2008年08月26日
”絞る”新規事業
新規事業に限らず戦略の基本は、何かを選び何かを捨てること。つまり、「絞る」ことだとも言えます。それくらい的を「絞る」という作業は事業にとって必要なことです。もちろん、新規事業開発の場合は、新しい市場を開拓する役割があるわけですから、的を絞る戦略は基本となります。では、いったい何を絞れば良いのでしょうか?「顧客層」「提供方法」「提供場所」など、その絞りのパターンは複数あるかと思います。
さて、今朝の日経MJ新聞にはとても面白い記事が載っていました。ポッカが販売している「塩JOY(エンジョイ)サマー」という商品です。これは”塩分補給”が可能なスポーツ飲料として売り出しているものですが、反響が大きく大好評だと言う記事です。特に夏の熱中症予防に効く「塩分摂取」というテーマに的を絞っているところが興味深いです。
「塩JOYサマー」は、塩分の摂取が欠かせない夏にもかかわらず、塩を持ち運ぶ人が少ないことに目をつけました。そして塩分濃度を平均的なスポーツドリンクより濃くしつつも、青梅の味を加えて飲みやすくするなどの工夫が功を奏しています。また注目すべき点は、パッケージには営業担当員や建設作業員、ゴルファーなどをあしらった4種類のイラストで表現している点。まさに利用シーンを絞っていますよね。
そして、販売をドラッグストアに限定して、当初は発売するなど販売チャネルを絞っている点も見逃せません。整理すると、「商品機能を絞り、顧客層を絞り、販売チャネルを絞る」という三点が上手に組み合わさっている点が、的を絞るという意味で秀逸な事例ではないかと思います。ここまでポイントを突いていると、結果としてシンプルに顧客の心にも伝わってきますよね。
今後は、建設会社やゴルフ場、スポーツ施設などの法人開拓を進め、「深く狭い市場を狙いたい」とのことです。なるほど!的を絞ってヒットしたからといって無意味な拡張はしません。あくまでも「深く狭い市場」というところへの、こだわりすら感じます。新規事業の企画や事業計画の作成においても、そうなのですが、的を絞ることの有効性はかなり大きいものだと思いますね。
的を絞ると市場が減少すると言う方もいいますが、本当にそうでしょうか?収益向上が目的で新規事業を行うのであれば、逆に的を絞り「深く狭い市場」を狙った方が、事業開発も成功確率が高まるのではないかと思います。大きな市場や広い市場というのではなく、敢えて的を絞る新規事業戦略を考えてみましょう。
投稿者 compas : 14:00 | コメント (0) | トラックバック
2008年07月19日
3つの視点で独自性を発揮しろ!
「成長市場の中で競合が少ない空白スペースを発掘しましょう」とは、事業領域を決める際の鉄則として私が日々説いていることです。しかしながら、その空白スペースを見つけるのが難しいから苦労するのですとクライアントに泣きつかれることもしばしばあります。そこで、今回は、空白スペースを見つけるための視点を3つ程ご紹介したいと思います。「隙間、周辺、黒子」の3つに着目します。
競合が少ない空白スペースを発掘する方法の一つに、ポジショニングという考え方があります。市場を価格や機能、また顧客が感じる心理的価値などに基づき、十字の軸を切って競合のポジションを確認してから、自社の差別化されたポジションを設定するというものです。これが王道としては一番分かりやすい考え方ではないかと私は考えています。ただし、問題はどのような軸で市場を判断するかということです。
成長市場においては、価格や機能面が重視されがちですが、心理面や顧客の行動特性などを深く掘り下げ、ポジショニングマップで新しい軸を引いてみることです。ここに「隙間」市場発掘の鍵が隠されています。たとえ、隙間(ニッチ)市場と言っても、将来的に幹になる市場かどうか、単体では小さくても積み重ねた場合にどれほど拡大できるかということを軸に、「隙間」市場をポジショニングで発掘してみてください。ポイントは目新しい競争軸を引けるかどうかです。
次に、「周辺」市場についてですが、これは成長市場においても初めからメインプレーヤーを目指すのではなく、参入当初より周辺産業での地位を築く考え方です。例えば、アップルがアイフォンを発売すれば、それ向けにアプリケーションソフトを提供する事業を展開するなどの場合です。いわゆるサードパーティという立場になります。真正面からど真ん中の戦略で参入するのでは競争も激しいため、初めから周辺産業における仮説をたくさん作るということも、一つの手段だと思います。
さて、最後は「黒子」です。これは単純に言えば、OEMということになるでしょう。私は、隠れた大企業と称して、成長市場における黒子企業で高収益を稼ぎ出す企業をセミナーなどでも複数事例に活用してきました。健康が成長市場だとすれば、食品やフィットネスを展開するのではなく、初めから健康食品のOEM供給だけを複数のメーカーから請負う。
そして、そこで基盤ができれば、健康市場へ参入したい企業向けに、商品開発、製造、そしてプロモーションまで一貫して支援するなどのパターンが、この黒子にあたります。競争環境が激しい市場においては、気がつけば儲かっている会社は黒子的存在だけという場合もよくあります。地味ではありますが、バカにできない戦略だとも思いますよ。企業ブランドを捨てるという決断は必要になりますが。
こうやって考えてみると、競合環境が少ない空白スペースを成長市場において発掘する場合でも、いくつかの共通法則があるように思えますね。新規事業開発において大切なことは、他社や異業種の事例も含めて、成功の鍵を抽出する洞察力と、柔軟にそれを自社に取り入れるスタンスだと思います。日ごろから意識して、他社の事業展開や新規事業を見ていると、実は隠されたヒントや共通法則のようなものが複数見えてきます。是非、3つの視点も活用し、空白スペースを発掘してみてください。
投稿者 compas : 14:59 | コメント (0) | トラックバック
2008年05月31日
特注品を狙え
特注品市場は、とってもニッチな市場。だから効率が悪く、儲からない。こんな通説が一部ではありました。しかしながら、特注品は根強いニーズと顧客層があるという逆の側面もあります。そのため、私は成長市場においても、初めから特注品市場で新規事業開発を行うことも一つの方法ではないだろうかと思います。例えば、IT系でコンテンツ企画の「Xarts」の事例を見てみましょう。
この会社は新サービスとして、衣装や音楽、映像などの特注品を求める人と制作者を引き合わせるサイトを7月に立ち上げる予定であるとのプレスリリースが先日ありました。特に日経産業新聞の記事によると、需要側の希望と供給者側の売り込み作品を公開してマッチングさせ、一般に流通しない商品・コンテンツの取引ルートを開拓するとのことです。映画やゲームに登場する衣装などが高値で取引されているところに着眼したところがおもしろい。
ちなみに、需要側は一般消費者のほか、アーティストも可能で、供給側はアマ及びプロのクリエーターを想定しているらしいです。取引商材は、特注品の衣装や道具、プロモーション用の音楽や映像などが中心になる見込みで、同社は、購入者から制作料金の30%を手数料としてもらう仕組みにされています。今、消費者やセミプロの力を借りて商品開発を行う事例がネットにおけるマッチングモデルで増えています。そして、その広がりは特注品などにも広がってきています。
そのため、私はいかに特注品のカテゴリーを時流となっているビジネスモデルや、世の中のトレンドに応じて見出すかということが鍵になるのではと考えています。特注品市場は、儲からない小さな市場ではなく、カテゴリーの創出力にもよるのではないでしょうか。読者の皆さんが、新規事業を考える際に、特注品市場というものを視野に入れ、どんなカテゴリーで事業を展開されるのか検討してみませんか?ここにはモノづくりモデルでも、ネットモデルでも、大きなマーケット開拓のヒントが含まれていると思います。
投稿者 compas : 12:23 | コメント (0) | トラックバック
2008年03月17日
プラスアルファで差をつけよう!
新規事業におけるニッチ市場の開拓とは、発想力の豊かさで可能になるものではないというのが私の持論です。その多くは、プラスアルファの”捻り”を入れたり、”尖り”を出すことだけで、可能になるのです。例えば、家の中で置き場所がなくなってきたモノを保管するというアウトソーシングの企画を考えたとしましょう。ここまでは、着眼点勝負ですね。
ただ、それだけではクリーニング業界や倉庫業界が当たり前のように参入してきますので、差別化は図れません。つまりニッチ市場にはなり得ないわけです。そこで、プラスアルファの要素を付加してみるのです。まずは、衣料品の保管に特化してみる。更に、その対象を富裕層にしてみる。この二つの絞りで、ニッチ性がようやく生じてきますね。
更に、預かったすべの衣料品を、フォトグラファーが見栄え良く撮影し、撮影画像のデータベース化を行って、種別ごとに分類することで、すべての商品をオンラインでチェックできるようにしてみる。これにより、顧客に安心感というプラスアルファの要素とITを活用したニッチ性が更に深まってきます。また、サイトを見て必要なモノをチェックしたら、希望箇所へ配送するサービスまで手がけてみる。
そして、配送時は、ちょっとした仕立て直しのためのお針子さんや足ツボマッサージ、ドレスとアクセサリーのコーディネイト、ドレスにあったメイクアップやマニキュアなど、様々な付帯サービスも提供してみる。
ここまですれば、顧客にとって至れり尽くせりというだけではなく、ニッチ性がどんどん高まりつつも、収益性の向上につながってきます。
つまり、ニッチ市場の開拓といっても、プラスアルファの積み重ねでしかないということなのです。初めから、ニッチ市場を発想によって見出すなんてことは容易ではありません。そのため、身の回りの事象や既存事業にプラスアルファになる部分を付け加えていって、ニッチ市場の開拓にあたっていただきたいと思います。
ちなみに、事例に取り上げた考え方で事業展開をしている企業が実際にあります。それは、「ガードローブジャパン」という会社です。参考までに。。。
投稿者 compas : 11:28
2008年03月12日
高付加価値型に特化せよ!
「成長市場の中にニッチ市場を発掘すること」。これは私が説く、新規事業の離陸フェーズまでの原理原則です。ただコンサルティングの現場では、企画業務においてこの原理原則に対する質問が飛んできます。それは、「成長市場は見つけやすいけど、ニッチを発見するのが難しい」と。確かにそうですね。そこで、一つの考え方として、”誰も非効率でやりたがらない市場は?”、”誰も採算がとりにくそうでやりたがらない市場は?”という質問を投げかけていきます。
つまり、これら他社がやりたがらない市場テーマは、形にすることが出来れば、高付加価値サービスとして高収益を得ることが可能になるということです。例えば、「エフワン便」という会社があります。一言で言うと、緊急配送に特化した事業を展開している企業です。そして、そのコンセプトは「物流の救急車」と、とても分かりやすい。東京や大阪など都市内はバイクや車で、都市間は航空機をうまく組み合わせて全国に運ぶそうです。
もちろん、料金は通常の宅配便よりも高いのですが、企業からの需要は旺盛で、事業拡大を図っているようです。ちなみに、仕組みを見てみると、意外にもシンプルでした。長距離の都市間輸送では、航空貨物や新幹線の貨物サービスを組み合わせるのですが、貨物がない区間は、配達員が新幹線に乗って手で商品を運ぶこともあるそうです。情報化社会で経済がスピード化している時代にあっては、同社のようなサービスもニーズが拡大するわけですね。
しかし、大企業の場合でも、緊急の物流ルートを自前で確保することは難しく、効率的に列車のルート選択をするなど職人芸的なノウハウも必要になってきます。そのため、逆に一見すると非効率に見え、収益を得るのが難しそうなテーマに特化したエフワン便は、独自の事業を確立することができたわけです。
どこか他社がやりたがらないテーマに特化して高付加価値型サービスを目指してみる。そんなスタンスで成長市場を見てみれば、ニッチの発掘も可能になるのではないかと思います。低採算、非効率と言われてきた身近な課題を一度棚卸してみましょう。そして、そこで効率と採算性を向上させる仕組みを考えてみましょう。とっても、足腰の強いニッチ市場の開拓が可能になってきます。
投稿者 compas : 10:52
2008年01月24日
”個客”志向のサービスを作る
一つの商品を大量に、多くの顧客層に販売する。これには前近代的なビジネススタイルとして変化が求められてきました。成熟化した社会では、よりニーズが多様化と細分化を繰り返して、マス向けではなく、”個”のお客様ごとに事業の提供方法を考えなければならなくなっています。また、ネットにおいてもユーザー自身がクチコミなどでメディアを形成するCGMの流れが加速しているかのようです。つまり、企業は”個客”向けに事業を行い、”個客”の声を事業に取り込む必要が出てきているわけです。
標準品に対してカスタマイズ品、既製品に対してオーダーメード品というように、ビジネススタイルを進化させていきましょう。例えば、個客対応という部分では、こんな事例があります。「共同印刷」社が、主人公の名前を選べる絵本を制作し、企業向けの販促グッズとしての需要を取り込む新規事業を始めるというものです。”パーソナル絵本”というコンセプトで、主人公や友人の名前を自由に選択が出来る仕組みになっています。
これによって、選択されたものが絵本のタイトルや文章、イラストにも反映されるわけですから、孫などへのプレゼント需要も喚起できるというわけです。第一弾としてカラオケの第一興商のキャンペーンプレゼント用に制作を請負うようですが、印刷費負担をしても、最低ロットは買い取ってもらうしくみですので、コストも早期に回収ができる仕組みになっているのです。
最近では、TVドラマでも、携帯やPCのネットから視聴者が投票し、その結果をストーリーにまで反映させるという取り組みも出現してきましたね。ネット媒体に限らず、リアルの媒体でも、個客対応がどんどんと増えてきたといえます。その本質は、ユーザー自身が”選択出来る”部分にあります。さて、皆さんの既存事業に個客対応の考え方を導入すれば、どのような新規事業の企画がつくれるでしょうか。
一見、頭では理解できていても、実際の行動に結びつけられていないものです。一度、行動に移してみましょう。自社の既存事業を進化させる、あるいは全く異なる領域であっても、成熟化している業界を狙い撃ちにしてみて、個客対応のスタイルを新規事業として取り入れてみる。こうして、時流にあった新規事業開発を行うことが、立上げまでの時間短縮にもつながってくるのです。
投稿者 compas : 12:43
2007年10月28日
音メディアを考える
最近、ネットの世界では動画を活用したビジネスの展開が広がってきました。これはブロードバンド時代には当然の流れでもあるでしょう。さて、今回は動画ではなく、”音”という切り口のメディアはどうなのかということを考えたいと思います。SNSでも音声SNSをスタートさせている会社もあれば、一方ではアイポッドが普及したおかげもあって携帯用音楽端末や携帯電話でダウンロードされた音声データを再生するという動きも普通になってきました。
これは、もはやニッチなテーマとは言えなくなっているのではないでしょうか。私は、音をフックにした事業展開が独自の市場を形成するのではないかと思い、日々ウォッチしているところです。例えば音声SNSに関しては、「アニモ」という会社が手がけられています。同社は、音声は人間のコミュニケーションの基本で、感情や感性を読み取るには文字より優れているという点にずっと着目されてきました。富士通の社内ベンチャーから誕生したという点でも、時に脚光をあびる会社でした。
今、セカンドライフやオンライゲームをはじめ、バーチャルではアバター(自分の分身)が当たり前の存在になっています。そのため、アバターに音を吹き込むことで、キャラクターと利用者が同化を図れるようになります。また、携帯電話を使えば、音声SNSも手軽にできるようになるなど、音声という切り口も、活用の仕方によっては、新しいメディアの一つになるのではないかと同社では考えられています。
また、「オトバンク」という会社も私はウォッチしています。同社は、音声によって究極のバリアフリー社会を実現したり、音声というメディアも活用して出版文化の復興も理念として掲げるベンチャー企業です。同社は、非音楽市場をドメインにおいて、書籍データの音声デジタル化支援や、デジタル音声データの販売なども事業として手がけています。また、音声解説を中心にした広告事業など、多方面で展開している最中でもあります。
音声市場は、ブロードバンド化と携帯電話の進化、さらにアイポッドのヒットなどの要因が重なり、いきなり脚光を浴びてきたニッチ市場だと思います。しかしながら、音ならではのよさを全面に出した事業企画が新規事業においても打ち出すことが出来れば、決してニッチに終わらない可能性をも秘めているのではないかとも思うのです。ニッチビジネスとしての音メディアを考え、メインストリームへの昇華を新規事業で開拓していく。こんな動きが今後出てくれば面白いですね。動画だけではなく、音にもこだわって、市場を見つめてみましょう!
投稿者 compas : 16:33
2007年10月23日
ゲームを活用するビジネス
最近、ゲームを活用した事業展開を行う企業が増えてきました。例えば、会社案内の制作や企業研修にゲームを織り込むといった感じです。私も最近は、任天堂のDSにはまっていまして、これで英語を勉強するととても楽しく学習ができます。こうやって考えると、BtoCでも、BtoBでも、楽しく何かを覚えたり学習するという分野で、ゲームを活用した新規事業のモデルが、もっと広がってくるのではないかと考えています。
ひとつ分かりやすい企業の事例を、ご紹介しましょう。それは、「SGラボ」という会社です。同社は教育用コンテンツ会社である「学研」と、ファイナルファンタジーで有名なゲームメーカー「スクウェアエニックス」との共同出資会社として展開しています。さて、同社の事業領域はというと、”シリアスゲーム”というコンセプトのもと、「知識を分かりやすく表現、伝達する」、「様々な学習機会の創出と補完」、「新しいコンテンツ・スタイルの創出」としています。
つまり、娯楽としてのゲームではなく、知的コンテンツを使い、学習としてのゲームという切り口を展開しているようです。そんな同社が、今度は、ゲーム内広告の「アドブレイン」と共同で、ゲーム版会社案内の制作事業を始めたようです。サイト上で、ユーザーに楽しんでもらいながら、企業の事業内容などを紹介するもの。これは、人手不足の時代に、採用活動においても使えそうですね。
さて、日経産業新聞では、第一弾の受注先として、ドメイン名を管理する「日本レジストリサービス」の事例が掲載されていました。同紙によると、内容はこんな感じです。ユーザーが主人公となってインターネットもメールもつながらない世界でさまざまな謎を解きながら、日本レジストリーサービスの活動やドメイン名について理解を深める仕組みで、利用料は無料というものです。
私は、ある意味、任天堂が、手軽に学習を楽しむという領域を開拓し、裾野まで広げたと思いますが、この流れは今後定着していくのではないかと考えています。つまり、ゲームを取り入れた学習で切り拓かれた市場は、多様な分野のゲーム化が進むのではないかという意味です。新規事業開発を検討中の方は、自社の事業や経営資源を見回して、ゲームを取り入れた時に、どんな事業が企画できるのかを、一度練ってみましょう。
投稿者 compas : 10:23 | コメント (0) | トラックバック
2007年10月11日
一つにこだわれ!
先日、とある勉強会の事例で出てきた企業について今日はご紹介したいと思います。それは、「バリュープランニング」という会社で、女性用の美脚パンツをつくっておられる会社です。特に婦人用のストレッチパンツのみに特化しており、ヒップを持ち上げるようなフィット感にこだわって独自のポジションを築いておられます。現在、創業13年で年商は100億円弱。特に、「B-Threeミラクルストレッチパンツ」では、同社の中核商品として、「全国にショップ網」を構築しました。皆さんは、見たことがないですか?パンツを履かせた下半身だけのマネキンで、少しお尻を突き出したような展示方法のお店を。
私は、同社の創業社長である井元社長の視点がユニークだなぁと思って、勉強会を受講しておりました。例えば、アパレル業というと、ついついデザイン性にばかり目が行ってしまいます。つまりデザイン性が勝負のポイントのようにも捉えられるわけです。しかしながら、同社の特徴は、デザインも大事だけど、やっぱり機能が大事だと、とことん機能にこだわっていったところにあります。最近の、マーケティングの教科書的に言えば、機能的価値よりも心理的価値が大事などと言われます。ただ、この心理的価値も充分な機能的価値が磨かれているからこそ成立するものなのです。
では、同社の機能的価値とはなんでしょうか?シンプルなコンセプトでその価値を磨かれています。それは、「はき心地」と「フィット感」です。やはり、見た目が良くても、はき心地とフィット感が悪ければ、顧客の心を満たすことが出来ません。そのため、この機能的価値の一点に経営資源を投入して、現在では世界22カ国に商標特許を出願するまでになったのです。そして、その効果として、”ヒップアップ”を演出するというところに絞り込んでの商品開発、プロモーション戦略、ショプ展開など一貫した戦略をとってきているわけです。
私はアパレルのショップで、複数のアイテムを組み合わせて販売しているところは見たことがありますし、もちろんジーンズショップのように、ワンアイテムのみを販売しているショップもよく見かけます。しかし、その事業領域を”ヒップアップ”や”美脚”というところに大胆に絞り込んで、お尻を突き出したようなマネキンを展示したショップ展開をする企業など見たことがありませんでした。ニッチスペースの開拓が、新規事業では大事とはいつも言うことですが、問題はそれが単なる隙間なのか、それとも、ただ市場を細分化して一つにこだわっているだけで、そこには大きなマーケットと強いニーズがあるのかどうかを充分に吟味しなければなりません。
大胆に、一つに絞り込む勇気、そして一つにこだわる力こそが、新規事業開発においても、成功要因になるように思えます。中堅企業やベンチャー企業であれば、なおさらなのではないでしょうか?皆さんの会社では、どの一点にこだわって新規事業開発を行いますか?一度、胸に手をあてて考えてみましょう。
投稿者 compas : 21:00 | コメント (0) | トラックバック
とことん尖って欲しい!
私の日常は、様々な会社の事業計画に目を通すところからスタートすると言っても過言ではない日々です。もちろん事業計画は新規事業の企画が中心であって、経営計画ではありません。ところが、この各社の事業計画書、その多くは退屈なものばかりなのです。こう言ってしまうと、クライアントに怒られそうですね。でも、何故だか言いましょうか?それは、何が売りが分からない、何が強みか分からない、平たく言えば、小さくまとまっている印象を受けるからです。事業計画書を見れば、普段勉強している姿が思い浮かびます。
しかしながら、ビジネス書に則った企画や事業計画書を作成しても、私はおろか、顧客の心に響くことはありません。もっともっと、尖った事業計画にして欲しいのです。ましてや高い知名度を持たない企業は尚更のことです。私はいつも「成長市場の中にニッチスペースを見出せ!」と説きます。しかしながら、多くの事業計画書は成長市場の記述はあっても、どこがニッチなのか不明ということが多々あります。これでは、他社との差別化も出来ないばかりか、社内に経験値やノウハウもストックしていくことが難しくなります。なぜなら、尖ってない事業は、他社もノウハウを既に持っている可能性が高いからです。
例えば、携帯電話向けサービスを展開する「ジェイマジック」という会社があります。同社は、”顔チェキ”というサービスで世間で注目される存在になりました。”顔チェキ”とは、自分の顔を携帯電話のカメラで撮影して、同社のサーバーに送信すれば、有名人で誰に似ているのか、有名人の画像データベースから似ている順に上位3位までを教えてくれるという、ちょっとしたお遊びサービスです。このサービスは単純モデルですが、コンセプトの良さと使い勝手のシンプルさで、あっという間に1千万人以上の利用者を集めたサービスです。
で、このサービスを開発した同社が、今度は画像認識技術を活用して、カメラ付き携帯電話をポスターや雑誌、CDジャケットにかざすだけで、楽曲が視聴できるシステムを開発しました。専用ソフトをダウンロードする必要があるものの、街で気になる音楽に関連したものを見かけると、携帯電話をかざせば曲が聞けるという、単純にして壮大なモデルを描いているわけです。仕組みはと言うと、ポスターなどの広告を携帯のカメラでかざせば、画像が自動的にデータベースへ送られて、該当する楽曲を検索して、ダウンロードできるようにするようになっています。
このサービスが普及すれば、レコード会社や広告代理店のプロモーションにも活用できますね。更には、音楽だけではなくプロモーションビデオなどの動画も可能になるわけです。さて、同社の尖り方は分かりますか?携帯サービスという成長市場において、あくまでも携帯電話のカメラで撮影した画像と独自に構築する画像データベースを組み合わせて、手軽で便利なサービスを追及するという部分に特化しているわけです。ものすごく尖っていますよね。
つまり、新規事業の企画や事業計画の作成において必要なことは、尖りをいかに持たせるかということなのです。でなければ、全く面白みのない事業になってしまいます。皆さんの会社で作られた企画や事業計画書は尖ってますか?また、尖るためにはどうすればいいですか?一度、事業の尖り具合を検証してみてください。ちなみに、私はジェイマジック社の尖ったサービスに今後も注目しています。
投稿者 compas : 20:48 | コメント (0) | トラックバック
変わった連中を相手にしろ!
私はセミナーでも新規事業コンサルティングの現場でも、やたらと「ニッチ市場を切り拓け!」と喝破しているので、すっかりニッチ市場が耳タコになりましたよ〜という人が最近増えてきました。ニッチビジネスは研究すればするほど、新規事業企画の発想や視点が勉強になりますし、ある種時代の先取りをすることにもなるので、とっても面白いのです。しかし、これは面白いという理由だけではありません。実際に、大企業でさえ、ニッチスペースを切り拓けるかどうかのマーケティング力などは、とっても新規事業開発において重要なのです。だって、塵も積もれば山となるというのは古今東西変わらない本質なのですから。
さて、本日も一件、ニッチビジネスの事例をご紹介しましょう。「東京R不動産」というサービスで、単純明快なモデルです。それは、ウェブサイトで不動産を紹介し、仲介するという事業です。では、どこがニッチなのか。それは、かなり個性的な物件のみに絞った不動産を取り扱っているところです。通常では借り手がつかないような物件ばかりを集めているわけです。世の中には考えてみれば、大屋さんが古すぎて借りてくれないだろうと思う物件や、こんな間取りでは住みにくいという物件がたくさんあります。しかし、こうした物件にこそ価値を感じて、借りたいと思う人は必ず存在するわけです。平たく言えば、マニア市場となるでしょうか。
ところが、普通の不動産屋は効率や収益重視ですから、個性的な物件ほど取り扱いたがらないわけです。さぁ、どうでしょう。特定のニーズはあって、供給が少ない。ここにニッチスペースはありますよね。例えば、駅からは遠いが、ルーフバルコニーが居室よりも広い部屋。ものすごくて古いが改装は自由自在など。そうした物件の数々を、営業マンが自分で見つけてきては、ウェブサイトに紹介文を書き、希望者の見学を受け付け、大家との交渉を行い、成約に至るまで全てを取り仕切ります。(プレジデント誌07'7.30号一部引用)。顧客も見学に行くくらいですから、成約に至るまでの期間が短く、実は効率もいい商売のようです。あと、ウェブサイトもじっくり見てください。かなり面白いですよ。
さて、ニッチビジネスの開拓の方法はいくつかあります。どこかに焦点を当ててかなり限定された機能を提供する、またはかなり限定された顧客を対象とする。そして特定の時間だけ営業するなど、そのパターンはいくつもあることでしょう。しかし、一番発想が行いやすいのは、顧客層を絞り込むことだと思います。事業計画でも顧客像が絞り込まれていない例をよく拝見しますが、語弊を恐れずに言えば、まずは”変わった連中を相手に商売する”という発想がニッチビジネス開拓の第一歩になるのではないかと私は思います。事業計画では、顧客層のイメージを絞り込んで、事業に尖りを出していきましょう。
投稿者 compas : 20:45 | コメント (0) | トラックバック
スピリチュアルの波は新規事業にも
世間ではスピリチュアルなものへの関心がとても高まっていますね。書籍からテレビからもちろんネットに至るまで、占いまで入れるとこれは大きな市場であると言えます。さて、このスピリチュアルというテーマは、見方によっては胡散臭いもの。そのため、そこでお金を頂戴してサービスを行うというのは本当に難しいものでした。しかし、昨今のスピリチュアルの波は、もはや止まらないくらいの勢いを見せています。それだけ社会が成熟化し、疲れている人が増えてきていることの証なのでしょう。
それならば、ここはプラスに捉えて、思い切ってスピリチュアルの要素を取り入れた新規事業開発を行ってみましょう。分かりやすい事例で言えば、”癒し”という付加価値を事業に取り入れることで、既存の事業にドライブをかける、もしくはそれをテーマにした新規事業開発を行うという意味です。例えば、園芸販売や飲食業を展開する阪急グループの「クリエイティブ阪急」という会社がありますが、同社が花による心理セラピーを活用した生花店「conoka」という店を業態開発し、多店舗展開を目指しています。
今朝の日経新聞にも掲載されていたのですが、仕組みはこうです。専門の研修を受けた従業員が顧客の心理状態に応じて、およそ30種類の切花などを組み合わせて販売し、花による”癒し”を求める20〜50代の女性を顧客として取り込む狙いだそうです。また、顧客は専用カウンターに座り、心理状態を従業員に申告します。そして不安やストレスをため込んでいる人にはラベンダー、元気になりたい人にはひまわりが入った花束を提案し、花の心理的効果を記したカードも渡す流れになっているようです。
客単価は従来の店舗より500円程度高いようで、縮小傾向にある国内の生花市場で、”癒し”という付加価値を取り入れて、駅中出店による多店舗展開を目指すそうですよ。新規事業に限らず、事業では特徴がないと顧客は振り向いてくれませんが、問題は何で特徴を出すかという点ですよね。私は生活者向けビジネスにおいては、特にこの”癒し”を初めとするスピリチュアル系のエッセンスが、重要になってくるのではないかと考えています。新規事業開発にも、スピリチュアルの波は押し寄せてきている。この流れは、しっかりと理解しておかなければなりませんね。
投稿者 compas : 20:25 | コメント (0) | トラックバック
供給側もロングテール?
最近、サミットをはじめとして環境問題が世界的視野で語られるようになってきました。また、環境をビジネスという側面で見ても利益の出る商売のテーマとして浸透しつつあるようです。さて、今まで環境ビジネスというと産業廃棄物の処理やリサイクルの類、そして代替エネルギーの開発など、比較的大きな資本で大量に開発・生産するビジネスが目立ってきました。しかし、ここにきて環境ビジネスの裾野は確実に広がってきているようですので、環境分野におけるサービス業や技術開発型であっても大資本に頼らないニッチビジネスが、今後の市場性として面白いのではないかと私はウォッチしています。
一つの事例として、ニッチな電力開発会社をご紹介しましょう。「音力発電」という会社があります。同社は社名のとおり、音や振動から発生するエネルギーを用いた電源装置の開発に取り組んでいる会社です。社長は慶応大学の学生で、教授の協力を得て2006年に会社を設立したらしい。着眼点のユニークさは、日常絶えず発生する音や振動の有効活用ができれば発電源が枯渇することがないのではという部分です。このユニークさは、「発電床」という主力製品にも表れています。この床の上を人が歩いたり自動車が通ると、その振動をエネルギーとして発電する装置で、技術的には、外圧を加えると電圧が生じる水晶などの圧電素子を活用して、独自に開発されました。
発電能力の向上と耐久性、蓄電能力が課題とされてきましたが、数々の工夫で一つずつ課題をクリアに。そして現在では大手企業からも注目されているようで、JR東京駅構内の改札口に発電床を設置して実験を繰り返しているようです。ちなみに、同社の現在の収益源は、発電床などの機材レンタルや研究開発、コンサルティングなどが主なものとなっているようです。今後は用途開発を積極的に行うことで、「音力発電」を広めていこうとされています。とてもニッチな発電源に目をつけましたね。一つずつは小さくても、積み重ねれば大きいもの。日常発生するものや、どこでもあるものをエネルギー化しますので、市場性は大きいのではないかと思います。
ここ数年で、少量でも末永く売れ続ける商品がネットの誕生によって複数生まれるようになってきたロングテール現象というものがあります。しかし、同社の事例を見てみると、供給する側もニッチな積み重ねで長く売り続けるところが同ビジネスの面白さではないかとも思います。日常、見逃しているような小さなことも、発想をひねり、実際に実用化することで、積み重ねれば”大きなニッチビジネス”が開発できるのではないでしょうか?ニッチビジネスでロングテールを目指す。新規事業開発の際には、こんな視点も忘れてはならないでしょう。
投稿者 compas : 19:56 | コメント (0) | トラックバック
利益増殖モデル
”一粒でも二度おいしい”二毛作ビジネスを新規事業で展開できれば、こんな理想的なことはありません。しかし、ニッチビジネスの場合は逆に、二毛作、三毛作まで展開できる事業計画が立たなければ、最後までニッチで終わってしまう可能性もありますので、利益をいかに増殖していくかという視点が事業開発では必要になってきます。たとえば私自身のコンサルティング業界をみてみましょう。
コンサルティングのノウハウや理論は体系化し、大企業向けには詳細な事業計画や市場調査を重視する。そして中小企業向けには、実践的なノウハウを易しく整理する。さらに、特定テーマに絞って複数のノウハウやコンテンツを、コンサルティング、研修、執筆、セミナー・講演などに形を変えて切り売りする。こういう風に、コアになるものをターゲットや利用シーン別に形を変えて販売することで、利益増殖モデルが築けるようになります。
さて、今私は、ある会社の利益増殖モデルに注目しています。それは「テラネッツ」という会社です。この会社は、単純に言えば消費者向けにアニメやゲームのクリエイターを紹介する事業を行っています。誕生日やお祝いにメールに添付する絵や音楽くらいは個性的なものにしたい、似顔絵や詩なども送りたいといった場合に、プロのクリエイターに一般消費者が低料金で依頼できるシステムです。クリエイターの過去の作品を見て選べますので、安心ですし、クリエイターはメールに添付する形でコンテンツを納品しますので、双方共にお手軽な仕組みとして好評を得ているようです。
これによって、クリエイターは仕事も確保できますし、将来性のあるクリエイターの発掘にもなります。現在3300人の各種クリエイターと契約しているそうですが、技術水準を維持するために競争倍率10倍の試験で選抜された人とだけ契約を結ぶ仕組みとのこと。さて、この事業は「オーダーメイドCOM」という事業名ですが、利益増殖のビジネスはここからスタートするのです。消費者に送ったコンテンツは販売後3ヶ月が経過すると、著作権が消費者から同社に移ることになっているところがポイント。
つまり、このコンテンツを二次利用することで、単なるニッチビジネスに終わらせないのです。これまで蓄積されたコンテンツ数は10万点と言いますから、それに企画を乗せて企業に再販すれば、制作費のかからない利益率の高いビジネスが展開できるというわけです。また、タカラトミーの子会社と”リカちゃん”を題材にしたコミュニティゲームの運営も始めましたが、テラネッツが契約したシナリオライターが描いたゲームを提供するとのこと。さらにゲーム内でアバターや家具を販売して収益化する仕組みまで考えられています。
こうしてみてみると、入り口部分では、単なるクリエイターとユーザーのマッチング紹介業です。しかも、ターゲットとする利用シーンを”大事な人の記念日などに世界で一つだけの品物を贈りたいとき”と絞ってニッチ市場を開拓。そして出口部分では、マッチング紹介事業の際に蓄積したコンテンツを二次利用して収益を拡大していく展開をとる姿を見てみると、理想的なニッチビジネスの開拓例のように思えます。新規事業開発は、どこかニッチな部分があるのが私はセオリーだと考えていますが、その後いかに利益を増殖していけるかが、事業の将来の成否を決めるのではないでしょうか。最後まで隙間ビジネスでは、新規事業にチャレンジした意味がないのです。
投稿者 compas : 19:26 | コメント (0) | トラックバック
携帯電話を活用した健康ビジネス
健康市場は成長マーケットと呼ばれ、多種多様な業界が参入を目指してきました。もちろん、今でも新しい事業モデルを引っさげ、チャレンジする企業も増加する一方のようです。さて、健康市場といえば、健康に効くグッズなどの商品開発か、ネット通販を中心とした販売業が従来から大きな市場をつくってきました。しかし、モノづくりやモノの販売系のビジネスが一巡した後は、サービスの分野でマーケットが広がってくるという法則に、皆さんの会社の新規事業開発にもチャンスが生まれてきそうですね。そこでのポイントは、やはり”ITに頼り過ぎないIT活用”にあると思います。
最近増えているのが、携帯電話を活用した医療支援サービスです。例えばソフト開発ベンチャーの「ウィアー・エンジニアリング」は、利用者が自分の身体や病歴の情報を携帯電話に入力してマイカルテが作成でき、専門家に相談もできるような仕組みをつくりました。3月に始めたばかりのサービスでもアクセスは1万6千件を超え、既に仮登録の会員も1千人を超えているようです。同社のサービスは月500円でKDDIの携帯電話で利用できます。例えば血圧や脈拍などの健康データや、食事や運動のデータを入力することで、カロリー計算や運動メニューを組んだりすることが可能なシステムです。
ちなみに病院や通院歴史も入力できるため、突発的な事故で医療機関に運ばれても、携帯の情報をはじめての医師にでも見せれば、スムーズに治療にかかれます。また医者同士のデータの共有も可能になりますので、携帯というツールを手軽に使えるようにしたことで、マーケットを開拓中というわけです。ちなみに、個人向けだけではなく、病院の空きベッド情報を携帯で確認できる仕組みなど、医療機関向けにもサービスを構想中のようです。
携帯電話を使った健康ビジネスと言うと、多くは携帯電話を使って自分の健康状態のデータを医療機関や専門家に送って、健康診断及び医療アドバイスでフィードバックさせるという仕組みが主流でした。しかし、同社のように個人向けだけではなく、医療機関を対象にビジネスを考えると、発想が広がりますし、更に多くのビジネスモデルが構想できると思うのです。ただし、私はここでのポイントは、いかに使い勝手を簡単にし、シンプルなビジネスモデルにしていくかということではないかと考えています。
携帯電話を使ったサービスは便利な反面、使い勝手だったり、似たり寄ったりのビジネスモデル、またはセキュリティの問題など課題も多く語られます。だからこそ、「シンプル&安心」というキーワードで事業開発にあたるべきではないでしょうか。単純モデルでもいい。他社にはないサービスを「シンプル&安心」というコンセプトで複数案仮説を作ることから、携帯電話を使った健康ビジネスを考えていくこと。これは、健康をテーマにした会社の新規事業開発の鍵となることでしょう。
投稿者 compas : 19:24 | コメント (0) | トラックバック
コンセプトが命!
ニッチビジネスを切り拓くとき、何が必要ですか?と聞かれれば、私は「コンセプト!」と即座に答えます。もちろん、コンセプトの重要性はニッチビジネスに限ったことではありませんが、ニッチビジネスは特にこれが大事なのではないでしょうか?コンセプトが顧客の心を捉えれば、どれだけ成熟化したり衰退に向かっている産業であっても、イノベーションを起こすことが可能になります。コンセプトは、事業の本質であるため、私は直訳の「概念」という言葉を使わずに、「顧客が買う理由=付加価値=差別化」として捉えるようにしています。もちろん、この裏側は「ターゲット顧客、スペック、プロモーション」など周到なマーケティング計画によって支えられています。
さて、コンセプトが面白いニッチビジネスの事例をひとつだけ今回はご紹介してみましょう。それは「コクヨビジネスサービス」が始めた「”弁護士専用の貸事務所”ビジネス」です。ポイントは事務所を貸すという部分ではなく、”執務室を貸す”というコンセプトの部分で、「ファシリティ+アウトソーシングビジネス」という二つの側面を持つことです。弁護士といえば、法科大学院の増設や司法試験改革による弁護士の増加が見込まれるだけに、ニッチではありますが、今後伸び行く市場であることは間違いありません。
弁護士といえば、顧客を事務所に迎え入れる仕事のため、立地や内装などが大事ですが、普通に考えれば独立したての弁護士にとっては大きな負担になります。そこでこのビジネスが意味を持つようになるのです。2020年には、現在の約2.4倍の55000人に弁護士人口が増えるそうですから、一定の需要は見込めるのではないでしょうか?
さて、今回ご紹介した事業の面白みは、特定の職業にターゲットを絞った部分にあります。不動産で言えば、リフォームやコンバージョンによりSOHO向けのレンタルオフィス事業を展開するということが法人向けではよくなされます。しかし、ここまで特定のターゲットに絞り込むというのは、まだ少ないのではないでしょうか?法人向けであれば、ターゲットを絞り込んで今まで予期しなかったようなコンセプトで事業展開をしてみる。そんな中から、新規事業開発の成功が生まれてくるではないかと思います。たかだが不動産事業。でも、イカしたコンセプトをそこに実装することで、事業展開は大きく変わります。新規事業開発における肝はコンセプト。ましてやニッチビジネスであれば、その感を強く持ちます!
投稿者 compas : 19:19 | コメント (0) | トラックバック
働くママを支援する新規事業
今、共働きの家庭が増えてきています。しかし、保育所の問題をはじめ、幼少期の子供の教育をどのようにすればいいのかや、働いていて不在中の子供の安全をどう確保するのかという問題が増えてきています。そこで、それらの問題を解消する小学生を対象にした”アフタースクール”「キッズベースキャンプ」の事例を見てみましょう。これは新規事業の中でもニッチビジネスとも言えると思います。この事業は保育園ではなく、小学校低学年を対象に、放課後の面倒を見てくれるものです。通常、幼児の間は、女性も保育所に預けて仕事を続けられますが、小学校に入ると同時に放課後の面倒を見てくれるサービスが少なく、退職せざるを得ないお母さんがたくさん存在していました。そんな不満を解消するために、この事業が生まれたようです。
なるほど、子供を預かると聞けば、すぐに保育所を思い浮かべますし、ましてや保育所の数が足りないというところに問題がフォーカスされがちでしたね。しかし、真の問題は、小学校に子供が入学してから発生していたのです。現在、キッズベースは、関東の新興住宅街を中心に6店舗出店し、昨年オープンした一号店では、定期的に利用するレギュラー会員と春休みなど単発のスポット会員をあわせて220人が会員登録しているとのことです。現在は、クチコミやメディアへの掲載で広がりつつありますが、単にニッチ市場を掘り起こしたという点にだけ人気の秘訣があるわけではないようです。
これは学校と競合するのではなく、例えば近隣の公立小学校の協力も得ることで、放課後になると教室まで迎えに行く送迎サービスを付けたり、施設のセキュリティ体制を整えることはもちろんのこと、医療機関とも連携している点で、「安全・安心」という部分を売りにしているわけです。また、単に預かるという”代行”業的な発想ではなく、教育的な要素も加え”高付加価値”の要素を入れているところにも同事業のポイントがありそうです。
さて、共働き世帯が増えているという点では、子供の養育の問題と家事の問題をどうするかという点が大きな市場として捉えることが出来ますね。いわゆる成長市場というものです。ここに、ニッチなスペースを築く際に、どこに着眼するかが問題になってきます。幼児を対象にするのか、小学生を対象にするのかという「ターゲット」の問題、もしくは子供を一時的に預けるニーズに応えるのか、放課後のサポートをするのかという子供(ターゲット)の「生活シーン」の問題、そして単純代行なのか、高付加価値サービスなのかという「ビジネスモデル」の問題。これら、複数のニッチポイントを組み合わせて上手に事業の構造をつくられていると私は思います。
ニッチスペースは発見するのが難しいとは、私もコンサルティングの現場でよく言われます。しかしながら、その基本は何てことはない「細分化」にあるのです。事業を構成するいくつかの要素を因数分解してみて、そのうち特定の要素に集中してみる。やはり、これに尽きると考えています。経験と勘に頼らない、ニッチスペースを発見することが、新規事業の企画化におけるスピードアップにつながるのではないかと私は思うのです。
ちなみに、「キッズベースキャンプ」事業を手がけるのは、元「ミスミ」の創業者である「田口氏」が、設立した「エムアウト」という起業専門会社です。うちの会社は、新規事業のコンサルティングという支援に重きを置いていますが、同社はオリジナルの事業の創出に重きを置いた個性的な会社で、私が目指す道の一つでもあります。同社の動きも必見ですよ!
投稿者 compas : 18:53 | コメント (0) | トラックバック
成長市場の裏側で
成長市場の中にニッチスペースを見つけることや、成長市場の周辺、または裏側で事業企画を検討することが、中堅・ベンチャー企業の事業開発にとって必要なこと。これは私がいつもセミナーなどで力を込めてお話する内容でもあります。そもそも、大企業のように成長市場に正面から参入するというのは、日々のマーケティング活動だけではなく、新規事業開発に関しても、同様に避けるべきことだと私は考えているからです。成長市場の定義や領域も線引きが難しいのですが、一般的に伸びている市場、そして新規参入企業が多い市場として捉えるだけでも十分でしょう。問題は、成長市場まわりでどんな事業内容を創りあげるかということですね。
私は、ソフトウェアの開発企業で「ルナスケープ」という会社に注目しています。一言で言うと、同社は、個性のあるブラウザー(インターネット閲覧用)ソフトを開発している会社です。いわゆる”カスタムブラウザー”というものです。多くのPCユーザーは、マイクロソフト社のインターネットエクスプローラー(通称IE)やネットスケープ社のネットスケープ(通称ネスケ)を使用していることと思います。これらはPCの購入時にプレインストールされているため、当然ですし、敢えて、他のブラウザーを使いたいというところまではいかないという人が多いのではないでしょうか。ところが、ヘビーユーザーや企業使用となると、そうとは言えません。独自のブラウザーのニーズがあるわけです。
つまり、IEやネスケという大きな市場、大きなプロダクトの裏側で、カスタムというニッチポイントを創りだし、展開している点にユニークなビジネスモデルの特徴があります。同社は、デザイン性が高いブラウザーをダウンロードできる仕組みをつくり、2007年度は170万人の利用者を見込むと言います。そもそもパソコンはデザインに凝った商品が増えてきましたが、ソフトウェアはおしゃれではないという着眼点ですね。好みでソフトの背景色を選べるなんて楽しいじゃないですか。
また企業のプロモーションコンテンツを織り込んだ広告専用ブラウザーの開発や、ヤフーオークション専用のブラウザの開発、昨年はリモコン操作が可能なブラウザーが富士通の秋冬モデルのマイメニューに採用されるなど、カスタムブラウザー事業も多面的展開を見せております。一度、同社の「ダウンロードサイト」も見てみてください。ネットサーフィンも楽しくなりますよ。ダウンロードは無料ですが、現在の収益源は、検索エンジン会社と提携し、ツールバーに内蔵した検索エンジンバーの利用に応じて広告収入を得ています。また、これ以外には起動時のトップページに商品紹介や専用サイトを表示する企業向けの販促ブラウザーの開発でも収益を上げています。
さて、同社は2001年に近藤社長が、早稲田大学の大学院在学中に開発し、2004年に法人化した企業です。まだまだ若い企業ですが、IEのような巨人ソフトの隙間を縫うようにして、ニッチスペースを開拓した事例としてはとても勉強になります。私は、今後この会社は成長すると思いますし、世界へ出て行くことも可能ではないかと見ています。カスタマイズや細かいニーズに対応する技術やマーケティング力は、日本ならではの”きめ細やかさ”が活かせるからです。成長市場には巨大な企業や、巨大な商品が存在しています。しかしながら、その周辺、時には今回の事例のように裏側でニッチビジネスを計画すれば、リスクの高い新規事業であっても、勝算は立てることが可能になります。大手企業やシェアの高い商品が手がけにくいもの、手がけたくないものなどを事業計画化し、ニッチビジネスをどんどん開拓していきたいものですね。
私は、セミナーやコンサルティング先で、大手企業の担当者を相手にすると、毎回のように同じコトを言われます。もっと巨大な商品に育つような大企業向けの新規事業の仮説を教えてくださいと。ニッチビジネスだけでは、あまり考えることができませんと。しかし、これって正しいことでしょうか。ニッチビジネスをどう巨大事業に育てたり、積み重ねていくのかということが、本当の意味で大事だと私は思いますけどね。液晶も今でこそメジャー商品の技術ですが、かつてはニッチ市場だったわけです。ニッチビジネスをバカにするなとは私のコンサルティング活動におけるポリシーでもあります。幹になるニッチビジネスは、新規事業開発の入り口として欠かせないものである。私は、コンサルタントとして、そういう考えを持っています。
