2008年07月27日

成熟市場で勝ち残れ

新規事業コンサルティングの現場では、新規事業の企画において必ず「成長市場」を狙いましょうというお話をします。しかしながら、これは原則論のお話であって、絶対ではないことも付け加えています。新規事業開発とは、「新しい切り口で新しいお金の流れを作ること」です。つまり、必ずしも「新しい市場」で勝負する必要がないことも留意しておきたいところです。その一つとして、成熟市場に敢えて参入するということも考えられます。

成熟市場とは後に衰退していく可能性がある市場のために、二の足を踏む企業も多いことでしょう。しかしながら、「残存者利益」という言葉があるように、成熟市場であっても勝ち残りさえすれば、大規模な投資を要さずに、利益を生み続けることが可能になります。つまり、成熟市場において、高シェアを獲得し維持し続けられるテーマを発掘することも、新規事業の選択肢の一つになりえると考えています。

例えば、アナログレコードやレコードプレーヤーは、既に産業として終わっているかのように多くの方がイメージを持たれることでしょう。CDやDVD、そして音楽配信、ブルーレイなど様々なツールや媒体が誕生していますから当然のことですよね。しかしながら、若者が集まるクラブやDJ向けとなると、ニッチではありますが特定のマーケットとして強固なものがあります。

もちろん、同業他社の多くが、撤退して行ったわけですから、逆に新規参入の脅威は少なく、多額の投資を続ける必要はありません。また、爆発はしないけれども、堅調に長く利益を得続けることが可能になることも目を離せません。従って、顧客や商材を絞り込んで、戦略を工夫すれば、新規事業においても成熟市場は、あながち捨てるべき市場ではなくなるわけです。

実は、偶然にもそんなことを考えていた時に、日経産業新聞で「読売広告社」の事例を目にする機会がありました。同社は、他の広告代理店が総合化する中で、敢えて成長がそれ程見込めない”不動産広告事業”に軸足を置き続けています。大手デベロッパー向けにマンション販売のプロモーション支援などに力を入れています。そして実は、不動産広告の分野では、他社大手の売上を圧倒しているらしいですよ。

中長期的には、成長市場への投資も必要になることに変わりありません。しかしながら、成熟市場で高シェアで長く稼ぎ続けるというビジネスも新規事業の選択肢としてはありではないか。私はそういう風に考えています。成長市場で新たなポジションを新規事業で得るのか、成熟市場で残存者利益を獲得するのか。新規事業の企画において、この部分も軽視してはいけないことだと私は思います。

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2008年05月19日

些細な視点

新規事業の企画業務において、必ずしも大きな視点を持つ必要はないということを皆さんはご存知ですか?夢ばかりを見るのではなく、時には些細なことを大きくしていこうとすることも必要なのです。日常にあるどんな些細なこともビジネスにしていく貪欲さがあれば、何でも企画化していくことは可能なのではないでしょうか。いつもメガ・ヒットばかりを目指す必要はないのです。

例えば、玩具メーカーのバンダイはこの点において、良い事例を提供してくれます。例えば「プチプチ」という商品を皆さんはご存知でしょうか?少し同社のHPから引用してプチプチを活用した玩具のご紹介をしましょう。そもそもプチプチとは、ポリエチレン製の無数の気泡をシート状にした、壊れやすいものを包む緩衝材のことです。本来の使用方法は、緩衝材としてですが、この気泡を指でつぶしたときの「プチッ」という心地よい感触が病みつきになるという側面もよく知られています。
 
同商品「プチプチ」は、そんなプチプチをつぶした感覚を本物そっくりに再現したキーチェーン玩具です。表面の気泡の粒を指で押すと、プチプチとはじける感触を味わうことができ、内蔵されているスピーカーから出る効果音で、本物のプチプチをつぶしているかのような感覚をお楽しみいただけます。いつまでプチプチしても、なくならない安心感と、どこでもプチプチ出来る手軽さ、何回も押した時に「プチッ」以外の効果音を聞くことが出来る遊びの楽しさがこの商品の魅力です。とのこと。

なるほど、確かにこれは触りたくなりますよね。そして、あ〜分かる分かるという反応が得られそうな企画。実は、これ、かなり些細な生活者としての視点や気持ちから商品化されたと聞きます。まさに、担当者が貪欲にビジネス化した些細な視点の良い例と言えるでしょう。そしてもう一つ、「バブリーバブルバス」という商品をご存知ですか?簡単に言えば、札束を浮かべて風呂に入るシーンの提供です。

ある日、商品企画担当者が、翌週の企画会議に提出するネタがないと悩んでいた時に、読んだ雑誌の写真広告を見て気づきました。札束を浮かべて風呂に入るという誰しも面白おかしく憧れるシーンを提供できたらと・・・。些細な視点が企画に結びついた事例ですね。詳細は、同社のサイトで商品案内を見るのが良いでしょう。ちなみに、サイトでは、次のように紹介されています。

「バブリーバブルバス」は、あこがれの“お札風呂”が体感できる入浴剤で、片面にお札をイメージしたプリントを施した、紙状のあわ入浴剤が10枚入っています。1枚ずつ浴槽に散らし入れ(1回の入浴につき10枚以内が適量です)、入浴剤が溶けてきたらシャワーなどをお湯の表面にあてるなどしてお湯を泡立て、あわ風呂をお楽しみいただけます。香りはさわやかなヒノキ風呂の香りです。

商品の中台紙には、お金にまつわる格言入りで(全13種、例:「財布が軽ければ、心は重い。」)、また「大当たり」の文字が出れば、お札型のオリジナルハンカチ「バブリーハンカチ」10枚セットをもれなくプレゼントします。 う〜ん、面白い!どうでもいいものだけど、買って試したくなります。

これは一度サイトの写真を見ていただいた方がイメージしやすいかもしれませんね。さて、私が言いたかったことは、一つだけです。メガ・ヒット級の新規事業や商品開発を狙って発想しようと思ってもなかなか難しいものです。それよりも、日常見る些細なことにどれだけこだわって、深く掘り下げて洞察していくかということがとっても大切になってくるのです。どんな些細なことも”ネタ”として見逃さずに、商売につなげてみましょう。

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2008年04月21日

”もったいない”をビジネスに

世の中で”もったいない”と思えることはたくさんあります。こんなもの捨てて、まだ使えるのに・・・という類のものが最も多いことでしょう。さて、その筆頭核に子供向け市場にまつわる商品やサービスがあります。例えば、子供服などは、典型的ですよね。子供が成長すれば、着れなくなるので、捨てるか他人にあげるか、最近ではリサイクルショップに売ったりネットオークションで売りに出すというもの。

リサイクル市場とネット生活の定着で”もったいない”を解消する手段は少し増えてきたように思いますね。さて、ポイントは、この動きを、新規事業にもどう活かすかという部分です。実は、子供市場を考えただけでも、”もったいない”を解消するビジネスは複数考えられます。子供が成長すると不要になるため、初めから買うのがもったいないと思える商品テーマをリストアップしていくだけでも、新規事業のチャンスは見えてきますからね。

例えば、子供服だけではなく、子供向け玩具というのも新規事業のテーマになりえるでしょう。不要になった玩具をリサイクルに出すのではなく、予めレンタルにして必要なときだけ利用するという仕組みを作ることも可能です。ちなみに、米国では「ベービープレー」というサービスで、このレンタル玩具が急速に浸透してきました。0歳から10歳くらいまでの玩具で遊ぶ子供がいる家庭に会員制で玩具をレンタルするサービスです。

1ヶ月4個で月額約37ドルというもの。10個程度まで価格別にサービスが準備されているようです。玩具の種類はサイトから親が選べる仕組みで、1ヵ月後に返送すると次の月の新しい玩具が送られてくるようになっています。レンタルDVDと似た仕組みですね。もちろん、郵送料金もレンタル料金に含まれているので、手軽に利用できますね。玩具は子供が口に入れるリスクもあるので、消毒には細心の注意が必要ですが、かなり、人気のサービスとして急速に広まっているようですよ。

さて、今回は分かりやすい事例として、子供向け市場の事例を見てきましたが、実は世の中には”もったいない”というモノやコトがたくさん落ちています。その一つずつをつぶさに洞察して、皆さんは新規事業に結び付けていくことが可能なわけです。ビジネスチャンスとは、”もったいない”という感情など、あるべき姿と現実のギャップが生じた時に、たくさん見えてくるもの。私は、少なくともそう思います。そのため、そんなギャップや歪みを見つけ、商売のネタとしていくクセを身につけていきましょう。皆さんのまわりの”もったいない”は何がありますか?

投稿者 compas : 17:46

2008年04月04日

ニーズを組み合わせて考える

AとBを「組み合わせる」ことでCという新しい企画を考える。この”組み合わせ”の企画方法自身は、私が前からコンサルティングの現場でもご紹介してきたことです。では、何と何を組み合わせるのがいいのか?というところが一番ネックになりますね。膨大な数ある現象から有力な組み合わせのための素材を見つけるのは至難の業でもあります。でも、決して難しく考えないで下さい。身近にあるニーズを全てリストアップして、一つずつ組み合わせ見るのです。

身近なニーズを組み合わせて新しい事業を手がけている企業に、マーケティング支援の「レピカ」という会社があります。同社は、中小の小売店や飲食店を対象に、プリペイド(前払い)式電子マネーカードの発行・運営代行事業を展開しています。ポイントは、従来からある顧客情報管理用の「会員証」と兼用できるところにあります。つまり、プリペイドで払いたい(払って欲しい)というニーズと、顧客情報を取得し、リピート対策を行いたいというニーズを組み合わせて電子マネーカードにしてしまったというわけです。

電子マネーカードはチャージが可能で、お店側としては顧客情報の管理まで出来ますから、顧客の属性や購入履歴に応じてキャンペーンの案内や電子クーポンの配信までできます。レピカ自身は、サーバーの運用や決済端末の貸し出しなどを行うことで、バックサポートに務めます。ちなみに、カードの利用者は携帯電話でも残高を確認できるため、利用者、お店の双方にとって便利なシステムと言えます。

前払い式のプリペイドカードは以前よりありましたが、会員証と兼用できるという”組み合わせの発想”で、企画が実現したようです。よくありがちな企画のようですが、中小向けに運用を丸抱えにし、低コストでの導入を可能にすることで、この組み合わせ方式の企画が広がりを出してくるのではないかと私は思います。全く異質なものを組み合わせて考えるのではなく、身近にあるニーズを全てリストアップして、一つずつ組み合わせて考えてみる。こんなアプローチで企画を出すことも、新規事業の企画には大切なことではないかと思うのです。

投稿者 compas : 15:07

2008年02月25日

”笑顔逃さぬデジカメ”のコンセプト力

私の専門は、サービス分野における新規事業開発です。これはサービス業のみというのではなく、メーカーのサービス業的アプローチやBtoC事業なども含みます。さて、そんな私が時に、重厚長大や伝統的なメーカーのコンサルティングを行うことがありますが、洞察力が新規事業の企画の成否を決めるということをいつも痛感します。

重厚長大や伝統的なメーカーなどの場合、クライアントの担当者が博士号を持っているということも決して珍しくはありません。ただ、どちらかといえば、そのためか技術的な特性に話が寄りがちになってしまうという帰来があります。そこで、出来るだけ法人向け、消費者向けの事業企画を問わず、もっと顧客を洞察して、顧客の共感を呼ぶコンセプトを作りましょうと私は説いています。

例えば、デジカメを例にとって考えてみましょう。かつてデジカメを製造するメーカーは、画素数をこぞって争っている時期がありました。ところが、携帯電話に付属したカメラの高機能化が進み、デジカメの画素数争いにも消費者は飽きてくるようになりました。そこで、2003年には小型の民生用デジカメとしては世界で初めて松下電器が、「手振れ補正」という分かりやすいコンセプトと技術的な裏づけで商品を投入し、同社の躍進を支えたのです。

そして、今、ソニーが、レンズの向こうに笑顔を見つけると、自然とシャッターが下りる新技術を搭載したデジカメを販売して、快進撃を続けています。「ハイ、ソニー!」というキャッチフレーズを用いたCMを最近、よく見かけませんでしたか?この商品は特に、小さい子供を持つ30〜40代を中心に、ファンを広げているようです。

技術的には、顔にピントが合う顔認識の技術がベースにあるそうで、男女、年齢、国籍、屋内外での撮影など、膨大な人の顔のデータから平均的な顔を作り出し、スーパーコンピューターで笑顔の特徴を抽出。目尻の下がり方、口角の上がり方、歯の見え方などから「これが笑顔」とカメラが認識する仕組みを作ったそうです。認識の精度が高くシャッターも速いため、笑顔を逃すことはないそうです。(日経産業新聞記事、一部引用)

セルフタイマーにすると、笑顔がリモコンにも代わりになるという遊び心もありますね。この商品は、コンセプトから顧客への提案、そして技術的裏づけまで、本当に勉強になる事例だと思います。技術的特性からコンセプトや事業企画を考えるのではなく、ソニーの同商品のように、顧客に提案する”価値”を絞り、技術的特性を分かりやすい言葉に言語化し、明確なコンセプトを設定すること。これが、メーカーにも求められる新規事業企画のコツではないかと思います。

もちろん、その前提となるのは、顧客の洞察を徹底して行うことになります。特に重厚長大のメーカーの方になると、弱電を扱っている企業と我々では状況が違うというような、”オラが村”意識を持たれます。しかし、新規事業開発において、企画をし、コンセプトを作るツボというのは取扱商品に限らず実は変わりはないのです。私も、コンサルティングの現場では、口酸っぱく説く、「顧客の洞察」と「コンセプト」は業界を問わず原理原則としていただきたいものだと思います。

投稿者 compas : 16:15

2008年02月06日

お客様の「ぼやき」をヒットに変える方法

最新号の「販促会議」という雑誌には、なかなか頭が整理される良質なコラムが掲載されていました。特に元横山やすしのマネージャーを務め、現在はビジネスプロデューサーでもある「大谷由里子」氏のコラムは、分かりやすい。まず大谷氏が説くのは「”苦情”と”ぼやき”は異なる」というもの。苦情というのは企業側の落ち度なので、直さなくてはなりません。一方、ぼやきは、消費者も自覚していなかった今までにないニーズを引き出し、商品化するための種になるものと言います。

なるほど、クレームにも二種類が存在するわけですね。逆に言えば、このクレームの質を的確に捉えることができれば、それをヒット商品やヒット事業に変えることすらできるわけです。ぼやきという部分に関しては、ハッキリと物事を口にし、何にでも”なんでやねん!”と突っ込みたがる関西人は強みをもっていると思いますが、関西人以外でも物事の問題意識を強く持つことで、ぼやくことが出来るテーマはたくさん発見できるはずです。

さて、ぼやきから生まれた商品として代表的なものを大谷氏はこう解説します。例えば、伊勢丹の「クォーターピッチパンプス」という靴です。これは伊勢丹が顧客のぼやきを元に開発した商品の一つです。0.25cmきざみで足のサイズに合わせて、左右別々のサイズで購入することができるパンプス。左右の足のサイズが異なる方って、別に珍しくないですよね。一見すると、小さなぼやきニーズもこうしてヒットにつなげることが可能なわけです。

また、もっと分かりやすい事例で言うと、「シネマコンプレックス(複合型映画館」もありますね。今まで一つの映画館では一つの映画しか上映されなかったものを、複数のスクリーンを準備して、見たい映画を映画館に行ってから選べるようにしたことで、顧客のぼやきニーズをヒット事業に変えることができたのです。これも、画期的なことではなく、顧客のぼやきに真摯に声を向けた証拠なのでしょう。

そして、大谷氏は、お客様のぼやきから宝の山を見つけるための八か条を、こう整理しています。これは分かりやすいので、そのまま掲載して、今回の執筆は終わりたいと思います。ぼやきから企画を作り出していく発想方法。是非、物事の問題意識を持って、世の中や顧客を洞察して欲しいものです。

1.ネタ帳を持ち歩き、ぼやきをメモするべし!
2.人のぼやきに聞き耳を立てるべし!
3.サイレント・クレームを引き出す工夫をするべし!
4.自らがサイレント・クレーマーになる!
5.商品のモニターになり、「モノ言う消費者」を目指すべし!
6.日常の不満を持ち寄る会を催すべし!
7.酒の席での”与太話”を生かすべし!
8.クレームを吸い上げる「仕組み」を作るべし!

投稿者 compas : 14:52

2007年12月11日

別の場所で考えることが大切

新規事業の企画を考える際に、いいアイデアが出ないと嘆きながらも会議室や自分の机にとどまって考える仕事をするケースが多く見受けられます。ただ、私はこれでは全く良いアイデアも浮かばないばかりか、ブラッシュアップされるとは思いません。時には、考える場所を変えて企画業務に取り組むべきだと思うのです。やはり、場所を変えることで頭を切り替えるということは大事ですよ。強制的に、自分を現実の業務の場所から隔離してしまうことをお薦めします。

よく経営合宿という形式で、場所を変えて集中的に会社の全体戦略などを討議するケースが多く見受けられます。実は、これは、新規事業企画についても、もっとなされるべきだと思いますが、意外に出来てない会社が多いことには驚きます。新規事業とは将来の本業になるものですので、優先順位を上げて取り組んでいただきたいものです。まずは普段の会議室ではなく、違う場所に変えてみる。ここからスタートです。

先日読んだ日経産業新聞では、ネットサービス関連企業の間で新サービスを開発するための開発合宿を行うことが流行っているとの記事を読みました。普段の業務とは場所を変え、ホテルや民宿にて短期集中的にソフトウェアを書き上げるところまでを行うというもの。日常業務を忘れて開発に没頭でき、参加者が互いにアドバイスし合う事で開発効率を高めると言います。これは、技術の進化の早さやオープンソース化の流れの中で、技術よりもアイデアの鮮度が勝負の鍵を握ることに端を発しています。

実は、場所を変えて考えるという仕事は発想の転換につながるだけではなく、時間的な制約を向けた中でアイデアをひねり出す、いわば修行の場としても活用できますので、企画業務には有効な策なのです。良いアイデアは居酒屋で飲んでいるときや、カフェでお茶をしながら話をしている時に、突然ひらめいてくることが多くあるもの。これは普段とは環境を変えて、リラックスしたり、脳に刺激を与えるからこそ可能になってくる現象でもあります。

別の場所に行って、部署横断的に”わいがや”主義で企画を考えてみること。これは、とっても重要なことだと私自身は考えています。新規事業のネタは会議室からは生まれない。会議室は企画を評価したり、何かを組み立てる場、そして意思決定する場でいい。ただし、企画の原型は、非日常感あふれる中に身を置いて作っていくことを覚えておきましょう。実は、これが企画づくりには一番大事なことではないかと時々私は思うのです。

投稿者 compas : 15:21

2007年11月01日

ジェイマジック社を読み解く

私が以前より注目している会社に「ジェイマジック」という会社があります。一言で言うとモバイルメディアもしくはモバイルソリューション事業を展開している会社です。特徴は、携帯電話のカメラを活用した事業に特化していることです。代表的なサービスとしては、「顔ちぇき」というものがあります。自分の写真を携帯で撮影してメールで送ると、どんな有名人に似ているのか返信をくれるという遊びサービスです。一時期、クチコミで広がって、世間を騒がせていたこともあります。

そんな同社は、新規事業に関わる者にとって、多くの示唆を与えてくれため、私は日々動向をウォッチしています。例えば、11月1日付けの日経産業新聞には、「顔ちぇき」サービスを応用した販促事業の展開が紹介されていました。”自分の顔をピザに例えると?”というコンセプトで、ピザハットのプロモーションを請負い、「顔ちぇき」と同じ仕組みで行うというものです。携帯で撮影した自分の顔写真をメールで送ると、ピザハットのどの商品に分類されるかをイラスト付きで教えてくれるというものです。

また、結果画面からピザハットの携帯サイト経由で、判定されたピザを注文することも可能にしているところに面白さがあります。これにより、携帯電話のカメラを使った楽しさをユーザーには提供でき、一方ではピザハットのプロモーションを促進することができますね。つまり、「携帯カメラ×広告×遊び」という方程式で事業を構築していることになります。

ちなみに、同社の事業を可能にしている画像の技術はどうしているかといえば、通信設機器やセキュリティ事業を手がける「沖電気工業」からソフトを仕入れて加工しているのでした。沖電気は、元々顔を認識するセキュリティソフトとして売り出したのですが、ジェイマジック社の成功例が示すように、携帯やゲームに転用し販路を拡大する方針のようです。確かに、顔画像を認識する技術は、セキュリティ以外にも十分活用できますよね。つまり、沖電気工業からすれば、「強みの転用」となるわけです。

さて、ここでジェイマジック社のまわりで起きていることを整理しますと、3つのことが読み解けます。一つは、同社が携帯電話の中でも、カメラというテーマに「絞り込んで」事業開発を行っていること。そして、ゲームやカメラを使った遊びを広告事業に「組み合わせて」企画していること。最後に、技術提供側の沖電気工業は、「強みの転用」を上手に図ろうとしていること。この3つです。単純に携帯電話関連のベンチャー企業や新規事業と捉えずに、そこから明日の新規事業の成功の秘訣を読み解く姿勢も大切ではないかと思います。

投稿者 compas : 14:04

2007年10月21日

ひらめき方法

最近、新規事業のネタ発掘や企画創出の方法に関して、よくご相談を受けます。何か、良いひらめき方法はないでしょうか?論理的に組み立てていく方法はないでしょうか?など多種多様な質問が、私のところには飛んできます。これをやれば大丈夫!というものは、もちろんありません。しかし、上手にネタを発掘し、ヒットする企画を生み出した方には、いくつかの共通点があるということは貴重なヒントになることでしょう。

ヒットメーカーは”ひらめき”と”論理”を上手に使い分けているということが、まずは大前提になります。しかしながら、今回は「ひらめき」について考えてみようと思います。この、ひらめきとは、本当にどこから生み出されるのかが、メカニズムの解明が難しいため、体系化されることが少ないという現状があります。そのため、手軽にひらめき方法を習得したいのであれば、ヒットメーカーの声をよく見聞きすることが大切になってきます。

さて、それでは、ヒットメーカー達がどのような、ひらめき方をしているのでしょうか?ひらめく原点はどこにあるのでしょうか?私は、単純に整理すると、3つに大別できると考えています。一つ目は、「五感のフル活用」、そして次に「異分野からの発想」、最後には「ブラッシュアップ」というものです。その人の生い立ちや思想などももちろん関連してきますが、そこはいったん横において考えてみましょう。

まずは、「五感のフル活用」です。多くの方は、ビジネス書をたくさん読み込み、すぐにロジカルシンキングを行って事象を捉えようとします。しかし、その原点は、やはり五感で感じることであるべきだと私は思います。一つのテーマについて、目、耳、鼻、口、皮膚感覚で素直に物事を感じ、右脳を刺激してやりましょう。その後は、それぞれ5つの感覚を元に、企画と関連させて考えてみるのです。

二つ目は、「異分野からの発想」です。業界内だけを見ていても発想は広がりません。ビジネス以外や、全くの異業種の事象を洞察し、何が一番物事の本質であるかを発掘していくのです。そして良い部分を自社の業界に置き換えて考えてみるクセをつけるわけです。これだけでも、全然ひらめき方が違うものですよ。もちろん、異分野の立場にいったん立ってみて、そこから物事を見つめなおすというプロセスも有効ですね。

そして最後は、「ブラッシュアップ」です。よくアイデアを思い浮かべると、それを大事に保存してしまったり、笑われたり否定されるのではという恐怖心のもと、内緒にされる方をよく見ます。しかし、何でもいいです。アイデアやイメージにあがったものは、キーワードレベルであっても、他人に開示してぶつけてみるのです。すると、意外な返答が返ってきたり、突然そこで気付くことが多々あるものです。否定されることを恐れずに、ブラッシュアップしていくというスタンスを持ちたいものです。

さて、ひらめきの背景にあるものを、ヒットメーカーの共通点と言うことで3つほどご紹介してきました。しかし、ここには心身のリラックス状態があるということを、大前提として忘れてはならないでしょう。締め切り前に突然天から降りてきたという、ひらめきを経験した人もいることと思います。しかし、ひらめきの基本は、心身のリラックスの上に、前述した3つの方法を実践することが、良質なひらめきにつながるものだと私は思います。

投稿者 compas : 18:49

2007年10月11日

お手軽軸”を取り入れているか

今ある先行企業のビジネスも新しい切り口で事業展開すれば、新規事業として大きな価値をもたらすことがあります。そのため、目新しい企画だけを考えるのではなく、充分に先行企業の事例を研究して、新しい切り口を取り入れた時に、どのような新規事業が考えられるのか?というアプローチもしたいものです。さて、私が最近口酸っぱくしている切り口の一つに”お手軽軸”というものがあります。

企業の機能競争に疲弊してしまっている顧客が多いご時世で、既存の事業を、”よりお手軽”にすることで、新たな活路を見出せるのではないかとも思うのです。例えば、弊社のクライアントで、ある携帯コンテンツの制作会社は、社是にも”お手軽”という言葉を抱えているくらいです。その結果として、一見するとどこにでもあるコンテンツでも、お手軽の部分を競争力に、他社を引き離して急成長しているのです。

また、最近のWEBの潮流を見ていると、ユーザーの中で「ガジェット(GADGET)」を活用する方が増えているようですね。ガジェットとは、PCのデスクトップやSNSなどに小さなアイコンとして配置されるものです。ユーザーはこれをクリックすることで、様々な情報が、入手できる仕組みになっています。つまり、目的に応じて自分でアイコンや情報を探しに行くのではなく、極論すれば、デスクトップ上にガジェット一つがあれば、それだけをクリックすれば、全ての情報が入手できるというものです。

つまり、わざわざポータルサイトに訪れなくても、自分のブログやデスクトップにガジェットを置いておけば、”楽”になるわけです。結果として、ガジェットがクチコミや新たな広告手段にもなる可能性を秘めているわけです。こうしてみてみると、やっぱり人間は無精者なんだなぁと痛感させられます。人間、どうしても楽な方に流れてしまいますよね。

それならば、逆にそれを商機と捉え、各商品や事業に、お手軽軸を取り入れることで、企画、発想をしてみれば、意外なヒットを生むのではないでしょうか?ひらめきやロジックも大切ですが、お手軽という切り口で仮説作りを一度してみてください。こんなところからも、新規ビジネスのネタは発生してきそうです。

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苦手意識の克服

先日、日経MJ新聞を読んでいると、妙に私の考え方と近いなと思う方のコラムがありましたので、私の持論と重なる部分をご紹介したいと思います。このコラムは、「いろは代表 竹内謙礼」氏が記述したものです。竹内氏は、こう言います。世の中には売れる営業マンは多くいるのに、企画マンの数は慢性的に不足していると。その要因が、実は企画を作ることが苦手だと思い込んでいる人が多いのではないかとまで言います。よくありがちですが、自分はクリエイティブでないし、センスがないと決めつけてしまうパターン。

しかし、実際は企画の作り方など方法論を学ぶ機会が少ないから、苦手意識があるはずだと氏は指摘します。これは私も全く同感ですね。更に、私もセミナーでよくお話しすることですが、企画は、あまりにも”勘”や”ひらめき”に頼る人が多く、目に見えにくいという問題もあるようです。しかし、これは単なる思い込みや経験不足から来ているだけで、能力不足とは関係がないことを理解しておかなければなりません。まさに、竹内氏の言うことは、私も同感で、いつもセミナーやコンサルティング時にお話することでもあります。

それでは、竹内氏が提唱し、私もよくセミナーでお話することを、ココで整理しておきましょう。まずは「企画作りが苦手な理由」です。?企画の作り方を教わったことがない。?企画作りが得意な人に任せていた。?企画の作り方を人に教えられない。?企画作りのセンスがないという思い込み。?企画作りの経験不足。この5つに大別されるでしょう。では、これを逆に考えてみると、企画作りの成功法則をマスターさえすれば、苦手意識も克服でき、良質な企画を生み出せるようになるのではないでしょうか。

私は、経営戦略やマーケティングに関する書籍を読むことは否定派です。もちろん最低限(特定テーマで各5冊ずつ読むなど)は必要ですが、それ以上は切り口が変わるだけで本質が同じであることから、時間の無駄であるとさえ思います。しかしながら、企画や発想に関連する本は、発想の広げ方のバリエーションを増やす意味でも、そして企画の際のツールとして活用できる点でも、一度数冊ほど読むことをお薦めしています。所詮、ビジネスで使う企画など、芸術家のようなクリエイティブさは不要なのです。

ですから、苦手意識を克服して、考える方法とクセを身につければ、新規事業においてもネタの発掘や企画で困ることはないのではないかと思います。間違っても、会議室にこもって、腕を組み、眉間に皺を寄せて、うなっていても問題の解決にはならないことを早めに理解すべきでしょう。

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そもそも論を忘れるな!

最新号の日経ビジネスは読んでてとても興味深い内容でした。「ヒット作りの決意 顧客を裏切る」というテーマで、ヒット商品の開発の舞台裏をレポートしたものでした。その中で、三洋電機の「アクア」という洗濯機についての商品開発の舞台裏に、私は目がとまりました。皆さん、ご存知したか?この洗濯機。新規事業担当者は、何にでも興味を持って動向をウォッチしなければダメですよ。さて、この商品のコンセプトはというと、「空気で洗う洗濯機」というもの。実は、このコンセプトに企画づくりの極意が隠されていました。

今まで、白物家電というと、代わり映えのしない製品で最終的には価格競争に陥るしかありませんでした。しかし、三洋電機は、そんな中で、「今までにない、画期的な洗濯機を考えてみろ。5年先、10年先に通用するものを期待している。」という号令を出して、開発を始めたのでした。ところが、どの企業でもある問題ですが、組織が縦割りになっていて、発想が硬直化している状態でした。そこで、横串を通す事業部横断化プロジェクトにより、新商品企画を再スタートさせたといいます。

さて、その企画会議での舞台裏のこと。洗濯機と言えば、水で衣類を洗うもの。しかし、これまでを会議中で疑ってかかり、洗濯機の定義や”そもそも論”からやり直したのです。水とは手段でしかありません。目的は衣類を洗うことです。であれば、水以外でもいいのです。それでは、何で洗えば安全で安く洗えるのかという議論の末に出た答えが、「空気」なのでした。実際には、空気を電気分解して”オゾン”という気体を発生させて、その気体で除菌・消臭して、汚れを分解する方式でした。

しかし、これによって、革ジャンや財布など、本来水では洗ってはいけないというものまで、洗いたいというニーズに応えることに成功したのです。これも、洗濯機とは、そもそも何をするものなのか。今までの方式にこだわる必要はないのではないか。そんな、事業の再定義を行ったからこそ、開発に成功した商品だと思うのです。顧客の声をリサーチして、その最大公約数のニーズに応える商品を開発する。それはそれで、小ぶりのヒットはするでしょう。

しかし、今の時代、それだけではすぐに価格競争に陥って、大胆な設備投資すら出来ない状況に追い込まれます。従って、商品だけではなく、事業開発においても、事業の定義や事業ドメイン、顧客の定義など、”そもそも論”に立ち返って議論をすること。これをなくして、新規事業の成功はありえないと思います。今さらと言わずに、腰を落ちつけて、”そもそも論”を社内でよく話し合って欲しいものです。新規事業開発や事業計画のスタートは、ここからだと私は思います。

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分解から始める発想方法

新規事業の企画にしろ、マーケティングの戦略立案にしろ、”分解”することで見えてくるところに、成功のヒントがある。これは、私がいつも思うことです。経営分析では、よく分解を行う人がいても、新規事業の企画では、意外に分解を行わない人が多いので、ここでは新規事業のネタや企画を発掘する時に使う分解方法について考えてみましょう。一番、王道的なものは、自社の強みを分解してみて、それを最大限活かせる分野を見出してみるということです。もちろん、細かく分解できれば出来るほど、これは望ましいです。

次に、もう少し具体的に言うと、「見える強み(ハード)」と「見えにくい強み(ソフト)」に分けて、分解していくと、より一層見えてくるものが多いでしょう。見える強みとは、設備や取引先、商品そのもの、技術特許などですが、見えにくい強みとは社風や知的資産、信用、採用力など一見すると可視化しにくいものになります。大きく分けて、この二系統で、各項目をピックアップして、強みを、とことん分解していけば、新規事業につなげられる強みを発掘することが可能になります。

さて、それでも分かりにくいという場合もあるでしょう。では、次に事業のプロセスごとに分解してみて、強みや事業チャンスを考えてみましょう。例えば会社は、材料の仕入れに始まり、研究、開発、マーケティング、営業、物流、決済など、多様なプロセスを事業の中で抱え込みます。そのため、このプロセスの分解によって、どこに強みがあって、どこを新しい事業につなげるのかという仮説につなげる分解を行うのです。

そして、最後に、私がお薦めしているのが、競合や既存市場、または成長市場において、各企業の成功要因を分解して、ポジショニングにつなげる方法です。ポジショニングというのは、平たく言えば、競合が進出していないけどニーズのある場所に自社の杭を打つ行為ということになります。例えば、スターバックスコーヒーは、かつての喫茶店と異なり、男性ではなく女性客を対象にし、回転率ではなく、居心地のよさで勝負するポジションを取ったことは、あまりにも有名ですね。こうやって物事をある要素に分解していくことで、ビジネスチャンスもまた見えてくるものなのです。

私はいつも言うのですが、難しいことを考えたり、画期的なアイデアが天から降りてくることを待っている暇があれば、機械的にでも、あるフレームワークに当てはめてアイデアを出したほうがたくさん出てくると思います。質の高い企画は、数あるアイデアから生まれますので、有無を言わずに、まずは数を創出することに集中しましょう。その一つとして、私は何でも物事を分解することを是非、お薦めしたいと思います。

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数式を使いましょう!

企画を考えたり、コンセプトを作成するときに、ひらめきに頼っていませんか?もちろん、ひらめきから良い企画が生まれることもありますので、私はそれを否定しません。しかしながら、企画やコンセプトを生み出す手順を知っておけば、偶然性のある”ひらめき”に頼らず、必然的に企画が生めるようになります。私は、その手順の一つとして「数式を使いましょう」ということを、セミナーなどでもお話させて頂くことがあります。難しく考えて、一生懸命に頭をひねるより、あるパターンの数式で単純化して考えるほうが、逆に多くの企画も生まれるようになります。

すぐに数式化して、頭を整理していく手法は、まさにコンサルの真骨頂ですが、これはどんな職業の方でも使えると思います。例えば、今朝の新聞の書籍広告欄に、このような広告が掲載されていました。「弘文堂」という出版社が「A+Bで生まれる新しさ」を付加価値とした書籍を提案するというものです。例えば、「地域+ブランド」、「団塊+マーケティング」、「企業+デザイン」など。今までも、このようなエッセンスの書籍はありましたが、明確に一般読者にまで、足し算式の付加価値を提案しているPR手法は珍しいと思います。

この事例は、書籍の企画に関してのものですが、すごく分かりやすい考え方であり、訴求方法ですよね。私も、ついつい、この足し算式コンセプトで、こんな書籍があればいいなと思いをめぐらしたものでした。さて、皆さんの事業領域では、どのような数式が考えれますか?別に足し算ではなくても、掛け算でも全く問題ありません。足し算より掛け算のほうがスピード感を織り込めます。シニア向けの市場に参入したい人は、「シニア+旅行」、「シニア+機械+修理」などと自社の領域に当てはめながら、数式化してコンセプトを考えていくのです。

数式や公式化さえ出来てしまえば、どんなキーワードを当てはめていくのか。ここからはブレーンストーミングの世界ですよね。また、キーワードを複数考えていけば行くほど、より実践的な企画創出が可能になります。こうやって考えると、数式化したあとの発想は、検索エンジンに入力するキーワードの検討と同じ作業になりますね。頭を整理して物事を単純化するために、数式を考えてみること。そして一つでも多くのキーワードを検討して、当てはめてみること。新規事業の企画も、こんなところから始めてみてはいかがでしょうか?

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情報を整理編集して顧客を助けろ!

ネタや企画の発掘方法として、私がよくお薦めしているものに”逆張り”の視点があります。つまり、世間とは逆を向いて独自のマーケットスペースを発見する手軽な方法です。例えば、女性向けの市場が中心なのに対して、男性向けに目を向けてみる。これはエステがメンズエステになったり、男性向けの脂取り紙の販売であったりとヘルスケア商品で考えると分かりやすいですね。そして私自身が注目している逆張りの視点とは、情報分野に関する逆張りの視点です。これは、情報をたくさん消費者や顧客企業に届けるという事業がネットの普及以来増えてきましたが、そろそろ逆を向いて「情報を絞り込む」という視点を持つということです。

検索エンジンも情報を絞り込めるようで、それ程絞り込めない。むしろ、知りたい情報に行き着かないと言ったほうが適切かもしれませんね。そのため、情報を絞り込んだり、知りたい情報に最速で行き着く技術やサービスを検討している会社が増えてきています。ただし、単に、技術的に絞り込んだり、情報までのルートを短くしても欲しい情報へ行き着く精度は必ずしも高くならないため、ガイドやコンシェルジュなど第三者のある種、主観や、独自の選定基準に頼るというサービスがここで活きてきます。つまり、「オールアバウト」のようなガイド型のサイトや、意思決定の支援エンジンを持つ「アルベルト」ような会社が、今度はより一層伸びてくるのではないかと思います。

その中でも、よりヒューマンタッチなサービスとして、直接人間が双方向でやり取りしてくれる「WEBコンシェルジュ」タイプのビジネスモデルは、新規事業として各業界で組み込めないだろうかという仮説を私は持っています。例えば、システム開発の「AOSテクノロジーズ」は、ネットでの消費者の買い物をコンシェルジュがチャットで支援するサイトを開設しました。「Buy.JP」というサイト名でデモも公開されています。仕組みはこうです。ネットでの商品購入に詳しい主婦がコンシェルジュとなり、利用者が目的の商品を探すお手伝いをチャットで行います。

例えば、「甘口の白ワインを低予算で購入したい」といった漠然とした要望をチャットで入力すると、適切な銘柄や販売サイトをすぐに教えてくれるというものです。検索サイトや掲示板に比べて、回答をすぐに得られるという利点が発生しますね。利用料は無料で、AOS自身はアフィリエイト広告会社と提携し、商品が購入されると、ショッピングサイトから報酬を受け取り、コンシェルジュに3〜15%程度の報酬を支払うようようになっています。(日経産業新聞から一部引用) また、AOSが開発した独自のチャットシツテムを利用し、パソコンに専用ソフトを導入すればコンシェルジュが自宅から相談に応じられる仕組みでもあります。

ちなみに、例えばお隣の国、中国では、オンラインショップでも顧客とのやり取りには、MS製のインスタントメッセンジャーというチャットソフトを使うのが普通だそうで、既にコンシェルジュ化時代のベースが出来ているようです。確かに電話だと不在かもしれないし、メールもいつ返事が来るかもしれないので、今誰がオンライン中かが分かるリアルタイム性のあるツールは重要ですね。こうやって考えると、動画も普通にブロードバンドの進展により見れるようになってきますので、ますます顧客が買い物をしやすくするための情報の絞込みや、編集というテーマが新規事業のネタとして有効になってくるのではないかと思います。

これも、情報過多時代に逆張りで発想した場合の新規事業となりますね。常に、逆から着眼してみる、発想してみるクセを身につけることが大事だと私は思います。

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今あるものを活かす

新規事業の企画をする際に、画期的なことを考える必要はないとはいつも私が言うことです。世の中にないものよりも、自社の強みを活かして事業領域を拡張して考えた企画のほうが確実に成功を収めれる可能性が高いからです。ちなみにこれは、事業領域の拡張の話だけではありません。同じ事業領域でも、今あるものを活かせば、新しいマーケットが創出できることもあります。私は、これをPCで言う”周辺機器メーカーの発想”という風に呼んでおります。

PCの周辺機器メーカーとは、PCを作るのではなく、今既にあるPCという製品をより豊かにするところに特化して、事業を展開されていますよね。これは通常の新規事業の企画やネタ出しの発想方法として使えるのではないかと思うのです。例えば、周辺機器メーカーの事例で、その意図を読み解いていただきましょう。「ピクセラ」という会社が、地上波デジタル放送の受信機事業に参入するという記事が本日の日経産業新聞に出ておりました。これはアナログテレビでも、地デジが見れるようにする外付けタイプのものです。

2011年からテレビは国策により、アナログ放送からデジタル放送に変わるため、買い替えをしなければなりませんでした。しかし、買い替えといっても、全国民が進むとは思えません。今現在は国内のテレビ1億2千万台のうち、アナログテレビが1億台近く残っており、例えばホテルや病院などテレビの買い替えが難しいところから攻めれば商機があるのではないか。こんな仮説からスタートした商品開発だったようです。ポイントは買い換えたいけど、まだ買い換えなくてもいい方法はないかと探っているユーザーのニーズを汲み取ったところです。

ピクセラというPCの周辺機器メーカーとテレビの事例を使ってお話しましたが、私の言いたいことは、新規事業の企画においても、今あるものを更に活かすためには、どうしたらいいかという発想で考えることが大事だということなのです。何も新しいものを企画するだけが脳ではありません。既存のものを使いたいために、それを活かす方法を考えて欲しいというニーズは様々な業界であります。したがって、PC周辺機器メーカーの発想で、あるセグメントにおける周辺サービスは考えられないかというように企画をつくっていくわけです。

こういうご時世ですから、皆が新しいものを欲しているわけではありません。また全てがリサイクルといった経済の循環にもなりません。既存のものに何か新しいものを付加することで、それが活きてきたり、再活性化しないだろうかという発想をするわけです。今あるものを活かす企画発想方法は、隠れた大きな市場を掘り当てることにつながるかもしれませんよ。一度、検討してみてください。

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顧客への洞察力が企画力を決める

新規事業のネタを探し、企画を作っていく際に、あまり自分の神がかり的な発想やひらめきに頼るのをやめましょうとは今までお話してきました。つまり、ひらめきに頼るのではなく、時には論理的に物事を考えることで、新しい着眼点を見つけるということです。さて、今回は、顧客をじっくりと観察して新規事業のネタを発掘する方法をご紹介したいと思います。そうです、今既に取引のある顧客の中に、実は新規事業のヒントが隠されているのです。

では、顧客のどこを観察して、どういう部分を新規事業開発につなげていけばいいのか。この辺が一番のポイントになってきますね。例えばこれをBtoB事業の場合で考えてみると、それは、「ビジネスプロセスの分解」と「代行モデル」にあります。ビジネスプロセスとは、言い方を変えればバリューチェーンという捉え方もできます。一般的に企業は、原材料を仕入れ、製品を企画開発し、マーケティング計画を立てて、営業を行う、そして物流により納品して代金を回収する。最後にアフターメンテナンスやリサイクルへとつなげる。こういう風に企業活動は、それぞれプロセスごとに細かく分けて見ることが出来ます。

また、例えば原材料の仕入れ一つをとってみても、仕様決めから業者選定、見積取得、評価、決定、購入、納品などと更に細かく分かれます。さて、ポイントはここからです。顧客のビジネスプロセスを分解した後に、各プロセス別ごとに、顧客企業が抱える課題点をピックアップしていくわけです。するとどこかのプロセスに対して自社の強みを活かして、何らかの新しいサービスを提供できるのではないかという仮説が立てられます。

今は、BtoB事業についてを考えてきましたが、これはBtoCにおいても同様です。BtoCにおいては、「消費チェーン」と言いますが、BtoBの一般消費者版ですので、ニーズの顕在化、商品の探索、商品の選択、注文・購入、配送、支払い、受け取り、導入、保管、利用、保守、修理・返品、廃棄、リサイクルなどとこれまた多くのプロセスに分けることが出来ます。つまり、ビジネスや消費者の活動を細かくプロセス別に区切り、課題点を抽出する作業を通じて、新規事業のヒントを探る方法を、論理的な発想方法としてはお勧めしています。

さて、各プロセスにおいて顧客の課題点を発見したら、次は何をどのように提供するのかというビジネスモデルを作成する必要が生じます。せっかく良いアイデアやヒントを見つけても、このビジネスモデルの構築がうまく出来ていなければ、儲かる新規事業など決して展開できないわけです。ちなみに、私は単純なモデルとして、まずは「代行」サービスを新規事業のモデルとして考えてみることをクライアントにはお勧めしています。ビジネスモデルは世間でもたくさんありますが、代行モデルは、最もシンプルで、かつ昔から存在する事業形態として、今でも多くの企業が展開しているビジネスモデルです。

例えば、先日読んだ日経MJ新聞には、代行モデルについて、こんな記事が紹介されていました。「岡山フードサービス」という食肉卸専門の会社の事例です。同社は、大手企業との差別化を図るために、価格以外の差別化ポイントを見つけようと、新規事業を検討してきました。そんな中、卸先である飲食店で、「手作りの味を提供したいが、調理スペースが足りない」、「人件費が高く、調理人の数が足りない」という悩みを抱えている店舗が多いことを見出しました。そこで、同社は10年ほど前から、食材の仕込みを各店の要望に応じて「代行」する新規事業を始めたのでした。

実はこのサービス、メニュー作りから参加し、味や量などレシピの調整なども個別で対応するとのことです。飲食店側としては、仕込み部分のプロセスを同社に外注することで、経営の効率化にもつながり、商品力も増すとのことで、飲食店には大変好評のようなのです。ちなみに、この仕込み代行事業は、通常の食肉の卸売り事業よりも粗利益率が1割ほど高く取れるとのことでした。同事例は、顧客を洞察して、どのプロセスでどんな課題があり、自社の強みを活かしてどのような新規事業が考えられるのかを検討した結果、好評を得られるようになった成功例として捉えることが出来ます。

新規事業を考えるときは、ひらめきだけに頼るのではなく、時には論理的に考えることも必要ですよ。そして論理的に考える場合には、徹底的に顧客を洞察して、プロセス別に課題を探るところからニーズを洗い出します。そして、自社の強みを活かした代行モデルなら、どんな新規事業が企画できるかという手順で考えていくわけです。新規事業の企画に悩む企業も多いようですが、そのヒントは自分の身近なところにあるということを覚えておくとよいでしょう。顧客をしっかりと洞察して、ぜひ企画力を上げていってください。

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新規事業は”気付き”から始まる

新規事業のネタを発掘して、企画に仕上げていくためには、日々の生活の中で多くの「気付き」を得るクセを身につける必要があると思います。ただ、一口に気付きといっても、自分が気付くだけではなく、他人から気付きをもらうというパターンがもちろんあっていいと思います。で、私は他人との交流、ディスカッションの中で、気付きの数が数倍にもなり、最後には自分に返ってくるもの。そういう風に考えていますので、できる限り他人の知恵もお借りしながら、英知を集めて複数の気付きを得るべきであるという持論を持っています。新規事業に限らず、所詮ビジネスは一人でできません。これは、新規事業の企画や事業計画の作成においても全く同じなのです。

さて、他人からの知恵の導入やボトムアップでの知恵の創出という意味では、教育や研修を通じた手法が一番効果的ではないでしょうか。経験上、コンサルティングの現場では皆真剣にネタ探しをしますが、その”真剣さ”が逆に、思考を硬直化させてしまうこともあります。一方、教育や研修の場合は、どちらかと言えば受身でのワークになりますので、脳をそれほど緊張させずに、発想が出来るということがよくありました。例えば、単純なテーマを設定するだけでも発想のバリエーションは広がります。「今、世の中で面白いビジネスモデルをとっている企業を3社ピックアップしてください」、「行列が出来るお店は何故行列ができるのか実際に行って考えてきてください」、そして「その会社や店のどこが面白いのか、特徴を仮説を立てて考えてください」。

こういうテーマを設定して課題を出すことで、日々の生活の中から人は意識をしてビジネスを洞察するようになります。また、そんな中から多くの気付きも”自然”に発生してきます。つまり、気付きを促すキッカケを研修を通じて行うことで、会議室にこもって考えなくても多くの新規事業が考えられるようになるわけです。この方法だけでも効果があると私は思いますが、研修というたいそうなものを導入しなくても、レクリエーションやゲームの一つとして行うことも可能ですよね。つまり、新規事業のネタ探しは、それほど難しいことでもなく、お手軽に発掘する方法が存在するわけです。

ところで、こんな会社もあります。ある会社が、大学と組んで社員を講師に仕立てて、新規事業の講座を受け持つ。ただし、方法は会社側が教える代わりに、学生に新規事業を考えさせて提案させるというものです。こうする中で、大学教育にとってもメリットがありますし、企業にとっても事業企画の取得と将来の人材確保ができるというメリットが生じますよね。また、今では珍しくなくなりましたが、インターンシップの学生や内定者研修で、同様のテーマを与えて純粋な目で社会を洞察してもらうのです。もちろん、最後は新規事業の企画をつくってもらい提案させますが。これは、早期教育にもなれば、全く新しい異なる視点を会社にもたらしてくれる可能性があり、一挙両得が図れるわけです。

私は、新規事業のネタ探しから企画、そして事業計画書の作成に至るまで、全てはこの”気付き”に始まり、”気付き”に終わると考えています。ただし、その気付きを増やすには、個々人の努力に頼っていてはダメなのです。教育や研修という場を通じて、気付きを増やすキッカケづくりを積極的に行い、常に物事を洞察するクセを身につけることも一つの選択肢なのではないでしょうか。

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結局、強み探しが重要

新規事業の企画やネタが思い浮かばないので、知恵を貸して欲しいという相談が最近増えています。コンサルティングの案件の中でも、ここ1、2年くらいは、この種のご相談が6割以上を占めるのではないかとさえ思うほどです。さて、そこで私はなんと答えるか。新規事業のコンサルタントの立場からは、これをやれば儲かるといった類の話は一切しません。そんな企画があれば、提言せずに私がやってしまいますから。ただし、企画を作り出すコツはコンサルティングや研修の中でアドバイスをさせていただきます。ちなみに、私のアドバイスするポイントは、単純明快です。まずは、一に社内の強み探し、二に社内の強み探しです。つまり、強みを活用するというロジックは一貫して外さないのです。

強みの探し方を語りだせば、それだけで本が一冊書けてしまいそうですが、単純に言えば、「マネされにくく、自信がある部分」を棚卸するだけの話です。実は、こんなところから新規事業のネタや企画の発想につながることが、ものすごく多いと言う実態は理解しておきましょう。ある日、特別な発想が天から舞い降りてくるなんてことはありませんので。強みは、一見すると強みではないと思われる部分でも、客観的な視点で洞察すれば、意外に見つかるものです。目に見える設備や特許、または販売網や知名度だけではなく、人材の質、スピード感(ゆっくりと堅実ということも強みにもなりえます)、社風など目に見えにくいソフト部分もたくさんありますよ。新規事業の企画を複数列挙する前に、まずは強みを複数列挙して欲しいわけです。

さて、強みが抽出できた後は、何をすべきか。今伸びている市場(成長市場)を中心に「事業領域」を設定します。そして「ターゲット顧客」を設定します。つまり、「自社の強み×事業領域×ターゲット顧客」の3つの視点から、マトリクスを作成して、どんどんブレーンストーミングによってアイデア出しをしていくのです。ところが、企業によっては、それでもアイデアに乏しいという場合もあるでしょう。そこで、ビジネスモデルのパターンを研究することが必要になってくるわけです。今世の中に出ている企業の収益モデルは、一見すると無数にあるようで、実はいくつかに集約されます。業種によっても異なりますが、私が持つフレームでは、一般的に5〜7個、ネット完結型のビジネスで少し細分化しても12個程度しかありません。であれば、先ほどお話した3つの視点から考えたアイデアやキーワードをビジネスモデルのフレームワークに当てはめていけば、更に具体的な事業企画が浮かび上がってきます。

つまり、ビジネスモデルという点では、業種を問わず、徹底的に異業種も含めて日々ウォッチしておくことが重要になってくるでしょう。さて、強みを成長市場で活かせる部分があることが分かりました。そして、ターゲット顧客も設定しました。さらに、ビジネスモデルのパターンを検討してお金の流れまで仮説ができました。そこまで出来れば、最後にヒネリを入れてより尖った事業計画を作成していきましょう。ヒネリとは何か。それはニッチスペースの発見および作成に過ぎません。単に儲かりそうな市場に、正面から入って行ってもビジネスとしては勝ち抜くことが難しいものです。そのため、最後には必ずニッチポイントを設定してヒネリを入れましょう。これが、企画作成の締めでは重要な鍵を握ることになります。

それにしても、これは新規事業に限ったことではありませんが、自社の強み探しが全てのベースになることに変わりはありませんね。隠れた強みを見出す力が、結局は新規事業においてもきっと重要なのでしょう。今回は、私がコンサルタントとしてアドバイスする際の一般的な手順を書いてきましたが、成長市場や顧客、ビジネスモデルやニッチ市場などは、他のカテゴリーにて詳細にレポートしていきたいと思います。

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