たい感じがしますし、未知の領域に進出するイメージが強くなると思います。
そのため、”事業の拡張”という言葉で、強みを活用した新規事業を検討してみてはどうかと思うのです。その際には、現在取引している販路に注目し、売るものを変更することで、新しい事業領域に踏み出せないかなどを検討してみましょう。
投稿者 compas : 14:19
2008年01月23日
発展イメージを持とう!
ここ三ヶ月間くらい、私のクライアント先では「発展イメージを持ちましょう!」という言葉がたくさん飛び交っていました。日々、様々な新規事業の企画書を私は拝見しています。ところが、企画は面白くても、その企画が今後どのように発展していくのかが読み取りにくい企画書を多く見受けます。着眼点は良くても、やはり事業として拡張し、発展していかなければ新規事業の意味を成しえません。従って、新規事業の企画作りは、発想だけではなく、その後の事業戦略や展開も充分考えておきたいものです。
さて、発展イメージを作る際のコツをここで考えてみたいと思います。私は、一言で言えば「強みを軸にした展開」ということに尽きるのではないかと考えています。強みを軸に、どう広げていくのか。強みをどう転化させていくのか。実は、新規事業開発のような新しい取り組みに際しても、この”強み”というものが大きな鍵を握ります。例えば、給食やカラオケ事業で有名な「シダックス」という会社がありますが、同社は発展イメージを「総合業務受託業」と位置づけして、新規事業開発を行っています。
その大きなキッカケは、日光江戸村などを経営していて業績が悪化していた車両運行事業を行う、「大新東」を買収したことにありました。どこに接点を見出すのかと思いきや、新規事業計画では、ハイヤーや送迎バスなど車両管理と食堂や売店、清掃、経理、駐車場などの施設管理を一つのパッケージにして販売するといいます。これらも含めて一括受託できると、案件ベースでの単価は4〜5倍になることも複数生じてくるのです。
元々企業向けに食堂や給食の受託事業を展開してきたシダックスですが、今後は脱・給食を目指して、総合受託サービス業としてどこまで飛躍できるのか、ウォッチしていきたいものです。将来の発展イメージを口で伝えるのは難しいですが、事業領域を表すキーワードを設定したり、ロードマップを図示することなどで、将来の発展イメージをクリアにしていきたいものですね。
強みをフルに活用して、新しい市場を開拓する。そして開拓できた市場を突破口に、発展イメージを形にしていく。こんな流れが、事業計画書の中にも必要になってきます。皆さんの企画書や事業計画書には発展イメージが書かれていますか?新規事業とは会社の将来の本業でもありますので、この部分はとっても大切な部分だと私は思います。
投稿者 compas : 12:39
2007年12月28日
特定顧客という強み
強みを活用した新規事業を検討する。これはどんな企業にとっても至上命題なことですね。しかし、どんな強みを活用するのか、またどの強みを企画に活かすのかという部分は難しいことでもあります。そこで、まず初めに私のコンサルティングでは、とことん強みの棚卸作業をしてみるステージを作ります。それによって、実は新規事業の企画さえも、イメージしやすくなる効果も生じるからです。
数ある企業が持つ強みの中で、新規事業に活用しやすいもの。それを挙げるとすれば、私はまず「特定顧客とのパイプ」を挙げますね。特定顧客とのパイプさえあれば、その顧客が求めることを徹底的に掘り下げて検討し、提供する価値の選択肢を増やしていく作業を行ってみるとよいでしょう。俗にソリューションという言葉が使われたりもしますが、そんな言葉よりも中身が大事です。
さて、特定顧客とのパイプという最大の強みを活用して、新規事業の定石を踏む企業に「一休」という会社があります。多くの方はご存知だと思いますが、高級ホテルに特化して予約仲介をネット上で手がける企業ですね。今では一部上場企業にまでなりました。ニッチだと思っていた市場をメジャーにしていったわけです。
同社は現在、高級ホテルとの強いパイプを活かして、事業の水平展開を図っています。ホテルの部屋の予約の仲介で基盤を築いた後は、ホテル内レストランの予約仲介、そして次に有名ホテルが扱うオリジナルのグッズのネット通販などです。既にパイプを築き、事業基盤を持つ同社であれば、特定顧客とのパイプという最大の強みを活かした新規事業をどんどん展開していけるわけですね。
高級ホテルという特定顧客は、ブランド力がある上、単価が高い商売ですので、検討できる新規事業の領域も明確にすることができます。現在、宿泊予約関連での売上が9割を占める同社にあっては、成長路線を描ける次なる収益源の発掘が最大の課題事項であったわけです。しかし、特定顧客とのパイプから新規事業を発想すれば、たくさん企画が創出できるのではないでしょうか。
ついつい、新規事業というと、新規性のある企画ばかりに目が行きがちですが、まずは目の前に存在する顧客の声を徹底的に掘り下げてみるということが大事になります。特定顧客の声と、提供できる事業価値のバリエーションの検討。こんな身近なところから、企画作りをしてみてはいかがでしょうか?浮き足立てずに、企画を考えることは実はとっても重要なことなのです。
投稿者 compas : 11:37
2007年12月12日
モノよりコトだけで本当にいいか!?
社会が成熟してから、モノを消費することよりもコト(事)消費する方が生活者は望むと言われてきました。もちろん、そういう側面はあります。しかし、これを新規事業開発で考えた場合には、多少の注意が必要です。今まで”モノ”ビジネスしかしてこなかったメーカーなどが、いきなり”コト”ビジネス”だけ”で新規事業を考えようとすると、少し無理が発生します。なぜなら、コトに関する充分な知見を持たなかったり、モノビジネスの発想で事業を捉えてしまうからです。
そのため、コトビジネスを新規事業において実施する場合でも、自社の基盤であったモノビジネスを排除して捉えるのはやめましょう。モノビジネスで培ってきた強みを充分に、コトビジネスでも活かす方法を考えることが一番適切だと言えます。例えば、「タニタ」という家庭用計測機器メーカーの健康事業に関する取り組みを読み解いて見ましょう。
同社は体脂肪計などをつくるメーカーですが、「健康管理支援事業」では「モノ+コト」の組み合わせで、事業開発を行っています。歩数計や体重計、または体脂肪計で自分の身体を計測して、結果をネット上でグラフ化したり、それをもとに専門家の食事指導やダイエット方法の情報提供などを受けることが出来る仕組みです。会員制で展開しており、入会金は2千円、月額料金は千二百円で利用が可能です。ネットで健康管理をして、専門家からも指導が受けられるというビジネスモデル。これ自身は決して珍しいものではありませんね。
しかし、同社がメーカーで一定のシェアを築いていることを考えると、モノという強みの上にコトの付加価値を加えていますので、同業他社に比べても競争力は維持できると考えられます。これがもし、健康管理サービスだけで物事を考えれば、この部分ではサービス系のベンチャー企業と比べて競争力が維持できたかどうかは分かりません。ちなみに、同社は例えば歩数計を使った場合、歩数に応じてポイントを付与して、ポイント提携先の企業の商品と交換できるなどの特典も付けることを発表しました。
こうしてタニタでは、個人会員の獲得を推進し、2009年度に45万人の会員を集め、年商50億円事業にしていく目標を打ち立てています。さて、メーカーの新規事業担当者の方は覚えておきましょう。「これからはモノづくりやモノの販売だけではダメだ!それ以外のサービス分野で事業企画を立てて欲しい」。こんな指令を経営幹部から受けることがよくあるでしょう。しかし、モノという強みを充分に活かし、モノという基盤に乗ったコトビジネスでなければ、新規事業も簡単には成功しませんよ。
時流を考えると、コトビジネスを研究することは大切です。しかしながら、こんな場合でも、モノの強みや基盤の上に成り立つ企画を考えましょう。コト消費に着目することは間違っていませんが、モノを排除して事業企画を考えることは、モノビジネスを行ってきた企業としては適切ではないと思います。自社の強み、世間でのブランドイメージなど、足腰部分を見つめなおしながらコトビジネスを検討していきましょう。
投稿者 compas : 10:56
モノよりコトだけで本当にいいか!?
社会が成熟してから、モノを消費することよりもコト(事)消費する方が生活者は望むと言われてきました。もちろん、そういう側面はあります。しかし、これを新規事業開発で考えた場合には、多少の注意が必要です。今まで”モノ”ビジネスしかしてこなかったメーカーなどが、いきなり”コト”ビジネス”だけ”で新規事業を考えようとすると、少し無理が発生します。なぜなら、コトに関する充分な知見を持たなかったり、モノビジネスの発想で事業を捉えてしまうからです。
そのため、コトビジネスを新規事業において実施する場合でも、自社の基盤であったモノビジネスを排除して捉えるのはやめましょう。モノビジネスで培ってきた強みを充分に、コトビジネスでも活かす方法を考えることが一番適切だと言えます。例えば、「タニタ」という家庭用計測機器メーカーの健康事業に関する取り組みを読み解いて見ましょう。
同社は体脂肪計などをつくるメーカーですが、「健康管理支援事業」では「モノ+コト」の組み合わせで、事業開発を行っています。歩数計や体重計、または体脂肪計で自分の身体を計測して、結果をネット上でグラフ化したり、それをもとに専門家の食事指導やダイエット方法の情報提供などを受けることが出来る仕組みです。会員制で展開しており、入会金は2千円、月額料金は千二百円で利用が可能です。ネットで健康管理をして、専門家からも指導が受けられるというビジネスモデル。これ自身は決して珍しいものではありませんね。
しかし、同社がメーカーで一定のシェアを築いていることを考えると、モノという強みの上にコトの付加価値を加えていますので、同業他社に比べても競争力は維持できると考えられます。これがもし、健康管理サービスだけで物事を考えれば、この部分ではサービス系のベンチャー企業と比べて競争力が維持できたかどうかは分かりません。ちなみに、同社は例えば歩数計を使った場合、歩数に応じてポイントを付与して、ポイント提携先の企業の商品と交換できるなどの特典も付けることを発表しました。
こうしてタニタでは、個人会員の獲得を推進し、2009年度に45万人の会員を集め、年商50億円事業にしていく目標を打ち立てています。さて、メーカーの新規事業担当者の方は覚えておきましょう。「これからはモノづくりやモノの販売だけではダメだ!それ以外のサービス分野で事業企画を立てて欲しい」。こんな指令を経営幹部から受けることがよくあるでしょう。しかし、モノという強みを充分に活かし、モノという基盤に乗ったコトビジネスでなければ、新規事業も簡単には成功しませんよ。
時流を考えると、コトビジネスを研究することは大切です。しかしながら、こんな場合でも、モノの強みや基盤の上に成り立つ企画を考えましょう。コト消費に着目することは間違っていませんが、モノを排除して事業企画を考えることは、モノビジネスを行ってきた企業としては適切ではないと思います。自社の強み、世間でのブランドイメージなど、足腰部分を見つめなおしながらコトビジネスを検討していきましょう。
投稿者 compas : 10:56
2007年11月19日
販路を活かしていますか?
新規事業開発において、強みを活かしましょう!と言うと、多くの企業はノウハウや技術の転用を思い浮かべられます。しかし、企業が持つ強みは数多くあり、その代表例の一つとして「販路」もあります。ベンチャー企業で創業間もない場合は別ですが、既存事業で歴史を築いてきた企業であれば、これが一番強力な武器にもなることを覚えておきましょう。逆に言えば、新規事業の企画において、販路から発想してみるというアプローチだって可能になるわけです。
私は、分かりやすくするために、”抱き合わせ販売”という言葉を使いますが、販路起点で考えた場合に、多くの事業企画が思い浮かぶのではないかと思います。単純に、既存事業とは異なる商材を提案するところに始まり、販路が持つニーズを全て満たしていってもいいわけですね。つまり、発想は簡単かつ無限に広がりを見せていくわけです。特に、BtoBの場合は、窓口が既存事業とは異なることもありますが、部署間をまたいだ営業は、普通に比べれば、アドバンテージを持っているというところが鍵を握ります。
例えば、人材派遣会社の「シグマスタッフ」は、新規事業として人材派遣で培ったネットワークを活かし、派遣先企業に対する営業支援や物販事業を来年の一月から始めると発表しました。同社の派遣先(販路)は、2千社を超えていますので、強力な販路を活かした形の新規事業となるわけですね。省エネ製品の販売や営業コンサルティングなど、自社で契約しているスタッフに販売予定の商品に関する研修を行って、派遣先に実際に提供していく仕組み。人材の派遣ではなく、派遣先へモノやサービスを派遣者が提供するという視点に切り替えた訳ですね。
特に、現在では人材の求人コストで経費が膨らんでいますので、派遣事業以外の領域に進出することが絶対的な命題だったのです。そんな状況の時に、ある企業は完全に未知なる市場に新規事業でチャレンジすることでしょう。そして、ある企業は既存商品を新規の取引先に提案することでしょう。しかし、いずれの場合も、ハードルは高いので、容易に新規事業としては取り扱いが出来ません。だからこそ、販路が多い企業ほど、これを活かした新規事業を行うべきなのです。
もはや、提供する商材を選り好みしている場合ではありません。完全に発想を転換していかなければいけない場面に多々遭遇する時代になってきています。ここに業界間の違いはありません。大胆な発想はトップマネジメントが総論賛成、各論反対に回ることが多いものですが、販路を活かす新規事業開発は、リスクヘッジもしやすく短期間で参入ができるため、一考の余地ありではないかと考えています。販路に対して、既存の商品・サービス以外で何が売れるのかを、新規事業企画として考えてみましょう。
投稿者 compas : 15:23
2007年11月10日
お手本的な事例を考える
私は、日ごろから新規事業企画は”強みを活用”しましょうと口酸っぱくクライアント企業に申し上げています。強みを活用しない新規事業なんてありえないとさえ思います。強みを活用しないことはもったいないとしか言えないという側面ももちろんあります。それでは、強みを活用した新規事業を成功させている企業の事例を教えてくださいと質問を受けることもよくありますので、今回は象徴的な事例をご紹介しましょう。それは、宅配便のヤマトグループです。
ヤマトと言えば一般的には宅配便のイメージが強すぎますが、それだけではありません。数多くの強みを活用した新規事業を成功させています。一見すると、自社の事業領域からは遠いようなテーマの新規事業も手がけていますが、それは強みが程よく効いていますので、まさに納得の感ありなのです。例えば、ヤマトオートワークスという会社があります。この会社は、自動車の整備事業を展開しています。まさに、宅配便に必需のトラックをよく知る強みを活用しているわけですね。
同社は、トラック業者は従来、車検のために数日ディーラーに車を預けて、その間は予備車を使っていました。ところが24時間の稼動が求められる業者も多い中で、数日のタイムラグは厳しい業界環境にあっては、致命傷にもなるわけです。そこで、ヤマトオートワークスでは、自社の車両管理のノウハウを活かして、夜に預ければ次の日から使えるような仕組みを構築しました。実は、この仕組みが受けて今では、整備するトラックのうちヤマト向け以外が半分も占めるようです。また強みの活用という意味では、ヤマトシステム開発という会社での展開も同様です。
宅配便の事業で培った情報システムの開発力という強みを活かして出来た同社は、今年から製薬会社の営業支援事業まで手がけ始めました。これは製薬会社のMRが携帯情報端末で専用ページにアクセスして、営業活動で使う販促品の配送を依頼できる仕組みです。また、同社は販促品の在庫管理も請負い、販促品は同社の物流センターで保管して在庫状況はデータセンターで一括管理すると言います。この主のアウトソーシング事業を行えば、顧客に利便性を提供できるばかりか、配送需要の取り込みも可能になりますので、本業とのシナジー効果も充分得られますね。
ちなみにMRは、携帯情報端末を使って配送依頼すると、出張先のホテルやヤマト運輸の営業所で、製品の説明資料や安全情報の冊子、文房具といった販促品を受け取ることが出来ますので、とっても便利ですね。現在では主に製薬会社の利用を想定したサービスですが、パンフレットを使う保険会社など他業種の取り込みも狙っていくそうです。ヤマトの場合、他にもグループ内に強みを活用した新規事業を手がける子会社を複数持ちますが、教科書的なまでに愚直に強みを活用する姿は、とっても勉強になると思います。強みを活用した新規事業を勉強されるには、ヤマトグループを研究すると良いでしょう。
投稿者 compas : 15:02
2007年10月11日
あきらめてないか?
自社が属する業界が縮小気味の場合に、新規事業どころではないとあきらめる社長さんにお会いすることがたまにあります。私は、いつも思うのですが、経営戦略も新規事業も、その考え方次第だと思うんですよね。私はセミナーや研修で、たまに伝統産業がいかにイノベーションを起こしたり、新規事業によって、縮小する市場の中で一社だけ成長しているかという事例をお話することがあります。疂屋さんの事例など、意外にも新規事業開発のあり方のお手本は、伝統産業にあったりするものなんですよね。強みを活用して、視点を変えれば、あきらめることは一つもない。私は、そう思います。
例えば、漆器製造販売の「坂本乙造商店」の例をお話してみましょう。同社は、福島県会津市に本拠地を置く典型的な伝統産業の会社でした。漆塗りと言えば、決して成長市場とは言えませんよね。ところが、同社は、伝統産業という視野ではなく、一般的な生活者市場で、伝統産業の強みを活かそうという発想に転換して、ある新規事業を企画したのでした。それは、客の注文に応じて自動車の内装部品に漆を塗るオーダーメードの漆塗り事業でした。車に漆塗りとは意外と思われるかもしれませんが、トヨタのレクサスもハンドルなどで漆塗りの技術を導入していますので、珍しくはない市場なのです。
自動車の中で漆塗りが出来る部分は、ハンドルやギアレバーなどプラスチック部分だけですので、限定されますが、それでも高級感を出せますので、一定のニーズがあるといいます。対応は、新車でも中古車でもOKらしく、内装全てを手がけた場合で、価格は30万円とのことでした。部品の分解や組み立て部分はディーラーなどに委託するので、自社の強みを活用した部分に特化すればいいわけです。ちなみに、同社は1900年創業で107年も続く会社でもあります。
現在、同社では携帯電話の外装に漆塗りを用いたり、航空機のファーストクラス用の座席を漆塗りをするなど、多角化を進めている最中でもありました。このように、今までは用途の拡大だけだったのですが、今回のオーダーメード事業によって、ビジネスモデルも新しくしたことに、事例の特徴が感じられます。伝統産業でも、成熟業界でも同様ですが、強みの活用先などいくらでも発想次第で存在します。そのため、マイナスの意識を持たずに、視点を変えて、新規事業の企画をすることが大切になってきます。
ネガティブになる気持ちを抑えて、いつも新しい収益の仕組みを考えるクセを身につけること。これは、創業者だけではなく、二代目社長、またはスタッフレベルにも求められることだと思います。あきらめるのはまだ早い。頭がちぎれるほど自社の強みを活用した企画を考え、是非チャレンジをやめないでください。
投稿者 compas : 21:08 | コメント (0) | トラックバック
コンセプトを何にするか
最近も、研修の仕事が相変わらず多く舞い込みます。ただし、テーマの違いはあっても、私が講義する内容の本質はそれほど差があるわけではありません。テーマが新規事業開発における企画の立案方法であっても、また事業計画書の作成におけるマーケティング戦略の立案であっても。「強みを活用しましょう!コンセプトを明確にしてください!」。この二つは、新規事業に限らず、事業の核になるため、どうしても外せません。
ただし、強みの活用は新規事業開発にとって大切なエッセンスであっても、顧客にとってのメリットとしては疑問符がつく部分はあります。なぜなら、顧客にとって大切なことは提供会社がいかに強みを活用しているのかではなく、あくまでも買う理由があるだけのメリットがあるかどうかだからです。買う理由とはコンセプトそのもののことです。したがって、コンセプトの設定の仕方一つで、強みの活用にも限界が出来たり、また新規事業の企画そのものも変わってくることさえあります。
例えば、最近強みを上手に活用して成功している新規事業として、引越しのアートコーポレーションが手がける”ライフサポート事業”というものがあります。これは先細り感のある引越し業界にあって、家事代行や、保育園の運営など、引越し前後の付属サービスだけではなく、生活に関連していて、なおかつ既存事業とシナジー効果を出せるものとして、展開されておられます。テスト営業期間に1年をあて、その後2006年に事業部を創設して本格化したようです。
さて、この事業におけるコンセプト、それは「暮らしの負担を減らす」というものです。同社は、もともと引越し事業においても、「安く運ぶ」ではなく、価格が割高でも「引越しの負担を減らす」というコンセプトだったため、ライフサポート事業においても、同様のコンセプトを採用しているわけです。ところが、もし同社は、「運ぶ」という部分や、「安く」という部分に固執していたら、どうなっていたでしょうか?価格競争に巻き込まれ、事業の拡大が困難に」なっていたかもしれませんね。
そういう意味では、コンセプトを顧客視点に立って、「〜の負担を減らす」と設定したところに、強みも上手に活用できた新規事業の成功があるのです。新規事業の企画においては、コンセプトの設定が鍵。このコンセプト次第で、強みの活用の出来不出来も、企画のバリエーションも全て変わってくる。私は、少なくともそう思います。発想やひらめきが豊富であっても、コンセプトの軸が定まっていない事業計画書を私はよく見かけますが、コンセプトだけは明確にしておきたいものです。
投稿者 compas : 21:05 | コメント (0) | トラックバック
強みを何にでも活用する貪欲さ
皆さん、ご無沙汰しております。少し更新が滞っておりましたね。最近、コラムの一文一文に共感します!というお便りを頂くようになり、大変嬉しく思っています。逆に言えば、それだけ世の新規事業担当者や起業家は日々、新規事業開発に悪戦苦闘しているということなのでしょう。さて、異業種の分野へ進出する場合でも、強みを活かさない新規事業は失敗するというお話は、ずっと過去にしてきました。ここで、整理しておきたいのですが、実は本来大事なことは、強みの活用ということではありません。異業種への進出であっても、どんな強みも事業開発に活用する貪欲さが一番大事なのです。
こう言ってしまうと、根性論になってしまいそうですが、これは真理でもあります。さて、ここでひとつの事例をご紹介しましょう。北九州にあるタクシー最大手の「第一交通産業」が、漁協産品の通販事業を拡大しているというものです。詳細は、確か日経産業新聞で、以前読んだ記憶があります。さて、なぜ全国の漁協と連携して各地の魚介類の販売を始めるのか?ということですね。キッカケは、燃料高などで主力の運送事業に頼らず、物販事業を新たな収益の柱に育てたいというもののようでした。少し、この記事を読んだ時に、なんでタクシー会社が魚介類の通販なの?と思いましたが、動機も明確で、また、強みも活用できるのなら、不自然さはないなと思い返しました。
それでは、その強みの活用とは何か?それは、同社が手かげる魚介類の通販カタログを、全国で走る7千台の車内で配布し、毎号10万部は発行するということ。さらに、漁協と連携しているのですが、タクシーという目に触れやすい広告媒体に地元の情報を載せることで観光客の集客も期待できるなど、連携効果も見込めるわけです。コンセプトは、同社のホームページを見ると、”全国のドライバーが見つけた味の逸品”というもので、すごくイメージがしやすいですよね。ポイントは、販路が限られた希少性の高い商品をカタログに載せ、自社のタクシーを宣伝チャネルとして活用するという部分にあります。
さらに、単なる通販と思ってはいけません。ここで出来たノウハウや強みの活用には発展形があります。それは、地元の食材を使った名産品のプロデュースの受託事業の展開です。これで、収益源は地方の自治体などからコンサルティング収入を得ることができますし、更に開発した商品は自社の通販事業にも活用するというおまけがついてきます。さて、一瞬聞いただけでは、なんでタクシー会社が異業種の魚介類の通販事業なの?と思うかもしれませんが、強みを何でも活用するぞ!という貪欲さがあれば、同社のような異業種での新規事業の展開が可能になるわけです。
よく世間の経営書などを見ると、既存顧客の分析などの手法が複数紹介されていますが、大切なことは、顧客の定義と強みの定義です。顧客も目線をずらせば、新たな事業が視界に入ってきます。また、強みも、何を強みとするかによって、異業種で活用できるかどうかの判断も変わってきます。したがって、異業種の分野へ参入する場合に、強みを何にでも活用する貪欲ささえ忘れなければ、また新規事業で見る視界は変わってくるのではないでしょうか?何だって、捉え方次第で強みにすることはできますので、ぜひ、貪欲さをも持って異業種の分野であっても、それこそ貪欲に事業開発にあたって頂きたいと思います。
P.S.
<セミナー開催のお知らせ>
9月12日(水)に「IT企業のための新しい収益源の作り方」というセミナーを新宿で行います。IT企業以外の方でも受講は可能ですので、ご興味のある方はお早めにお申し込みください。受講料は¥1000のみとなります。>>>>「続きはコチラをクリックしてください。」
投稿者 compas : 21:03 | コメント (0) | トラックバック
モノ売りもやり方しだい!
私は、新規事業の事業計画を作成する研修などで、受講生の企画を拝見することがよくありますが、どうも企画の半数以上は、「モノづくり、モノ売り、店舗運営」の3つに終始しているように見受けられます。もちろん、この3つがとっても分かりやすく、目に見える(イメージしやすい)ビジネスだからしょうがないとは思います。しかしながら、これだけ変化が激しく、BRICS諸国が世界経済に大きな影響を与えるようになってからは、もはや単純なこの3つのモデルだけでは、激しい価格競争に陥ったときに、勝ち残れないのではないかと思います。そのため、3つのモデルは否定しませんが、ひねりや付加価値を加えましょうと口をすっぱくして申し上げています。
例えば、モノを売るというビジネスモデルについて考えてみましょう。新しい商品を新しい企業や新しい国から仕入れて売る。販売方法を店舗売りであれば、通販にしてみるなど変えてみる。こういった選択肢が従来より考えられてきました。しかし、同じモノを売るにも付加価値を加えれば、それ自身も新規事業になりえると思います。一例として、家電量販店のヤマダ電機の例について考えてみましょう。ヤマダ電機は法人営業や各種サポートサービスに力を入れていることでも、有名な企業です。しかし、少しイメージとは異なる系統での新規事業も実は手がけているのです。
それは医療関連のコンピュータを販売し、医療機関向けのITサポート事業を展開していることです。例えば医療関連ベンチャーの「オーダーメイド創薬」社と提携して電子カルテの販売を始めたのも、その象徴例でしょう。電子カルテの仕組みを端末に組み込んで子会社が製造を担当し、約40人のヤマダ電機のスタッフが医療機関に直接営業するほか、主要店舗でも展示販売を行うといいます。もともと、ヤマダ電機は、医療機関向けにもテレビなどの家電製品を販売している実績と販売網があるため、これらの強みをフルに活かして、単なる販売ではなく、付加価値商品をつくって、特定業界を開拓するという手法なのです。
正直言って、私はヤマダ電機が、医療機関にも強いというのは知りませんでしたね。しかしながら、同社の事例はとっても参考になるのではないかと思います。特定の業界に絞り、単なるモノ売りではなく、他社とのアライアンスによって、付加価値商品を構築して販売する。もちろん、自社ドメインの中で販売力という最大の強みを活用して。単純なモノ売りだけでは厳しいというお話は常日頃していますが、新規事業開発にあたっては、ヤマダ電機の事例のように、”強みを活かして付加価値を商品につけて売る”というところに昇華できるのであれば、それは競争力のある事業を築くことにつながるのではないか。私は少なくともそう思います。モノ売りの事業開発もやり方しだいであるということを覚えておくといいでしょう。
投稿者 compas : 20:50 | コメント (0) | トラックバック
買いやすさと買いたい時間を追求
外食産業は市場が成熟化しており、成長源を作るのが難しいとされています。一方では、中食や宅配市場は、生活者のライフスタイルの変化により成長しているという状況があります。では、自社の強みを活かして、この中食や宅配市場に参入するという選択肢はどのように考えていけばいいでしょうか?客層やターゲットとするライフスタイルのどこにフォーカスするかを検討する必要がありますが、市場性としては充分あるのではないかとマクロな視点で仮説が立てられます。さて、今回は、そんな市場に和洋中のメニューを揃え、24時間の宅配事業を展開している「ニューズシェフ」という会社をご紹介しましょう。
同社は、元々は電子レンジ用調理容器や食材キットを販売する会社でした。それは東京銀座に、食材キット販売の直営店を開設したほどです。しかし、容器を販売したり、単に家に持ち帰ってレンジするだけでOKの食材キットを売るだけではなく、ホテルのサービスを応用したビジネスモデルが築けないかということで、ホテルのルームサービスと同じ24時間宅配サービスを始めたそうです。メニューは約60種類で、料理専門家と共同開発したレシピで本格料理を準備。ポイントは、調理済みの料理が宅配されるのではなく、電子レンジ用の容器に入った数種類の具材が届く仕組み。
つまり、最後の調理は、電子レンジで自分で行うというわけです。これにより、数分で熱々の手料理が食べられる上に、生の具材を目で確認できるところに人気があるようです。もちろん、具材の準備は、セントラルキッチンにて下調理していますので、従業員は注文に応じた具材を組み合わせるだけでローコストかつ高効率オペレーションが実現できるようになっています。まだオープンして1ヶ月ほどとのことですが、事業の目標は年商1千万円と言います。電子レンジ用の容器や食材キットを販売するという本業の強みを活かして、顧客に利便性と楽しみを提供するサービスを新規事業として開発したのでした。(本日の日経MJ紙を参照)
さて、私は本業の強みを新規事業に活かす事と、単なるモノづくり、モノ売りではなく、付加価値サービスを考えましょうといつも説いています。伸びる中食市場と、ライフスタイルの多様化を捉えた広義のライフスタイル支援業。これは、これから本格的に軌道に乗ってくる市場だと私は考えています。自社の強みを活かして、生活者支援サービスを考えられないか。またそこには「買いやすさ」と「買いたい時間」という付加価値を追求できる要素がないかどうかを検討してみる。これは、現在のBtoC事業における成功のセオリーのような気がしてなりません。
BtoC事業では、オペレーションの効率化が求められますが、時流と細かな顧客のニーズを捉え、自社の強みを活かした新規事業を考えてみましょう。強みが一つでも活用できるのであれば、食事分野に限らず、BtoC事業で「買いやすさと買いたい時間」にフォーカスしたビジネスは、きっと成立することでしょう。
投稿者 compas : 20:42 | コメント (0) | トラックバック
採用分野は大きな市場
以前のセミナーでアウトソーシング分野の一部として、”採用”というテーマは中小企業が手がける場合でも、大きなテーマになると思いますよという話をしたことがあります。また、特化した事業戦略論を語る時に、例えば中小製造業の採用情報の作成代行として、動画でモノづくりの良さをテーマにすれば、特定の市場でチャンスがあるのではないかという仮説もご披露しました。実は、この仮説、まさしく私と同じイメージのものを6月22日づけの日経産業新聞で発見しました。中小製造業の受発注サイトを運営する「NCネットワーク」という会社が手がけるという記事です。
製造現場を動画で公開することで、日本のモノづくりを支える業界全体の魅力を学生に伝えやすくするというものです。現在、景気の回復に伴い、新卒者の大手企業への回帰が強まり、中小企業は更に人材採用難の時代を迎えています。ただでさえ、少子化の時代で、大企業でも人材の獲得が難しい時代なのですから、中小企業の場合は、なおさら厳しい状況が続くわけです。だらこそ、逆に言えば、そこに”採用”というテーマのビジネスは社会的意義と大きな商機があると私は思うわけです。さて、それではこの事業は、成功するのでしょうか?
私は、成功すると思いますし、こういうムーブメントが広がっていくべきだとも思います。NCネットワークという会社は、元々1998年に内原社長を始め中小製造業の若手経営者を中心に設立した会社でした。仕組みはこうです。発注を会員の中小メーカーがネットを通じ、金属加工などの得意分野を活かして受注する仕組みになっているのです。つまり、中小製造業のネットワークと各会員企業の事情を知り尽くしていることが、とても大きな強みとなっていました。であれば、採用という新しい大きな市場で、自社の強みを活かした新規事業ができないか。そう思うのは、ごく自然の流れでしょう。
強みを活かす新規事業といっても、自社の事業領域の周辺分野でとどめる場合があれば、逆に強みが効く異業種へ進出する場合の両方があります。しかしながら、「強み×時流」を最大限に活かすのが新規事業の鉄則だとすれば、NCネットワークは、ピタリと当てはまった事業を始めていると言えるでしょう。社会的にも意義のある同分野。強みを活用して、様々な会社が新規事業としてトライして欲しいなと私は思います。
投稿者 compas : 20:21 | コメント (0) | トラックバック
新規事業は新規営業でもある!
新規事業の位置づけは会社によって様々です。将来の本業として収益の柱として、また既存事業を補完するサービスとして、組織の活性化のためになど。しかし、実は最も多く短期間で目に見える効果が出せるのは、”新規営業としての新規事業”いう位置づけではないでしょうか?発展性という意味では、従来の新規事業と比較して限定的ですが、会社にとってはとても貴重な事業となります。私は、これを”呼び水商法”と呼んでおり、顧客を本業の収益へと結びつけ、集客するための手段としての事業開発という捉え方をします。
例えば、弊社が6年ほどまでにお付き合いした地方の喫茶店のクライアントの事例をお話しましょう。そこは比較的、古い業態の”喫茶店”であり、まわりに出来たスターバックスやタリーズなどの”カフェ”に、若い顧客を奪われていったと言います。そしていつの日か、年配の固定客まで。。。そこで私は提案しました。競合とメニューやオペレーション、そして空間作りで直接ガチンコ勝負しないように、別の方法で集客しましょうと。提案したこと、それは喫茶店を最低限トレンドにあった形式でプチリフォームすること。そしてもう一つは、店の軒先で花屋を運営することでした。
花屋といっても本格的なものではなく、安いお花を小分けにして買いやすくし、ちょこっと家に買って帰ろう、手軽に人にプレゼントしたいという需要を事業化するものです。これにより、若い女性が花を求めて軒先で、立ち止まるようになりました。そこで、本業の出番です。カフェーチェーンとは少し趣向を変えた喫茶店へ客を誘導するのです。すると、花屋の前がいつしか待ち合わせ場所に使われるようになり、喫茶店へ入る人も増えてきたのです。もちろん、業績が回復したことは言うまでもありません。
さて、大手企業の事例ではまさに本日の日経産業新聞で紹介されていましたが、オフィス家具大手の「イトーキ」の販売戦略の事例が役に立ちます。オフィス家具の単純販売だけでは、収益機会が少なく、競争環境が激しくなってきたため、オフィスの賃貸仲介事業に新規事業として進出するというものです。オフィスの物件選定から手がけることで、本業への集客につなげることが可能になります。また収益源と言う意味でも多様化が図れるわけです。
移転先の決定から家具の納入まで全段階でイトーキが関与することで、仲介料収入や、引越し、配線設備の手配や、家具販売など複数の収益ポイントが作れますよね。私は新規事業開発は強みを活かしましょうと口酸っぱく言いますが、これは事業開発を通じた本業の強化ではなおさらのことです。強みを活かして本業を補完する事業開発を行い、顧客の新規開拓や収益源の多様化を図る。やはり、新規事業の位置づけが変わっても、強みを活用するというセオリーに変わりはないようですね。
投稿者 compas : 20:05 | コメント (0) | トラックバック
本当に深堀出来ていますか?
新規事業の成功のセオリーとは何ですか?これは日々よく受ける質問です。私なら筆頭格に挙げるのが、「自社の強みを活用すること」と返答します。しかし多くの企業ではうちの会社には活かせる強みが少ないので、新しい事業領域で新規事業を手がけたいといいます。しかし、私に言わせればそれは博打でしかありません。そもそも既存の事業領域で”視点を変えて”徹底的に深堀しましたか?とお聞きしたいのです。まずは、本業の深堀を”新しい視点に変えて”行うことが新規事業にも充分つながりえるということを理解すべきでしょう。
たとえば、統廃合が続く”畳”という伝統的成熟産業での事例を見てみましょう。この業界でもイノベーションを起こしている企業は複数あるのです。先日、日経MJ紙で紹介されていた事例は、岐阜の異業種交流組織が、”デザイナーズTATAMI”というコンセプトで、インテリアの構成材としての商品開発や提案を始めているというものです。畳といえば、日常品で、あって当たり前で付加価値は不要とされていました。しかし、これも視点の持ち方次第で、外国人にも受けるデザインという付加価値を付け加えることで、既存の競争領域とは異なるところでのビジネスになるわけです。
このプロジェクトを手がけるのは、刺しゅう工房を手がける「アクアプランニングスタジオ」。同社は、岐阜県の異業種交流組織の「イチイプロジェクト」に参加し、既に高機能のチップ化した間伐材を利用した集成材を商品化しています。また、四季折々で旅館が畳を変えたら面白いという発想で、季節感のあるデザインタタミを開発したり、洋の暮らしにも合う畳はないかと検討したりと視点がとてもユニークなのです。畳を今の時流に当てはめれば、それもまた一つの新規事業になりますよね。同プロジェクトの会長も、「最近の和テイスト人気で置き畳に一定の需要がある」という見方をされています。
つまり、新規事業とは、目新しい市場(成長市場など)で手がける事業というのは一元的な見方に過ぎず、どんな業界でも視点を変えて、強みを活用すれば、たくさん新規事業のアイデアは出てくると私は思うのです。畳という一見、地味で成長産業に思えないような業界でも、新たな発想で、強みを活用した新規事業の展開をされているわけです。これを考えれば、強みは新規事業に活用できない。ましてやうちの業界ではそれは不可能という言い訳は、どんな会社も成り立ちませんよね。本当に、既存事業を視点を変えて深堀できていますか?そんな身近なところに、新規事業のネタとは転がっているものなのです。一度、足元を見つめなおしましょう。
投稿者 compas : 20:02 | コメント (0) | トラックバック
卸売業における新規事業を考える
私が新規事業のコンサルティングをしてきたクライアントを過去振り返ると、卸売の業態が意外にも多くいらっしゃいました。卸売業といえば、かつては”中抜き”の時代と言われ、相当危機感を感じる企業が増え、また企業再編がかなり進みました。薬や食品などを見れば象徴的な動きのようにも見て取れます。実は、私も会社員時代はIT、エレクトロニクス系の商社にいましたので、卸売業におけるイノベーションの必要性は常に肌で感じていました。在庫の問題もやっかいでしたし。。。しかしながら、本気で新規事業に取り組もうとする風土にまでは昇華せず、営業機能をどう高めるかという部分に終始してきたように感じます。さて、卸売業の新規事業なのですが、どのような考え方で、新規事業を組み立てていけばいいのでしょうか。
よく、卸売業(商社)はマーケティング会社に生まれ変わらなければいけないなどと言われますが、言葉だけが独り歩きしていて、本当の意味で新しい仕組みを作れている会社は少ないように思います。卸売業における新規事業の視点は、一言で言えば「川上もしくは川下企業に対して、自社の強みをフルに活かした”独自機能”を提供する」ところにあると私は考えています。商社は一見すると取次ぎだけをしている機能に見えますが、実は強みの部分は情報の流通をしている、あるいはそれによりナレッジを蓄積している部分にあると思います。ところが、これを上手く新規事業として収益を得ることが、体質的に難しいという経営者が多いことも残念ながら事実なのでしょう。つまり、モノを販売するための付加サービスとして、無償でやってしまっている場合が多いということです。
それならば、むしろ発想を逆転してしまって、サービスで収益を上げれるようにして、モノを付属で売るというように変えてしまえばいいのです。言葉を変えれば、情報やノウハウ、または販路という強みを最大限に活かしたサービスを新規事業として組み立てていく必要があるということです。単純に言えば、ソリューション(問題解決)となるのでしょうが、実際展開する新規事業は、コンサルティングや情報・ノウハウの販売など「目に見えにくいサービス」と代行業務などの「目に見えやすいサービス」の二つに大別されます。
それでは、新規事業として組み立てていくことの出来る「目に見えにくいサービス」はどんなものがあるのでしょうか?一つは、川下対象であれば小売に対してマーケティングのコンサルティングを行うこと。平たく言えば、集客支援です。特に接客部分ではなく、どういった訴求をすることが一番顧客の心を捉え、商品価値が伝わるかというプロモーションの部分です。または、メーカーが持つ情報を加工して販売すること。これは、例えば菓子業界なら、原材料情報などをメーカーから仕入れて、商社ではメニュー開発を行う。そして、メニュー開発に困っている飲食店に販売するという新規事業も考えれますよね。これは逆に川上に対してであれば、市場調査の代行などマーケットのナレッジを販売できる可能性が高いわけです。またバリューアップだけではなく、視点を変えれば小売業界の生産性を向上させるという切り口で、極論すればコスト削減の提案やITによる生産性向上までも、新規事業として企画できるかもしれませんよね。
さて、今度は「目に見えるサービス」としての新規事業は、どのようなものが考えられるでしょうか?広い意味での代行事業がたくさん考えられるのではないでしょうか?資金調達、物流、ITシステム構築、店舗開業請負などその新規事業のバリエーションはかなり増えてくるのではと思います。例えば私が前に勤務していたことのある半導体関連の商社では、納品先である顧客企業で開発部隊から半導体の試作や動作チェックの代行を行っていました。さらに、開発の企画段階から時には参加して、独自の技術が必要であれば、特許を持った企業をシリコンバレーから探してきて、さらに実際に日本へのローカライズが得意な企業も調査して、総合コーディネートするという仕組み。もちろん、これにより完成された半導体の販売数量に応じて手数料収入を稼いだり、コーディネートフィーを得るというモデルも築いていました。これには在庫の問題や単純にモノの販売をして低収益という従来型の商社の課題が存在しないのです。
対象が川下にしろ、川上企業にしろ、ソリューションで顧客の課題解決をしましょうとはビジネス書によく書かれています。しかし、一歩進めて新規事業という枠組みで見れば、まずは顧客企業の経営機能を詳細に細分化して、どの部分を支援するのかを意思決定すること。そして、そこにどんなニーズがあって、どのような打ち手が考えられるか新規事業の仮説化を推進すること。さらに、見えないサービスには、「名づけ、メニュー化、価格設定」の三点セットをまずは行い、十分な”見える化”を行うこと。こんなところから卸売業の新規事業の組み立てが始まるのではと私は考えています。これにより、粗利率の高い新規事業が推進でき、付属的にモノを販売するというモデルに転換できるようになります。
卸売業であっても、新規事業を組み立てる際には、やはり十分な強み活用が求められるわけです。
投稿者 compas : 18:46 | コメント (0) | トラックバック
問題は強みをどう活かすかだ!
新規事業の企画にコンサルティングや研修で携わっていると、強みを活かした事業計画でなければ、成功は難しいということは理解が進んできたように思えます。これは私自身がコンサルタントとして提唱しているからという理由だけではなく、結局世の中の新規事業に成功した企業を見渡してみても、その部分の定石は外してないからのようです。しかしながら、問題は強みをどう活かして企画から事業化につなげていくのかという部分にあります。
企業には、強みと一口に言っても、様々な観点から抽出していくと、どの”強み”にスポットをあてて、新規事業へのレバレッジにつなげるかというのが議論の分かれ道にもなります。これは、単純に自社の強みを見つけ、企画をたくさん出せばいいというだけの話では必ずしもありません。新規事業の成功確率を高めるためには、強みの活かし方を多面的に検討する必要性もあります。例えば、自社の強みが保有する資産やノウハウ、さらには人材という場合もありますが、それらが顧客とどのように精神的な結びつきを得ているかというブランド力もまた重要な鍵を占めるようになるのです。
吉本興業は、その点いつも上手に、新規事業開発をしていく企業として私はウォッチしています。吉本興業の強みはなんでしょうか?タレントの保有、タレントを磨く技術、企画力など色々な面を持ちます。しかし、ブランドという部分では、”お笑い”という要素が強く割合を占め、タレントが作り出すネタという部分にも顧客の感じるブランド価値があるようにも思えます。
そこで、吉本興業は、その強みを存分に活かした新規事業として、所属タレントが原作を担当する隔週発刊の漫画雑誌を創刊するという記事を先日見つけました。なんでも、お笑いタレントが持つアイデアを活かして、20本前後の作品を掲載し、20〜40代の男性をターゲットにするといいます。さらに、その後は単行本化、ドラマ・映画化へと多メディア化を図っていく構想のようですね。
毎号、340ページ前後で価格は320円を想定しているとの事。25万部を駅構内の売店や書店で販売するといいます。吉本にはお笑い系だけではなく、スポーツ選手なども所属していますから、将来的な広がりも見込めてくるわけです。現時点では、桂三枝の創作落語の漫画化が決まっているそうですが、吉本のブランドイメージと強みが見事に活かせる新規事業ではないかと私は見ています。
お笑いタレントが原作を考えた漫画なんて、とても面白そうじゃないですか。この事業への参入に当たっては、出版業のノウハウに乏しいため、ワニブックス社と提携して、事業を手がけるそうです。つまり、自身の強みを活かし、強みのある部分に特化していく戦略ということですね。
強みを活かして新規事業を考えましょう、事業計画書を作成しましょうと口すっぱく私は日々提唱していますが、大事なことは、どの強みに光を当てて、どう活かすのかという部分だと思います。これは最終的にはトップマネジメントの経営に対するプライオリティの意識に左右されますので、経営的にもとても重要な要素であると言えます。強みを新規事業開発に、どのように活かしていくのか?この部分の議論は社内でも十分にしていく必要があるのでしょう。それが、新規事業の立ち上げ時、そして立ち上げ後の成否を左右するのです。
